デーメーテールのもう一つのダンジョン(探索中)
俺達は地下2階へとやってきた。
地下1階と変わって、この階は森になっていた。
天井は、まるで空のようで日射しが凄く、まるで真夏日である。
当然のごとく、森の中は凄い湿気で肌に伝う汗がいつまでも止まらない状態だ。
ここには、俺達しかいないため、みんな下着姿になっている。
「ねえ、リュウ、ここすっごく暑くない」
スミレが、手で顔を扇ぎながら言ってきた。
「まあ、仕方ないさ。そういうエリアだろ。」
「でも、どうにか出来ないの?」
「どうにかって?」
「なんとか涼しく」
「涼しくか、まあ出来ないことはないけど」
「何?どうするの?」
「まあ、こうする」
俺は、風の魔法を体の周りに纏わせた。
次に、氷の魔法をその風の中に溶け込ませたのだ。
「まあ、こんな感じかな。ただ、問題なのが、このまま移動しようとすると、魔法の制御に意識をちょっと持っていかれるから、モンスターが出たときに、反応がちょっと遅くなるかな。」
「その辺は、ウィードに任せましょう。」
スミレの言葉に、みんな納得したようで、俺は全員に魔法をかけた。
「おお、これは涼しいだ。」
「う~んと、気持ち、ええ~と、いい。」
「いいわよね、ありがとリュウ。」
スミレは、余程よかったのか俺に抱きついてきた。
俺達は、この森の中を進んでいた。
やはり、このダンジョンは虫がモンスターのダンジョン。
上の階よりまだ見られたモンスターだが、蚊のようなドライモスキートや、蟷螂のような青い色したアクアマンティッス、人くらいの大きさがある蟻のようなドスミール、大きな蛾のクロチマ、色は綺麗だが、明らかに人を惑わしそうな粉を巻き散らかしているレインボーパピヨン
他にも色々といそうではあるけれども、やはり虫しかいないようだ。
ただしこのモンスターは、この森があるからこそ生息しているといっても過言ではない。
「よし、みんな一度上への階段まで戻るぞ。」
「え?戻るんだか?」
「ああ、戻るぞ」
俺がみんなに言った意味がよく分かっていないようだった。
階段まで戻った俺達は、
「ミミ、後ろからくるモンスターを任せたぞ。」
「はいだ。」
俺は前の森に向かって
「火の力を1つ、重なってまた1つ、そこにさらに重なってまた1つ、そこに風の力が加わりて、さらに雷の力を得んとする。」
火の魔法が同じところに次々に現れ重なり合う、火の光は大きくなっているわけではない。
幾重にも重なりあっているように見える炎は、今にもバラバラになりそうに見えるのだ。その炎の力を風の魔法が包み込むようである。
更に、その中に雷の魔法が静かに消えていった。
「我が前に立ち塞がりし、全ての邪なるもの、今ここに裁きの光を与えん。」
「裁きを与える炎嵐」
今回使用したのは、5重の合成魔法だ。
そうはいっても、まだ同じ属性が3つ入っている。
その分制御は容易だったのだが。
目の前の森全てに対し放った魔法、俺の魔力もほとんどを費やしてはなった魔法。
かなりの大きさがあり、燃え尽きるまでしばらくはかかりそうである。
それから、燃え尽きるまでに丸1日以上かかりはしたものの、無事にすべて燃やすことに成功したのだが、やはり問題は発生したのである。
この階で唯一地下で活動しているモンスター、ドスミールである。
天敵になりそうな他のモンスターもいなくなったことから、一斉に地上に出てきたのだ。
その数というもの、ざっと見える限り2~300くらいはいそうな感じである。
そうは言っても、ここのダンジョンのモンスターは、レベルがあるわけではないので、弱いのである。
そこである程度スミレのレベルは上がっているももの、魔法が使うのがちょっと苦手なので、練習相手にすることとした。
「それじゃあ、見本を見せるだ。」
「アイシクルランス」
ミミが、氷の槍を空中に20本ほど発現させ、そのままドスミールに向かって放った。
「スミレ、魔法はイメージが重要だ。イメージが固まりにくいときには、詠唱することも有効な手段だぞ。」
俺が、スミレに告げた。
「うんだ、ご主人様が言うとおりだで、今のアイシクルランスのイメージとしては、そのまま水が槍の形に固まって飛んでいくイメージだ。さあ、やってみたらいいだ。」
ミミが、自分のイメージの内容を伝えた。
「わかったわ、それじゃあリュウ、ミミやってみるわね。」
スミレは、早速魔力を練り始めた。
「アイシクルランス」
見事に、氷の槍が発現したのだが、1本だけ。
ただ、サイズが槍ってレベルじゃない、まるでバリスタのようである。
ミミのアイシクルランスは、1本で1体を倒す威力だ。
スミレのアイシクルランスは、解き放ったところやはり周りを爆風で吹き飛ばしてしまった。
スミレのアイシクルランスは、ミミのアイシクルランスに対して1本で複数を倒す威力になっているようだ。
スミレは、魔力が尽きかけるとマジックポーションを飲み、ドスミールを吹き飛ばし続け、ドスミールを殲滅したのだった。