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勇者召喚が失敗らしいので異世界に転生します  作者: shibatura
第2章 学生生活と冒険者生活
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第28話 ちょっとした話し合い

一部、残酷な表現があります、多分。



 騎士爵に任命された後、早速お客様が現れた。


「ミセル。いつも通りに対処しておいて」

「わかりました。今回は残しておくべきでしょうか?」

「う~ん、そうだな…」


 本来、必要性は無いのだが、今回は一度試しておきたいこともあるので、残しておくべきだろう。

 それに今回のお客様は色々と使えそうだし。


「今回は残しておきましょう。色々使えそうですしね」

「わかりました。捕縛だけにとどめておきます」

「お願いね」


 後の事をミセルに任せて、私は準備を始める。

 最初に学院の自分の研究室へと転移する。

 転移し、部屋の一角にある給湯室へと繋がる扉の前に立つ。

 そして、時空制御スキルの特殊空調生成能力を使い、本来とは別の空間を創造する。

 できた空間と給湯室への扉を繋げる。


「よし、出来た」


 扉を開け、中へと入る。

 一回り出来た空間を歩き、問題がないことを確認して、再び研究室に戻る。

 最後に給湯室につながる扉に、収納から白い細長い板を取り出す。

 その板に特別談話室と書き、扉に取り付ける。

 取り付けを終わると、再び転移で自室へと戻る。

 戻ってきたから、しばらくすると扉をたたく音がする。


「ネリア様。お客様をお連れいたしました」

「入って」


 そして入ってきたミセルの傍らには、猿轡をかませられ手足をロープで縛られた、1人の男である。


「うー!、うー!むぅー!」


 猿轡を嵌められているため、うめき声を上げている。

 ミセルが扉を閉め、鍵をかける。

 そして部屋全体に私が防音魔法をかける。


「猿轡を外して」

「はい」


 ミセルがお客様から猿轡を外す。

 猿轡を外されたとたん、お客様が喚きだす。


「俺を解放しろ!こんな事をしたところで大変な事になるのは貴様らだぞ!」


 それから色々なことを騒ぐが、意味がないことだ。

 それにしてもよくも長々と色々な事が出てくるものだ。

 あまりも長いのでミセルに黙らせるように指示する。

 ミセルは私の合図にうなずくと、お客様の鳩尾に1発、切れのあるストレートを叩き込む。


「うっぐぅ!」


 鳩尾に良いのを喰らい、うずくまる。

 やっと黙ったので早速、本題に入ることにする。


「それじゃ黙ったことだし、早速お話を聞きたいんだけどいいかな?まぁ、良くは無くても聞くんだけどね」


 ここで本当なら妖艶な女王の称号の効果を使えば、すぐに終わるのだが、それでは今回ここまで連れて貰った意味がない。

 なので、自動で効果を発揮する上位者スキル以外は、今は使わないでおく。

 それと上位者スキルもあまり効果がないように抑え込んでおく。


「それじゃ、これから質問するけどいいかな?」

「くっ!俺は何も話さないからな!」

「そうか、どうしてもか?」

「そうだ!」


 やはりスキルなしでは何も話さないか。

 当然こうなることは簡単に想像できる。

 それに相手はどうせ子供だと思って舐めているようだ。

 これは、やりがいがある。


「話さないならしょうがない。それじゃ君が話しやすいようにしなくてはな」


 そう言ってから転移の魔法を発動する。

 転移を発動し、一瞬で学院の研究室へと跳ぶ。

 突然の転移に、お客様は驚いた顔をする。


「それじゃ、こっちに来てもらうか」

「な、何が…」

「何がではない。ほら早くこっちへ。どうしてもお話をしてくれないから、特別にお話がしたくなる場所へ来たんだから」

「ど、どんなことになろうとも俺は絶対に話さないからな!」

「そうか。それでは特別談話室へと行こうか。そこでみっちりかっちり喋ってもらおう」


 という事で、お客様を連れて特別談話室へと入る。

 その際激しく抵抗され、ミセルが大変そうだったので、代わりに私が連れていく。

 私の方がミセルやお客様よりも力が強いからだ。

 私は暴れているお客さんの手を縛っているロープを掴むと、力に任せてお客様をそのまま振り上げて床に打ち付ける。

 ドンと音とも激しくたたきつけられたお客様はそのまま意識を手放す。

 そして意識を失ったまま、私はロープを持ったまま、お客様を引きずりながら特別談話室へと入る。

 男をとある仕掛けへと張り付ける。

 そして、張り付か終わると軽く首元に電流を流す。


「ア、ガッ!」

「お目覚めかなお客様?」


 意識は覚醒したが、まだ意識ははっきりとしていない。

 追加で覚醒魔法を使用する。


「ここは?それより、いったい何をする気だ!」

「いや、あまりにもお話をしたくないって言うから、そんなシャイなお客様のために特別な方法を使おうかなと思ってね。お口が喋りたくないんだったら、後は他の部位で喋ってもらうだけだから、ね」


