勇者!?登場
騎士団全員の眷属化がおわり、レベルアップもある程度落ち着き配属先も決定ししばらくたった、デーメーテールで、城に訪問者がやってきた。
((ドタドタドタ))
((バン))
俺の執務室のドアが勢いよく開かれたのだが、
「こ、国王陛下、だ、誰かよくわかりませんが、陛下を訪ねてきている人がいらっしゃいます~。」
扉に飛び込んできたのは、メイド長のチュンリーだ。彼女は、ラパン族、まあ長い耳が特徴のウサギなのだが、耳の色というか毛の色が紫で、目が赤い、身長的には150センチくらいであるが、種族的に俊敏性が高く、仕事のスピードが速く非常に優秀なため、マリサが推薦してきたので、メイド長に抜擢したのだ。
「まあ、チュンリー落ち着け、誰が来たんだ?」
「あ、はい、なんて言いましたっけ、あ、そうだ、勇者って言ってましたです~。」
「勇者!?、何人かのパーティーで来ているのか?」
「いえ、1人です~。」
「1人か、どこかの国で認定でもしたのかな?」
「そんな話は聞かないです~。」
「まあ、わかった、謁見の間に通しておいてくれ、準備してすぐに向かう。」
俺が、謁見の間にいくと、そこには臣下の礼は知らないらしい、子供が立っていた。
「あんたが王様か、俺様は勇者だ、俺がこの世界を平和にしてやるから、ありがたく思っていろ。」
自信満々に、しかも上から目線で、初めて対面したばかりなのに、第一声からこの発言、痛すぎるだろうと思っていると。
周辺にいた兵士達がその発言に対して、さすがにむかついたらしく自称勇者に突っかかっていった。
「貴様、国王陛下になんて口の利き方を、この無礼者め。」
剣は抜いてはいないが、今にも殴り掛かりそうである。
兵士達は、レベルが低いとはいえ一般の人よりは十分に強くなっている、その兵士が子供に殴り掛かればどうなるかは火を見るより明らかなはずだった。
そこには、逆に吹き飛ばされた兵士たちの姿があった。
鑑定をしてみると。
佐藤 正義 Lv:162
「天使に選ばれた、俺様が負けるわけないだろう。あははははははははは。」
こいつ、代理者か。と思い。
「全員下がれ、俺が相手をする。」
俺が直接対峙した。
「聖剣出現」
自称勇者が、スキルを使ったようである。
自称勇者佐藤の手には、青白く輝く剣が握られていた。
「おい佐藤、人の国で暴れまわって、それで勇者なんてよく名乗れるな、お前中二病だろ。」
「はあ、俺様は、天使に選ばれたから、中二病のはずないだろう、あんたむかつくやつだな。」
「まあいい、少し反省してもらおうかな。」
俺が、そう告げたとたんに、自称勇者佐藤に向かって一瞬で間合いを詰めた。
「なっ」
その瞬間には、佐藤の頭をつかみそのまま床にたたきつけた。
自称勇者佐藤は、そのまま白目をむいて倒れてしまった。
「まあ、目が覚めるまで、どこかの部屋でベットに眠らせてやってくれ。目が覚めたら、少しはおとなしくなるだろう。」
ということで、メイドが佐藤を抱えて連れていった。
ここのメイドも、執事も全員眷属化されており、マリサのスパルタ指導により、そこいらにいる兵士よりも実は、メイドのほうが強いということは、兵士たちには内緒なのだが。
しばらくして、佐藤が目を覚ましたらしい。
その目の周りには、打ち付けた後がわかるくらいに、青あざができているらしい。
謁見の間にて再び対面したときには、土下座をしている佐藤がいた。
「すいませんでした。ちょっと調子に乗ってました。俺様は、」
((ゴン))
後ろにいたメイドから、追い打ちのように拳骨を食らっていた。
「まあ、いいから続けろ。」
話が進まないからな。
「天使に聖剣の力をもらったんで、悪魔の使いを倒して回っているんです。ちょっと近くに来たので、挨拶くらいとおもって。」
「ああ、そうなのか、まあ、近くに来た時にはまたきたらいいさ。」
「はい、ありがとうございます。」
なんかちょっと丸くなったかなと思ったが、
「俺様勇者だから、また来てやろう。」
((ゴン))
再びメイドの拳骨を食らっていた。
その日城に泊まって、意気揚々と出発していった。
泊まった時に、メイドが色々と聞き出していたみたいだった。
佐藤は、年齢は13歳で、中学1年生だったらしいのだが、通学中に乗っていたバスが事故にあって、気が付いたら天使に説明を受けていたらしい。
元々、異世界転移ものに憧れがあり、そういった関係の収集をしていたため、天使からスキルを聞かれたときに、聖剣が欲しいと言ったそうだ。
この世界に来て、眷族化は1度も使用していないし、これからもしないということだ。
理由は説明してくれなかったらしいのだが、このまま1人では辛くなるのではないかと思ってしまう。
今のところ佐藤は、悪魔の代理者を倒すことしか頭に無いようで、天使の代理者を倒すことは考えてないみたいだったそうだ。