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勇者召喚が失敗らしいので異世界に転生します  作者: shibatura
第2章 学生生活と冒険者生活
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第34話 ネリアと魔導学の授業

 あれから2次会に付き合わされてしまった。

 さすがに私は、まだお酒を飲める年齢ではない為、飲んでいなかったが、ミセルはかなりの量を飲んでいた。

 ここで意外な事実が判明した。


「まだいけますよね、ハハハ!」


 普段では見られない姿を見せていた。

 最初の宴会からすでに合わせて大ジョッキで20杯ほど飲んでいるが、酔いつぶれる様子は無い。

 ただ酒癖が悪いのか、周りにかなり絡んでいた。

 どうやらミセルは、絡み癖があるようだ。


「ネリア様ものんでいらっしゃいますかぁ?」

「うん、飲んでいるよ」

「そうですかぁ~、はぁ~」

「少し、水を飲め」

「はぁ~い」


 何とかミセルに水を飲ませ、強引に睡眠誘導を掛ける。

 うつらうつらし始めたところで、屋敷に戻って寝るように言いつける。

 そして深夜を過ぎ、ほどんどの村人がミセルによって酔い潰されて、色々なところで眠っている中、私はそっとその場を離れ、屋敷に戻る。


「お帰りなさいませ」

「あぁ、そうだ。ミセルはどうしている?」

「ミセルは使用人室で休ませております」

「私も今日は、こちらで休むので明日朝、私の部屋まで来るように言っておいてくれ」

「わかりました。伝えておきます」

「頼む。それじゃお休み」

「はい。ネリア様もお休みなさいませ」


 そして翌日となり、私が朝の身支度をしていると、扉を叩く音がする。


「入れ」

「はい」


 言いつけ通りにミセルがやって来た。


「調子は大丈夫か?」

「はい、大丈夫です。あと、昨晩はお手数をおかけしましてすみませんでした」

「そうか。気にする事じゃない。それより記憶はあるのか?」

「はい…あります」


 ミセルは恥ずかしさから頬を赤らめ俯いてしまっている。

 少し励ましてから朝食へと向かう。

 朝食を終えると、昨日帰る予定だったのに戻れなかったので、サッサと戻ることにする。

 王都に戻ってくると、すぐさま学院に行く準備を始める。

 少しまだ眠いが、遅れるのはまずいので急いで支度する。

 最悪、学院の研究室で仮眠でもとることにする。

 それから学院に着いて、朝の連絡事項を聞いてから、すぐさま研究室へと向かう。

 やはり、あまり長い時間眠れていないせいで、まだ眠気が抜けていなかった。

 今日は昼前に魔導学の授業がある為、そこで居眠りをしないように仮眠をとることにしたのだ。

 研究室に入り、部屋のカーテンを全部閉め、照明も落とす。それから授業が始まる20分前にアラームが鳴るようにして、毛布を掛けて目を閉じる。

 すると数分もしない内に眠りについたのだ。



 それから魔導学の時間の20分前になり、セットしておいたアラームが鳴り響く。

 その音にゆっくりと起き上がる。

 大きく伸びをして寝ている間に固まった体をほぐす。

 眠気もすべて抜けてスッキリとした気分である。

 早速、授業の支度をして教室へと向かう。

 魔導学の授業の行われる部屋は、ほかの教室から少しばかり離れている。

 これは魔法などを使用する際に発生する音や振動などが他の授業に対して迷惑にならない為の措置である。

 という訳で、少しばかり歩かなければならない。

 3分ほど歩いて教室へとたどり着く。

 扉を開くと半分ほど集まっていた。

 いつもの席に座り、準備を済ます。

 今日の授業の内容は、魔力の物質化についての授業だ。

 魔力はエネルギーではあるが、その形は決まっていない。

 この魔力に形を与える行為が魔法や魔術である。

 つまり与える形を、事象から物に変えれば、物質化となるのだ。

 ただ最初は、いきなり物質へと変換するのではなく、魔力を魔力物質と呼ばれる形にする事から始める。

 なぜそのような事にするかというと、現実にある物質へと変換する際、ちゃんとしたイメージが無ければ、かなりの魔力を消費することになる。

 特にまだステータス的に魔力量が少ない状況で物質化を実施すると、すぐに魔力欠乏にいたり、最悪死に至る場合もあるからだ。

 そのため、単純に魔力を集めて固めるイメージのみで生成できる魔力物質は、初めて行う物質化にピッタリなのである。

 それに失敗したときのリスクが非常に少ないというのもある。

 という事で、学院に入ってからそれなりの月日が経ち、魔力の制御にも慣れ始めたこの時期から始めることになる。

 魔力の物質化に成功すれば、かなり魔法に多様性を持たせることが出来るようになる。


「それでは皆さん、揃って居りますでしょうか?」


 そう言って入ってきたのは魔導学の講師である、マクレイン女史である。

 マクレイン女史は元宮廷魔導士団に所属していた人である。

 因みに専科は魔導器技師科で、私もアドバイスを貰いに行ったこともある。

 そんなマクレイン女史だが、基礎魔導学の授業も受け持っている。


「それでは、授業を開始いたします。本日は魔力の物質化における基礎中の基礎である魔力物質の生成について行います」


 こうして授業が始まった。

 最初は詳しい内容から始まり、生成の仕方へと移る。


「では魔力物質の生成の仕方で必要となるイメージは、押し固めるようなイメージをすることです。最初は手のひらに魔力を集め、物を包み握るようにしてみると良いでしょう。それでは始めてみてください」


