表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者召喚が失敗らしいので異世界に転生します  作者: shibatura
第2章 学生生活と冒険者生活
34/61

第31話 ネリアの冒険者としての活動(後編)

令和元年の投稿にするために、だいぶ遅れました。

 ネリアが森の奥まで魔物狩りへと赴いている間、ミセルとジラスは薬草畑へとやってきた。


「ここが、ネリア様が管理されている薬草畑です。今回は上級回復薬に使う薬草を収穫していきたいと思います。それではジラスさん。まず最初に全体の施設の紹介をしますね」


 という事で、ミセルは薬草畑と、その関連設備の説明をしていく。

 一通りの説明を終え、2人はいったん作業をする格好になる為に別れる。

 それから再び2人は着替えを済ませ、薬草畑へと習合していた。


「それでは、最初に収穫するのはマリエルベラという薬草です。この区画の半分を収穫するので、私は左側からやるので、ジラスさんは右端から始めてください。それと収穫に使うハサミです。どうぞ」

「ありがとうございます」

「それでは始めましょうか」


 こうして2人は作業を開始する。

 作業しながら、それぞれの身の上話をする。

 まだ2人は、それぞれの事をまだよく知らない。

 大まかな事については、主であるネリアよりは説明をしてもらっているが、やはりお互いの事をよく知っている方が、これからネリアに仕えるうえで、重要になってくるだろう。

 そんな感じで30分程で収穫を終え、今は近くのベンチで一休みしている。


「それにしても、ここはすごいですね。ここにある薬草だけで一財産になりますし、それに周りに設置してある魔道具だけでも、とんでもなく高いものですよね?」

「そうですね。ネリア様はその辺、惜しみなく使う方なので。さすがです」


 ジラスに問われ、まるで自分の事のように頬を桜色に染めながら喜ぶミセル。

 その様子を見たジラスは、ふと思ったことを口にする。


「そういえば、ミセルさんはネリア様の事を大分、慕ってられるようですけど。その辺はどうなんですかね?」

「そうですね。私にとってネリア様は、私のすべてを捧げてでもお仕えする方ですね。それこそ一生です」

「なるほど」


 ここでミセルは、少し顔を悲しませながらつぶやく。


「それでも私は、あくまでも獣人族ですからネリア様よりは、どうしても先に居なくなってしまうのが、悩みどころなんですけどね」


 ジラスはここで、なんか良いことでも言おうとしてみたが、中々良い言葉が思い浮かばなかった。

 元々そういう事には慣れていないジラスでは、軽い慰めの言葉しか出なかった。


「ネリア様ならなんとかしてくれますよ」

「そうですね」


 そんな話をしていると、後ろから2つの気配が近づいてきた。

 2人は振り返る。そこにはちょうど森の奥から狩りを終えて帰ってくる主の姿だった。



 狩りを終え、のんびり待っているとほどなくしてファスタが戻ってきた。


「ファスタ。森の様子はどうだった?」

「問題は無かった。いつも通りの森だったよ」

「そうか。それはよかった。私の方も終わったから、そろそろ2人のところに戻ろう」

「わかった」


 そうしてミセルとジラスがいる薬草畑まで来た。

 どうやら2人は収穫を終えて休憩しているところであった。


「ネリア様お疲れ様でした。私達の方は完了しています」

「ありがとう、ミセル。収穫した薬草をもらうよ」

「どうぞ」


 ミセルから薬草の入ったバスケットを受け取り、すぐさま収納へとしまう。

 これで今日、森で行う事はすべて終えたので、一旦村まで戻ることにした。

 村に戻る道中、私は2人で休憩中に何を話していたのか聞いてみた。

 するとミセルが、私に一生仕えると話していたようだ。

 その時にミセルが一生と言いながら、私より先に居なくなるのが、悩みどころだとか言っていたらしい。

 そこで私は、ミセルの気持ちに何か答えられる事は無いか考えてみた。

 私はハイエルフであるが、そんなハイエルフでさえ、相手の寿命を永遠のものに変えるというのは聞いたことは無かった。

 それでは他にないかと考えてみる。

 他に何か他人の寿命をどうにかする方法は無いかと、万理眼でさらっと探ってみる。

 ここで1つのスキルを見たときに、ふと思いつく。

 そのスキルは神性スキル。

 特にこれといった能力は無かったはずと思いながら、何か引っかかるものがある。

 神性といえば、神に関する事だ。

 そんなスキルに特筆すべき能力が何もないというのも何かおかしい感じがする。

 そこで私は、万理眼スキルの能力を最大限に引き出して神性スキルを視てみる。

 すると今まで視えていなかったモノがうっすらと視えてきた。

 そのまま視ていると、ついにはっきりと視える様なる。

 そしてその中に、何とか出来そうな能力を見つける。


「眷属化、かぁ」

「はい?」


 つい、小さくつぶやいていた様だ。


「いや、ちょっとね」


 そう言いながら、意識を再び神性スキルの能力に向ける。

 神性スキルの1つに眷属化の能力があった。

 これは私と血の契約を結ぶことによって、私が存在する限り眷属とした者の命を止め、私と同じように生きさせる能力のようだ。

 これならばミセルの願いを叶えることが出来るだろう。

 ただこれは、他の生きるものと同じように生きることが出来なくなってしまう。

 たとえミセルに別に歩みたい者が現れても、同じ時を過ごせなくなるという事だ。

