ファン・デ・ノヴァ内のダンジョンについて
俺は、デーメーテールのダンジョンは攻略し、他の代理者がいないことを確認したので、次にファン・デ・ノヴァのダンジョンについて確認することとした。
まずは、ファン・デ・ノヴァの王都ソンソロルのアシュのもとを訪ねることとした。
「アシュ、いるか?」
俺は転移の魔方陣で城の中に移動した。
「リュウ様、いきなりどうしまくりました?」
どこからかすでに話が通っていたのだろう、アシュがすぐに俺の前にやって来た。
「ああ、ファン・デ・ノヴァのダンジョンに入ろうかと思ってな、それでダンジョンの情報が欲しくてアシュのところに来たんだが。」
「そうだったのですね、わかりました、すぐに情報を持ってこさせます。」
「シルビア、シルビア!」
騎士団副団長だろ、そう簡単にいつでも近くにいるわけ
「何でしょうか?アシュ様。」
「って、いたー!、シルビアさん、騎士団だろ、そんなアシュの周りにばかりいていいのかよ。」
「ええ、私は副団長ですが、私の最大の任務はアシュ様の護衛となっておりますから、基本的に側におりますよ。」
「シルビア、そのくらいで、で、話は聞きまくっていたでしょ、情報を持ってきまくってちょうだい。」
「わかりました、アシュ様。」
シルビアは、資料を集めに行った。
「リュウ様、ここではなんですからアシュの執務室に行きましょう。」
俺達は、廊下であったまま話していたので、アシュの執務室へと移動することにした。
しばらくアシュとお茶をしていると、大量の資料を持ったシルビアがアシュの執務室にやってきた。
「お、お待たせいたしました。こちらが今城にある資料のすべてになります。」
大量の資料を机の上に置き、アシュの横の席についた。
「ありがとうシルビアさん、それで先にいくつか質問してもいいかな。」
「はい、何なりと」
「ファン・デ・ノヴァのダンジョンは3か所でいいんだよね?」
「はい、セトシェルの南と、アラダの北西と、カストーとダントルの間にそれぞれダンジョンがあります。」
「名前は、それぞれの地名でいいのか?」
「セトシェルとアラダは地名でいいのですが、カストーとダントルの間のダンジョンは、真ん中ほどに位置しているため、地名では呼ばれておりません。」
「じゃあ、何て呼ばれているんだ?」
「はい、オブスキュリテダンジョンと呼ばれております。」
「オブスキュリテ?」
「暗闇のダンジョンという意味になっております。」
「暗闇のダンジョンか、そうするとダンジョンに出てくるモンスターはアンデット系が多いのか?」
「いえ、暗闇ではありますが、アンデットは出てきませんが、夜目が利くようなファング系やバット系、キャット系やアウル系などが出てくると記録にはあります。」
「夜目が利くモンスターか、広範囲で明かりを照らさないと危ないかもしれないな。」
「たしかに、たいまつ一つ持って入ってしまえば、モンスターのいい的になるでしょうね。」
「まあ、そうだな。で、他のダンジョンは?」
「セトシェルのダンジョンは、これといった特徴があるわけではないのですが、鉱石系のモンスターが多く出ると言われております。しかも階層が大変深く、50階層からできているらしいのです。ここ数百年ほど攻略者が出ていないらしく、報奨金も多額になっているらしいのです。」
「50階層か、かなり深いな。確かにその深さがあって、さらに鉱石系のモンスターであれば、今までであれば攻略は難しかっただろうな。鉱石系であれば、ドロップも鉱石なのか?」
「はい、そこはその通りでして、しかし、現在の冒険者で行ける階層は、せいぜい5階層。鉄、銅くらいしかドロップされません。しかし、セトシェルでは、それを加工した食器や調理道具の販売を行っております。特に行商人が来るようになりましたので、このところの賑わいはすごいものです。」
「それは、楽しみだな。フンドも現在鍛冶の町になってきているので、参考にさせてもらおう。」
「次にアラダのダンジョンについてですが、このダンジョンにはオーク系やボア系、ガゼル系などが多く出ると言われております。」
「それじゃあ、ドロップは肉系が多いのか?」
「いえ、一部のボア系は肉のドロップもするらしいのですが、なにぶん少ないですので、必ずドロップするわけでもありませんので、基本的には生け捕りにしてダンジョン外に外で倒しているのです。」
「確かに、ダンジョン外のモンスターは、死骸がそのまま残るからな、それでは、ダンジョンには、冒険者が仕掛けた罠があるんだな。」
「ええ、そうです、階層的には浅い階層にしかありませんが、かなりの数の罠があると思います。それと、」
「それと?」
「たまに冒険者がスタンピードを引き起こすことがあります。」
「スタンピード?」
「はい、大量のモンスターによる大暴走です。」
「どのくらいの頻度で起こるんだ。」
「そうですね、毎年1回は起きていると思います。なにがきっかけかわかりませんし、毎回理由が違うらしいので。」
「そうなのか、アラダの町はよく大丈夫だな。」
「そうですね、何とかアラダに常駐している兵士と冒険者の働きで何とかなってはいますが、近隣の村なんかは壊滅していると思います。しかも、スタンピードで肉の貯蔵も増えてはいますので、完全に悪いことだけではないと思われているようです。」
「何かしら原因が解明できたらいいんだけとな。」
「リュウ様、解決しまくってくれるんですね。」
アシュが、キラキラした目で俺をみつめていた。
「まあ、ついでにな。」
俺達は、一通りファン・デ・ノヴァのダンジョンについて確認した後、ソンソロルを出発した。