 マクレイン女史の声と共に皆が魔力物質の生成を始める。

 最初は何かを絞り出そうとしている様な小さな唸り声が、あっちこっちから聞こえる。

 私は、そんな皆の様子を尻目に見ながら、魔力を手のひらに一旦集め、それから握り飯を作る様なイメージで魔力を圧縮する。

 すると徐々に手のひらの内に小さな丸い固体状の物質が出来る感じがする。

 ある程度してから魔力を圧縮するの止めて、手を開いて開いてみる。

 開いてみると、手のひらに5ミリ程度の白い球状の物体が出来ていた。

 ちゃんとその球体から魔力の波動を感じる。

 魔力物質の生成に成功したようだ。

 ちょうどそこにマクレイン女史がやって来た。


「ネリアさんは出来たようですね。見せてみてください」


 出来た魔力物質を手渡す。

 マクレイン女史は手渡された魔力物質を眺める。

 数秒ほど眺めてから魔力物質を私に返す。


「文句ない程の出来です。さすがはネリアさんですね。それでは引き続きいろいろと試してみてください」


 そう言ってまたクラスの様子を見て回り始めた。

 それから私は、色々と圧縮率や使用する魔力量を変えながら10個ほど生成した。

 そんなことをしているうちに、クラスの皆も無事に1つは生成に成功した。


「皆さん中々筋が良いですね。そうですね、これなら今日の授業はここまでとします。お疲れ様です」


 そう言ってマクレイン女史は教室を後にしていった。

 授業が終われば皆、騒ぎ始める。

 ちょうどこの授業が午前中最後の授業である為、この後は昼休憩となれば、雰囲気が緩くなるのも当然である。

 移動準備を始めているとミランダがそばにやって来る。


「ネリアはどうでしたの?どうやら生成はうまくいっていたようですが」

「うん?あぁ、うまくいったよ。そうだ!これをあげる」


 そう言ってミランダに今日作った魔力物質の1番出来の良い奴を1つ渡す。


「ネリア。これは…?」

「あげる。どうせ持っていても仕方がないし」

「そうでしたの。わかりました、有り難くいただきますわ」


 ミランダは嬉しそうに私が渡した魔力物質をポケットにしまう。

 それからミランダと一緒に食堂へと向かう。

 食堂は、朝と午後は軽食等を出すカフェとなり、昼と夜はしっかりとした食堂となる。

 そして食堂は学院内の至る所に有り、私達が使う食堂は数ある食堂の中でも、高級な食堂である。

 その為、利用者が限られているお陰で、混むことなく利用できる。


「ネリア、今日は何にしましょうか?」

「そうだなぁ、本日のランチセットにしようと思っているけど、ミランダの方は?」

「そうですわね、それじゃネリアと同じものにしますわ」

「無理に合わせなくてもいいんだよ?」

「問題有りませんわね」

「そう。それならいいんだけど」


 ということで、注文口へと並ぶ。

 昼が始まってから20分程経っているが、席はまだ6割がた埋まった感じである。

 暫くして私達の番が来る。


「いらっしゃいませ。ご注文はいかがになさいますか?」

「本日のランチセットを2つ」

「承りました。お支払は別々で?」

「はい」

「それでは、お値段は1000ミリセントです」


 私は財布を取り出し小銀貨を1枚取り出し、手渡す。


「はい。丁度お預かりしました。では、こちらをお持ちになって受け取り口でお待ちください」


 そう言って36と書かれた木札を渡される。

 これを受け取り口で食事と交換することになる。

 私は受け取り口の前まで移動して番号を呼ばれるまで待つ。

 そしてミランダも支払いを済ませて、こちらまでやって来た。

 暫くして番号を呼ばれる。


「36番と37番の方」


 同じものを頼んでいたお陰で、一緒に呼ばれたようだ。

 受け取り口まで行き、木札を渡し商品を受けとる。

 受け取った後、食堂に入ったときに目をつけていた席へと向かう。

 そこは窓辺にある2人用のテーブル席である。

 テーブルに着き食事を始める。

 私達は他愛ない話をしながら食事を進める。

 ゆったりとした時間を過ごし、食事を終える。


「そう言えばミランダもこの後、授業が無いんだっけ?」

「えぇ、そうですわ」

「それじゃ、もう少しここで休んでいこうか。食後のデザートでも食べながらさ」

「それも良いですわね。それならそうしましょう」


 ミランダの了承もとれたので、私は収納に事前にしまっておいた箱を取り出す。


「それはなんですの?」

「昨日、村に戻った時にご近所から貰ったんだよ。」

「そうだったですの」


 早速封を開ける。中には6つのカップケーキが入っていた。

 収納に入っている皿とスプーンを2セット取り出し、カップケーキを皿の上に置く。


「いただきます」

「いただきますわ」


 2人でいただきますを言い、早速カップケーキを食べる。

 ほんのりとした甘味に思わず頬が緩む。

 やはり甘いものは、いつ食べても良いものだ。

 それから30分ほど至福のときを過ごした。


「カップケーキ美味しかったですわ。」

「良かった。喜んでもらって」

「そろそろ私は次の授業の準備があるので、お先に失礼しますわ」


 そう言ってミランダは先に食堂を後にした。

 私ももう少しばかり休んでから食堂を後にする。

 食堂を後にした私は、再び研究室へと戻る。

 戻った私は、今までの続きに取りかかった。

 こうしてまた、学院の1日が過ぎていった。

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