アラダのダンジョンに向けて
一通りダンジョンの説明を受けた俺達は、すぐにソンソロルを出発して、アラダに向かった。
ソンソロルからアラダまでは、通常馬車で20から30日ほどかかる場所なのだが、なぜこんなにも時間に幅があるかというと、このあたりは天候が変わりやすく、よく大雨が降るのだそうだ。
大雨になると、間にある川が渡ることが出来なくなってしまうために、時間がかかるそうだ。
しかも、その川はデーメーテールの開国前に拡張も行っているため、船で渡るにしても時間がかかってしまうのである。
まあ、俺達の場合は川の水が増水していようが、空を飛んで渡ることが出来るので問題ないのだが。
ソンソロルからアラダに向かう途中、川の手前に村があった。
「ようこそ、レレイトの村へ」
俺達が、村の入り口につくと、村の若者らしき男が声をかけてきた。
「今日は、どういった用件でこの村に来たんですか?」
「ああ、俺達はアラダに向かっている途中だ。」
「アラダにですか、それであればあと数日は川を渡ることが出来ませんよ。」
「そうなのか、まあ今日はここに泊まろうかと思っていたから、宿があったら教えてくれるか?」
「ええ、この村はほとんどが宿の集まりになっていますので、食堂も宿に併設されてますから、商店の表示以外のところにいかれたらいいとおもいますよ。」
「そうか、ありがとう。」
この村も、今のファン・デ・ノヴァになってから出来上がったのだろう。
以前のファン・デ・ノヴァでは考えられないことだったはずだ。
俺達は、何軒かの宿をまわり、馬車を預かってくれて、なおかつ広い部屋で一緒に泊まれる宿を探した。
ただし、デニスとデービスはそれぞれ個室だけどな。
俺としては、全員別の個室でもよかったのだが、彼女達が、
「絶対リュウ君と一緒じゃなきゃ駄目だよ。」
「そうですわ、ご主人様と別の部屋だなんて考えられません。」
「そうよ、リュウ、私に貴方と別の部屋で過ごせって言うの、やっと一緒に旅出来ているっていうのに。」
「え~と、いや、う~んと、別は。」
などと、全員で俺を責め立ててきたため、色々と探している状況なのだ。
2~3件更に探したところで、諦めて1軒の宿屋を借りきることにした。
元々、部屋数は少なく一部屋あたりの広さは、若干広めだったためだ。
部屋に入りゆっくりしているところに、
((ガシャガシャガシャ))
「オラオラオラ」
「キャーーーーーー」
((ドタドタドタ))
「ガハハハハハハハハハハ」
「いやーーーーー」
「助けてくれ」
「うわーーーーー」
外から喧騒が聞こえてきた。
「ご主人様、この騒ぎは盗賊と思いますわ。」
「リュウ君、ちょっと窓から確認してみるね。」
嵐が外をのぞくと、そこには馬に乗った盗賊が多数見られた。
「やっぱり盗賊ですわ。」
「リュウ様、殲滅してきますね。」
みんなが、飛び出していこうとしたその時、
「おい、悪党、勇者の俺が正義の鉄槌を渡してやる。」
そこに、佐藤 正義が盗賊たちの前に仁王立ちで立っていた。
「なんだ~このガキは、何かふざけたことを言っているぞ。」
「ギャハハハ、おめえら構わねえやっちまえ。」
盗賊が一斉に砂糖に襲い掛かっていった。
「聖剣出現」
佐藤は、以前と同じく聖剣を出現させ正面からくる敵を次々に切っていった。
後ろから、弓で狙われ、後ろからもら利などを持った盗賊が静かに気かづいていっているのだが、佐藤は全然気が付いていないようである。
「ショックウェーブ」
「アイスアロー」
俺達は、弓を持った盗賊や静かに近づいて行っている盗賊たちを魔法で倒した。
((ドタドタドタ))
佐藤は、後ろで倒れる音に気が付いて振り返った。
「おい、佐藤、後ろから敵が来ているから気を付けれよ。」
俺が、佐藤に注意をしたところ、俺に気が付き左手でサムズアップをしていた。
そのまま、佐藤が盗賊たちを殲滅したのだが、佐藤は、
「俺様が勇者だから、助けて当たり前なのだ。お前たち俺様に感謝しろ。」
といって、そのまま村を旅だったということだ。
俺達は、その翌日に村を旅立ってアラダに到着したのだった。