アラダでの騒動 2
アラダの町を飛び出した俺達は、アラダから10キロほど離れたアラダのダンジョンまで真っ直ぐに伸びる、なにもない原っぱを移動していた。
これまでのスタンピードのせいで、ダンジョンから町までは草は生えているものの、木は全てなぎ倒され、ダンジョンの入り口まで見通しがいい状態になっていた。
俺達の前方には、すでに5キロほどの所にスタンピードを起こしているモンスターが確認できた。
「おーい、リュウ、言われた通り馬車持ってきたわよ。」
スミレには、馬車に乗って移動してくるように、指示したのだ。
「よし、それじゃあ全員揃ったな。今からスタンピードを興しているモンスターを駆逐する。まずスミレは、馬車に乗ってマシンガンを使え。次にデニスは馬車の中で待機。シルフは、ウィードに乗って遊撃、残りはデザートイーグルで殲滅する。デザートイーグルが熱くなったら、馬車の中で交換して殲滅を続けろ。皆準備してくれ。」
「「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」」
俺は、すぐに馬車の中に行き、デザートイーグルを複製を続け予備として30丁準備した。
俺達は、5メートル間隔に横一列に並び、それぞれ両手にデザートイーグルを構え、モンスターの接近を待った。
デザートイーグルの推定射程は、通常80メートル程、魔法で強化されていても、およそ150メートル程はあるが、スタンピードで大量のモンスターが向かってきているのは、やはり少々恐いものがある。
((ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド))
この大地さえも震えるような地響きを興し、土煙を上げながらモンスターが迫ってきた。
「GYaaaaaA」
「GUOOOOOOOOOON」
「BUOOOOOOOOOOO」
「KYAAAAAAAAAAA」
すでにモンスターの声が近くに聞こえるようになってきた。
「よし、それじゃあ、殲滅開始!」
1番射程と連射力が高いのは、馬車に装備されているマシンガンだ、前回馬車を改造した際にも、馬車自体かなり改造しておいた。
無限カバンならぬ、無限トランク。
昔のマンガを彷彿させるようないくつかのアーム。
そもそも飛ぶことは出来たのを、ペガサスの速度についていけるように加速装置。
自動追尾広域殲滅ミサイル。
等々、それ以外の装備については、使用することがあれば紹介したいと思うが・・・
まあ、この馬車に乗っているスミレとデニスは、どうやっても安全が確保されているのだ。
開始を告げたことにより、スミレがまずマシンガンではなく、いきなりミサイルを発射した。
ミサイルは、モンスターの先頭をさけそれよりも後方のモンスターのあたりに着弾した。
半径20メートル位のモンスターは、形も残さないくらいにぐちゃぐちゃになって、周辺のモンスターに降り注いだ。
周辺のモンスターによっては、飛んできた骨に体を貫かれ絶命したものや、肉片がぶつかり足などを負傷して動けなくなったものもいたが、さらに後ろから走ってきたモンスターに、潰されたり、吹き飛ばされたりして、何とか生きていたものまで絶命した。
先頭のモンスターが、射程に入ったため、俺達もデザートイーグルで殲滅を開始した。
先頭には、ガゼル系のモンスターが多く、その後ろにボア系のモンスターが続くように走っていた。オーク系はスピードが遅いためか、まだまだ後方になんとなく見えるだけなのだが、オークは2本足で、走っているため、その両手に武器を持って走っている。
それも、振り回しながら走っているため、近くを走っている別のモンスターが、絶命したり、違う方向に吹き飛ばされたりしていた。
次々にモンスターを倒しているため、モンスターの死骸によるバリケードが出来上がってきていたのだが、そこにオークが追い付いてきたため、吹き飛ばしてきた。
俺達の方向にも当然ながら飛んできていたので、ミミが咄嗟に風の鎚で吹き飛ばしていた。
全員かなりの速度で連射しているため、すでに馬車にデザートイーグルの交換に行っていた。
「リュウ、銃がこのままのスピードだと間に合わないわよ。何とかならない?」
「わかった、すぐに複製しに行く。マリサここは頼んだぞ。」