 少しばかり何を言われたのか分からなかったが、すぐにどういう意味かを理解して顔が青ざめる。


「大丈夫。何も心配する事は無い。ただ、特殊談話室にまで案内はしたくないからね。お願いだからそれまでには話を聞きたいな」


 そう、ここは朗らかに柔らかに、そして安心させるような笑顔でこう言うのだ。


「それでは、お話合いを始めましょうか」


 そして始まるのは、すべてを明かさなければ終わらない、それでいて終わりのない話し合いである。



 まさか、こうも簡単に捕まるとは思わなかった。

 基本的に俺は盗み専門で、未だに殺人には手を染めていなかった。

 しかし近頃、突然闇ギルドが次々に壊滅されられた。

 さらに上客である一部の貴族たちが、大量に処分された。

 そのせいで俺達の仕事も激減。

 仕方がなく、小さな盗みなどをして稼いでいたが、それも裏を取り仕切る新たなる組織が出来たせいで頓挫することになる。

 どうやら表向きは弱小裏商会だったところが、いつの間にか裏社会を取り仕切るようになっていた。

 そして、そのすべてに絡んでいるという、うわさがある人物がいた。

 その名は、ネリア・シャルティス・ドリュッセン。

 この国の騎士団長であるドリュッセン伯爵の伯爵令嬢である。

 年齢が7歳だという。しかし、その年齢に見合わない嘘か真か判断が付きにくい、うわさが広がっていた。

 そんな彼女によって、俺達はどんどん後が無くなっていったのだ。

 そんなある日、その彼女がこの国の王家であるジュルダース家の騎士に任命された。

 これはあまりにも、この国の勢力図を簡単に変える出来事であった。

 そして、それに応じて危機を持った一部の貴族によってある依頼が、出回るようになる。

 それこそが今回俺が受けた依頼である、ネリア・シャルティス・ドリュッセンの抹殺であった。

 報酬は一般人の3年分の生活費にも及ぶ金額であった。

 こんな金額はたった1人の貴族令嬢の暗殺にしては、あまりにも高額であった。

 それでも生活に貧窮し、この状況に陥った原因に対してのくだらない恨みに考えることをやめた俺は、この仕事を受けてしまった。

 それがこの様だ。今までどんな警備が凄いところでも侵入し、盗んできた俺だったが、この屋敷では無理だった。

 何なんだ、あの白狼族のメイドは!スキルで隠れていた俺を見つけると、一瞬で間合いを詰められてやられてしまった。

 今まで誰にも気づかれたことがなかったのにだ。

 いったいどうやって俺の位置を掴んだのか。

 というより今は、この状況を何とかするのが先だ。

 どうにかして逃げ出そうとするが、暴れようとしてもがっちり固められたせいで動けない。

 そのうちメイドに連れられて、とある部屋まで連れてこられた。


「ネリア様。お客様をお連れいたしました」


 どうやら暗殺対象の部屋に連れてこられたようだ。


「入って」


 そして中から扉越しで少しばかり籠った声だったが、それでもはっきりとわかる美しい声だった。

 そしてついに対象と対面する。

 一瞬何もかも忘れて見つめてしまった。

 さすがエルフといったところだった。

 少しばかり目が細く吊り上がり気味だが、それがかえって大人びて見えて、静かだが締まった印象を与えていた。

 ここでハッとする。見とれてどうするというのだ。

 今は一刻も早くこの場をどうにかしなければいけなかった。

 どうにかするために声を上げたが、猿轡のせいでうめき声しか出せなかった。

 そのうちメイドが部屋にカギを掛けると対象が魔力を発する。

 そうすると部屋全体に何かの魔法が掛けられたようだ。

 まさかあの一瞬で、無詠唱で魔法を掛けたのか。

 これは考えを変えなければまずいかもしれない。

 ここまで魔法を使えるとなると、こちらが圧倒的に不利になる。

 そんなことを考えているうちに対象が猿轡を外させる。

 とにかく何でもいいから、ハッタリでもかまさなければ。


「俺を解放しろ!こんな事をしたところで大変な事になるのは貴様らだぞ!」


 それから色々喋る。とにかく今は騒いで相手に考える暇を無くさなければ。

 それでも相手は全く動じる事は無かった。

 それどころか、こちらをまるで物を見るような目だった。


「ミセル。黙ってもらって」

「はい」


 そういうとミセルと呼ばれたメイドが、俺の鳩尾に少女の力とは思えない力で拳を叩き込んできた。


「うっぐぅ!」


 強烈な1発を喰らい、一瞬息が出来なくなる。

 俺が黙ったところで対象が話しかけてくる。


「それじゃ黙ったことだし、早速お話を聞きたいんだけどいいかな?まぁ、良くは無くても聞くんだけどね。それじゃ、これから質問するけどいいかな?」

「くっ!俺は何も話さないからな!」

「そうか、どうしてもか?」

「そうだ!」


 俺が拒否すると、少しばかり思案した顔をするが、すぐに薄っすらと笑みを浮かべる。

 そして再び魔力が高まった感じがすると、一瞬視界が歪んだかと思ったら全く知らない場所にいた。

