フンドにて
クローゼを出発して、真っ直ぐフンドに向かった。
「あら~、リュウ様じゃないの~、来るならくるって連絡頂戴よ~。」
ビューティーが出迎えてくれた。
今はビューティーに、領主に任命しているが、あくまでもビューティーは店で生活しているのだ、あの真ん中に建てている建物は、俺の別荘扱いしているらしい。
「連絡しなくて、すまないな、周りの国に挨拶周りをしてきたから、その帰りだ。それで、かなりフンドは賑やかになってきたな。」
「そうなのよ~、どんだけ~、って感じなのだけれども~、鉱山のおかげ~、かな。」
今このフンドは、人口3000人位に増えており、移住希望者、特にドワーフがあとをたたないらしい。
いつの間にか、フンドは鍛冶の町になっており、かなりの商人が買い付けに来ているらしい。
近くに、ダンジョンも2ヶ所あるため、冒険者もどんどんやって来ているらしい。
「ビューティーに伝えることがあってよったんだが。」
「な~に~?」
「フンドの北側、鉱山の東側にフレヴォラントに続くトンネルをつくるから、その事を伝えようと思ってな。」
「トンネル?」
「ああ、すまない。トンネルっていうのは、人工的に作った坑道で、山脈とかを登らなくて善くするために、作るものだ。」
「それは~、どんだけ~!って感じがするけど~、リュウ様がやっちゃうから~、すぐに~、出来るのよね~。ちがう?」
「まあ、今から向かって作ろうとは、思うけどな、それでも数日はかかると思うぞ。」
まあ今回、山脈の麓からトンネルを作るから、長さは大体40キロ位は考えられるからだ。
途中に休憩出来るところも作らないといけないし、何より空気が通るように作らないといけない。
あと、雨水のために排水溝も作らないといけないし、場合によっては、湧水が染み出てくる可能性もあるからだ。
俺は1人で麓まで移動した。
なぜ1人なのかというと、山の地盤の強度なんかは、全て魔法で無視する予定なのだが、もし崩れてきた場合、俺1人ならば対処出来るが、他にいた場合、見捨てることなんか出来ないからだ。
当然土の魔力で、穴を開け始めた。
錬金術も併用して、地中にある石灰等の物質を使用して、壁をセメントのように加工していく。
それを続けて行っていく。
トンネルは、横幅12メートル、高さ15メートルで進めている。
空気については、木の魔法で空洞を開けた木をトンネル上部から伸ばしておいた。
他の天井には、魔道具で作り上げていた。大型扇風機を取り付けておいた。
こんな作業をしているためか、1日に3キロくらいしか進まなくて、トンネルを開けることだけで結果15日かかった。
ちゃんと道にも傾斜はつけておいたので、雨水などは排水溝に流れていくように作ってある。
開き終わった頃、やはりみんな気になったらしく、入り口に全員移動してきていた。
そこには、フンドのギルド職員のリーリアさんも来ていた。
せっかく久々に親族に出会えたのだから、少しでも一緒にいたいのだろう。
フンドのギルドに新しいギルドマスターもやってきて、ギルド職員も増員されたらしいのだ。
リーリアさんも出世して、副マスターに任命されたらしい。
リーリアさんの住んでいる住宅は、俺から委譲されており、フンドで私有地を持っているのは、リーリアさん、ビューティー、ギルド、俺だけなのである。
ギルドマスターは、何処に住んでいるのか?
それは、全てのギルドマスターは、ギルド内に住宅があって、住み込みになっているのだ。
まあ、全員でトンネルの状態を見に来てもらっても、まだ一部完成していないのだ。
途中の休憩場所である。40キロもあるので馬車で走っても2~3時間は少なくともかかってしまうし、徒歩の人に関しては、丸1日はかかってしまうだろう。
いくら所々に、魔道具の灯りを灯していても、徒歩の人が道に休んでいて、馬車が通りかかってもわからずに事故になる可能性もあるからだ。
5キロ毎に馬車も停められて、トイレもあり、仮眠くらいはとれる場所を作っておくことを考えたのだ。
ただ、無人だと、盗賊などが住み着いてしまう可能性があるので、管理する人を募集する必要があるのだが、そこはビューティーが
「もう~、そのくらい任せなさいよね~」
という事で、そこはビューティーにお願いしておいた。
で、5キロ毎の施設は、
「ご主人様、わたくしやれますわよ。」
「・・・・・・・・」
ルーリルもサムズアップしている。
「おでもやるだ」
「リュウ君、趣味にはしってもいいの?」
「リュウ様、任せて。」
「う~んと、シルフ、え~と、やりたい。」
「ご主人様、働きすぎ。」
と、彼女達がやることになった。
それぞれのコンセプトがちがう、施設が出来上がったのだ。
「あと、ビューティー、街道の整備頼んだぞ。」
「任せて~!」
ということで、あとはビューティーに投げ渡して一路、城に帰ることにした。




