この家の問題点
みんなが、仕事している間に、お風呂に来ていた
「風呂の魔石に、水の魔力をためるとしても、すぐにはたまりそうにないしな・・・」
「まあ、今日は魔法で直接水を貯めるか」
この世界の魔法は、基本イメージで発動することができる
火をおこすだけだったら、属性さえあれば誰でも無詠唱で使える
ただし、ほとんどの人が、魔力を貯めることが必要になり、戦闘のイメージしやすいよう、詠唱してから使用する人が、ほとんどである
「よし、じゃあやるか」
おれは、手を前に出して手のひらからお湯が出るイメージを行った
火と水を合わせるイメージで、ライオンの口からお湯が出てきている感じを手のひらで代用している感じだ
10分もしたら、1階の風呂、大浴場とでも言うことにしよう、と考えてる最中に
お湯がたまった
「そんなに、時間がかからなかったから、風呂にある魔石に火と水の魔力をそれぞれ、ためようか」
と思い、魔石に同時に魔力を込めていった
しばらく魔力を込めていると、魔石が魔力をはじく感じがしたので、込めることをやめた
便所の水の魔石の状況が気になったので、横の便所に見に行った
マリサが、フラフラの状態になりながら魔石に魔力を込めていたので、すぐに辞めさせた
「そんなにフラフラになってまで、駄目じゃないか!」
「すみません、役に立たなくてまた売られてしまうのではないかと思って」
涙目で、答えてきたので
「馬鹿だな」
そう俺が言うと
「馬鹿とは何ですか、馬鹿とは」
泣きながら、すごい剣幕で怒ってきたので
「馬鹿だよ、俺がそんなことで売ったりしない、っていうか二度と手放さないよ?」
笑いながら、そう返した
マリサが、さらに泣きながら
「なんで、ご主人様はそんなに優しいんですか?そんなにされたら、もうあなたなしでは生きていけないですわ」
大泣きの状態なので、ほかの人には顔を見せることができない状態である
アイテムストレージから、タオルを取り出し、頭の上からかけてあげた
「今日はそこで俺が魔石に魔力を貯めるのを眺めてたらいいよ」
「今日は、もう限界でしょ?」
そこに座り込んで、弱弱しく「はい」と答えた
俺は目の前で、魔石に水の魔力を注いだ
ものの5秒で魔石がいっぱいになった
「え?え?もうですか?何をなさったのですか?」
マリサは、驚き隠せずにいた
「いや、ちょっと強めに魔力を注いだだけだよ」
「ちょっとってそんなレベルじゃないですわ、今まで見たことがございませんことよ」
「本当にご主人様は、神の使いとかではないのですか?」
驚きすぎて、マリサの口調がおかしくなっているが笑って
「そんなことはないよ」
とだけ答えておいた
マリサを抱えて、部屋まで連れて行った
そのまま寝かして、階段へと向かった途中で、ゲストルームに違和感を感じた
ゲストルームの扉を開くと、そこに女性が1人立っていた
「どちら様ですか?」
俺が質問したが、大体予想できているのでさらに
「この部屋で、行方不明になった貴族令嬢ですよね?俺は、今この屋敷の所有者のリュウって言います」
「安心してください、あなたが嫌がらなければ、強制的に追い出すことはしませんし、成仏なんかが希望であれば、お手伝いしますよ」
そう伝えると
「あなたは、私が怖くないの?ゴーストなのよ?」
「ゴーストかもしれませんが、モンスターではないでしょう?」
「話を聞かせてもらってもいいですか?」
俺が尋ねると
「私は、スミレというの、お父様から連れてきてもらって、どうしても1人で寝たかったから、無理やり頼んで、この部屋に寝たの、そうしたらあの時、天井から黒い煙にまかれた魔物・・・ううん魔族が、出てきたの、魔族は、私の体を奪い、私をこの家に縛り付けて去っていったの、もう100年位前になるのかしら?」
「それから私は、そのことを誰かに気付いてほしくて、いろいろ動いてみたんだけれども、悪霊だなんだと騒がれて、誰も相手をしてくれない状況だったの」
「久々に、人が現れて、強い魔力をかんじたからもしかしてと、諦め半分であなたの前に出てきたわけ」
「わかりました、すぐには無理かもしれませんが、この家から出ることができるように、代わりの体か器みたいなものをさがしますので、待ってもらっていいですか?」
俺は、そう答えた
「私は、あなたを信じいつまでも待ちます」
スミレは、力強くそう答え
「あなた以外の方に見えてしまうと、恐れられてしまうでしょうから、しばらく隠れておりますね」
「それでは」
スミレは消えていき
その晩は、しずかに過ぎていくのであった
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