 俺が驚いていると対象が再び話しかけてくる。


「それじゃ、こっちに来てもらうか」

「な、何が…」

「何がではない。ほら早くこっちへ。どうしてもお話をしてくれないから、特別にお話がしたくなる場所へ来たんだから」

「ど、どんなことになろうとも俺は絶対に話さないからな!」

「そうか。それでは特別談話室へと行こうか。そこでみっちりかっちり喋ってもらおう」


 訳が分からなくなっているうちに、よく分からない場所へと連れて行かれそうになる。

 なんだか俺はヤな予感を感じ、暴れようとする。

 何とかメイドの拘束を風呂ほどこうとすると、対象がやってきて手を縛っているロープを掴むと、ロープを持った手を振り上げる。

 そのまま空中を跳ぶと、そのまま顔面から床にたたきつけられた。

 そこで意識を無くした。



 次に意識を戻したのは、またも違う部屋であった。


「ここは?それより、いったい何をする気だ!」

「いや、あまりにもお話をしたくないって言うから、そんなシャイなお客様のために特別な方法を使おうかなと思ってね。お口が喋りたくないんだったら、後は他の部位で喋ってもらうだけだから、ね」


 一瞬だが何を言っているのかわからなかった。

 話さないなら別の場所に聞く?

 口以外の場所で喋れる場所なんてないはずなのに。

 いや、ちょっと待て。今の表現が比ゆ的な表現としたのなら、口を割らない人間をどうやって喋らせればいいかなんて、拷問以外に何があるというのだろうか。

 そういえば手足の縛られ方が、何かに張り付けられてように感じる。

 ここまで思いついた瞬間、血の気が引く感じがする。

 それから対象が近寄って来る。


「大丈夫。何も心配する事は無い。ただ、特殊談話室にまで案内はしたくないからね。お願いだからそれまでには話を聞きたいな」


 そして対象はまるで女神かと思うほど、優しい笑みを浮かべる。

 だが、それを打ち壊すかような瞳は恐ろしく冷めた目をしていた。

 それに感じる雰囲気は、あまりにも恐ろしかった。

 そしてそれは死を宣告するかのように告げるのだった。


「それでは、お話合いを始めましょうか」


 と。



 それからは地獄のようだった。

 話さなければ足が強制的に広げられ、手は斜め上の方へと引っ張られる。

 それでも最初の方は痛みに耐えていたが、そのうち体の可動域一杯になる。


「うん、これ以上はいかないか。今のうちに喋っておいた方がいいよ。さすがに私もこれ以上使えなくなるのはごめんだからね」

「俺は、絶対に喋らない!」

「そうか。それは残念だ。仕方がない。これ以上喋らないのなら、後は繰り返すしかないようだね。それじゃ行くよ」


 そういうと、彼女は一気に装置を動かす。


「アッ、ガ~!」


 ついに手足が限界を超えて動かされる。

 それに伴い今までの痛みとは比べ物にならない痛みに襲われる。

 声にならない悲鳴が口から零れ落ちる。

 それでも彼女は手を止める事は無かった。

 そしてついに、人生最大の痛みが俺を襲う。

 意識を手放しそうになるが、次の瞬間には痛みがまるで無かったように感じられなくなった。

 不思議に思うと彼女が聞きたくもないことを言ってくる。


「それじゃ、2回目始めるよ。あと、いつまでもしゃべらないと一生終わらないよ」


 そして地獄は再び始まる。



 ようやく事のすべてを喋ったのは、3回目の話し合いの時であった。

 男はすべてが終わった安堵から、拘束を解かれた瞬間に気を失ってしまった。

 とりあえず彼の話から分かったことは、私の暗殺を依頼したのが、私がわざと見逃していた伯爵の1人であった。

 ほかの貴族より、あまり不正の数が少なかったので、今は良いかと放置したのがまずかったらしい。

 それでも今いなくなってもらっても困るのだ。

 それなりに優秀だからだ。

 仕方がないので、あとでそれとなく注意に行くことにしよう。

 そしてそれから男を担いでミセルとともに自室へと転移で戻る。

 戻ってからしばらくすると男が目を覚ます。


「ひぃ!」


 私の顔を見た瞬間に小さく悲鳴を漏らす。

 人の顔を見た瞬間に悲鳴を漏らすとは失礼な奴だ。

 まぁ、少しばかりやりすぎた感があったが、それのせいだろう。

 このままだと使い物にならないので、少し上位者スキルで強制的に戻すことにする。

 少しばかりスキルで恐怖心を取り除き、その代わりに忠誠心を植え付ける。


「これからよろしくお願いいたします、ネリア様」

「それじゃよろしくね。期待しているから、ジラス」


 こうして新たな使用人が増えた。

 ただ今は、これ以上の人員の必要性がないため、これ以上の来客は面倒である。

 なので、私は1週間ばかり使って、余計な手出しをしそうな者に忠告をして回ることとした。

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