 それに最悪、眷属化したとしても解除が出来るが、それでも一旦眷属化してしまえば、100年は解除することが出来無い。


「ミセル、ちょっといいかな?」

「はい。なんでしょう?」

「ミセルは、もし…、もしだ。私と同じように歩むことが出来るとしたらどうする?」


 こう問うとミセルは、何のためらいもなくやりたいと言ってきた。

 それから色々と言ってみたが、ミセルの気持ちは変わらなかった。

 私はそのミセルの気持ちに応えるべく、私は決意する。


「ミセルの気持ちは分かった。来週また、この森に来よう。そこで眷属化の儀式をする。いいかな?」


 その言葉にミセルは満面の笑みでこう答えた。


「はい。ネリア様!」



 森でミセルの眷属化について決めたのち、私達は村まで戻ってきた。


「村に着いたことだし、ジラス。魔導具は、もう大丈夫だから預かるよ」


 ということで、ジラスに渡していた魔導具を返してもらう。

 それから屋敷へと戻る。

 屋敷に戻るとミセル達には王都に戻る準備をしてもらい、私は1人で使用人区画へと来ていた。


「ダジエイル、居るか?」

「はい。ここに」


 ダジエイルを呼び出し、来週のミセルとの儀式までに境界の森に、いい感じの祭壇を簡易的にでもよいので作っておいてくれと頼んでおいた。

 そして私自身の用事を済ませ、ミセル達と共に転移魔法陣を利用して、王都の屋敷へと戻ってきた。


「今日は、これで特別な用事は終わりだから通常業務に戻ってね。私は、これからギルドの方に納品に行ってくるから」

「分かりました。それでは失礼します」

「私も失礼します」


 私は2人を屋敷に残し、1人でギルドへと向かった。

 それからギルドへと到着し、受付へと並ぶ。

 王都のギルド支部は、いつも通りに混雑していた。

 この世界でも有数の規模の支部である為、多少の閑散期は有るものの、それでも1年通して混雑している。

 私はその中でも比較的空いている列へと並ぶ。

 すると回りが少し騒がしくなってきた。

 そしてそれに合わせて列の進みが早くなり始める。

 周りの声に耳を傾けてみると、どうやら私の噂話がなされているようだ。

 何回か色々と高額な物ばかり納品していたせいで有名になっているようだ、ある意味少し悪い意味でだが。

 これは少し自重した方が良さそうだ。あるいはまだ人があまり居ないうちに来るのも1つの手だろう。

 暫くすると私の番が回ってきたようだ。

 収納から定期的にギルドに納品するという契約書を先に受付へと出す。


「お預かりします」


 職員は私から契約書を受け取り、受付の裏の棚から1冊のファイルを取り出し確認をする。


「確認出来ました。それではマリエルベラの方をお願いします」


 収納からマリエルベラの束を取り出し、受付に置く。

 職員は薬草を受けとると番号札を渡してくる。

 番号札を受けとると、一度受付を後にする。

 受付を後にした後、次に向かうのは魔物等の買取カウンターである。

 こちらは偶然にも誰も居らず、直ぐ私の番になる。


「お!これはネリアさん、お久しぶりですね」

「お久しぶりです。今日はかなり大きなのを2体有るんですけど大丈夫ですか?」

「どのぐらいだい?」

「7と8ぐらいのハイグランドホーン2体ですね」

「ハイグランドホーン?!また…、すごいの狩ってきたな」

「えぇ、まぁ」

「まぁ、いつもの事か。ちょっと待っていてくれ。解体場の空きを確認してくるから」


 そう言って一旦、席を外す。

 しばらくして解体場の空きを確認してきた職員に連れられ、解体場へと入る。

 解体場はかなり大型のモノでも解体できるようかなり大きくとられている。


「それじゃ、早速出してくれ」

「はい」


 言われたとおりに、収納からハイグランドホーン2体を取り出す。


「こりゃぁ見事にやったもんだな。うん、特にこれといった所は無さそうだな。査定するから受付の方で待っていてくれ」


受付に戻り、5分ほど待っていると職員が戻ってきた。


「いやぁ、それにしてもかなりの上物だったな。これならおまけして査定額の1割ほど上乗せしといたから。これが査定証書ね」


 職員から査定証書をもらい、買取カウンターを後にする。

 再び総合受付の方を見ると、完了を示すところに私の受付番号が表示されていた。

 番号札の番号と再度あっているかを確認し、受付へと向かう。


「ネリアさん、今回の定期納品は問題ありませんでした。それでは、これにサインをお願いします。あと他にはありませんでしょうか?」

「えーと、これもお願いします」


 完了証にサインをし、それと一緒に先ほどもらった査定証書を渡す。


「魔物の買取査定ですね。わかりました。それでは所属証をお出しください」


 収納から所属証を取り出し職員に渡す。

 職員は受け取った所属証を、とある装置に入れる。

 そして装置に査定証書も入れる。

 それから数秒すると所属証と査定証書が出てくる。


「これで査定の登録は完了しました。3日後に指定口座に入金されますので、後程、ご確認をお願い致します」

「わかりました。今日はありがとうございました」

「はい。またのお越しをお待ちしております」


 これで今日やることは終わった。

 あと残りの時間は家でゆっくり過ごすことにした。

 それに来週までにミセルとの儀式準備やらをしたいかなければ。

 これからの事を考えながら私は自宅へと戻ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