「わかりましたわ、ご主人様。戻ってこられるまで、お任せください、」
俺はすぐに馬車に、戻りデザートイーグルの複製を始めた。
デザートイーグルの複製はなれたもので、両手それぞれで複製していった。
ものの5分あれば、30丁のデザートイーグルを複製出来るようになっていたので、予備も含めて60丁のデザートイーグルを複製した。
俺が複製作業しているときにも、デザートイーグルの交換に次々に来ていた。
この状況だけ考えても、以前オークの討伐した時よりも、数が多いことが考えられた。
そこで俺は、
「キャサリン、コルトバイソンをレールガンに魔力最大で使え。」
「わかりました、リュウ様。」
キャサリンは、コルトバイソンを構え魔力込めだした。
((キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン))
「リュウ様、いきます。」
「いつでもいいぞ。」
((バシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ))
コルトバイソンで撃ち出したレールガンは、銃の先から出たとたん幅が広がった。
前方に進むにつれて、その幅がどんどん広がっていった。
レールガンが過ぎていった後には、モンスターがほとんどいなくなったのだが、射線から離れていたモンスターは生き残っていたが、そこには遊撃でいたシルフとウィードにより狩りつくしていった。
モンスターを殲滅した後には、その残骸を集めて回ったのだが、これには馬車につけていたアームを使い、無限トランクに収納していったため、時間も労力も必要なかった。
「ヒャッホー、モンスター狩り放題だ・・・、居ねえ~。」
と、かなりの集団が集まって来ていたのだが、すでに俺達により殲滅されており、この集団は無意味に終わったのだが、
「なんでだ、折角起こしたスタンピードが、なんでだ!」
「ギゼルグの旦那、確かに発生したのをこのあっしの目でしかと確認したんですが。」
「おう、あの地鳴りでそれが嘘じゃないことはわかってんだが、なんでモンスターが居ねえんだ。俺達『暁の道化師』の金づるが・・・、もう、金も使ってしまって報奨金もらわねえと、次のスタンピード引き起こすことも出来ねえぞ。」
「ふ~ん、いいこと聞いた。」
「なんだ、てめえらは?俺達の話を聞いたからってどうするつもりだ?ああ~ん。」
「まあ、捕まえてギルドにつき出すかな。」
「てめえらが誰だか知らねえが、こちらにゃ100人を越える手下達がいるんだ。てめえらなんかに捕まるわけねえだろ。」
「それじゃあ、かかってこいよ。」
俺は、手を前に出して、人差し指でちょいちょいと挑発した。
「こいつふざけやがって。おい、こいつら叩き潰してしまえ。まわりにいる女どもは好きにしていいぞ。」
「おお~~~~~~」
ギゼルグ一味は、一斉に襲いかかってきた・・・・・が、5分もかからずに、全員倒し終わった。
全員を氷の魔法で拘束し、そのまま放置して町へ戻った。
「あら~、国王陛下じゃないですか。」
「ああ、タケシさん、スタンピードは殲滅してきましたし、スタンピードを故意に起こした犯人も捕まえましたよ。」
「ほ、本当にスタンピードを、ありがとうございます。それで、スタンピードを故意に起こした犯人とは?」
「ええ、『暁の道化師』ですね。今全員町の外で拘束していますから、衛兵でも連れて、捕まえてください。」
「わ、わかりました。何から何まで助けていただきありがとうございます。」
「そんなに、気にしないでください。これからは、ダンジョンを管理して、モンスターを外に連れ出す場合に料金を取るようにしたらいいと思いますよ。」
「わ、わかりました。早速手配したいと思います。」
「それでは、俺達は次の町へ向かいたいと思いますので、失礼しますね。」
俺達は、アラダの町を後にした。
「ねえ、リュウ、アラダのダンジョン入らなくてよかったの?」
「ああ、スタンピードで出てきたモンスター全てレベルがなかったからな、ここに代理者はいないと思ってな。」
「そうだったのね、わかったわ。それじゃあ次は何処に向かうの?」
「次は、セトシェルだ。」
「楽しみにしてるわ。」
スミレは、笑顔をうかべ俺の肩に頭をのせてきたのであった。
そして、そのままセトシェルへ向かったのだった。