クローゼ出発
スミレのことで、正座までさせられた俺は、
「ご主人様、すいませんでしたわ。」
「え~と、ごめんなさい。」
「リュウ君、僕は信じてたよ。」
「嵐、あなた1番責めてましたのに。」
「そうだ、おで直接声に出してはないだが、嵐はすごかっただ。」
などと、俺の周りで、謝るのか、言い訳したいのか、それを繰り返している状況なのだが、
「リュウさ~ん、ナーリヤです~」
玄関の方から、声が聞こえてきたので、言い争いになっている彼女達はおいておいて、玄関に出迎えに行った。
「ああ、待ってたよ。さあ、入って。ちょっと紹介しておきたい人が何人かいるから。それと、今馬車も改良中だから、さあ、奥にどうぞ。」
ナーリヤとターリヤが荷物をもって嬉しそうに入ってきた。
「で、紹介しておきたい人って誰ですか?」
荷物を置くとすぐに聞いてきた。
「え~と、この3人だけどね。」
デービスと、デニスと、スミレを指差した。
デニスとスミレは立っていたのだけれども、デービスは座っていたのだが、俺が指差したことをわかってすぐに飛び上がった。
「自分は、師匠の弟子のデービスと言います。これからよろしくお願いします。」
元気よく挨拶していた。
「まあ、次がこの男性が、この国の王子のデニスね。」
「えぇぇぇぇぇ!王子様ですか。な、な、な、な、なんで、こんなところに。」
「そんなに、畏まらないでくれ、アニ、リュウ様についていきたくて無理を言って連れていってもらっているだけだから。」
なにか、デニスから聞きなれない単語が飛び出しそうだったが、まあ、気にしないでおこう。
「最後にこの女性がスミレだ。」
俺がスミレを紹介したら、何故かナーリヤとターリヤがジトーとした目で俺を見てきた。
俺なにかした?ただ紹介しただけなのに。(泣)
「紹介されました。スミレです。ちょっと前まで、この家の精霊してました。よろしくね。」
「え?精霊?」
「ああ、この家曰く付きだったの覚えてるだろ、あの曰く付きの理由だ。昨日肉体を作ったから、こうして目の前で見えるようになったんだ。」
俺の説明を聞いて、ナーリヤとターリヤは唖然としていた。
「まあいいや、ちょっとその辺りの椅子にでも座ってゆっくりしてて、キャサリンなにか飲み物用意してあげてよ。俺は、馬車の改造とゴーレム作成終わらせてくるから。」
「わかりました、リュウ様」
俺は、裏に出て、馬車を改造を始めた。
改造といっても、今までただの帆馬車だったので、まずは、他の国が乗るような箱形の馬車に変更して、人数が多く乗れるように中を空間を広げる魔法を使用した。
あとは、魔道具を設置して、快適に過ごせるようにしておいた。
しかも、タイヤにダンジョンで手に入れていたスライムの体液を固めておいたものを着けておいた。元の世界のタイヤより吸収性がよく、空気がいらないため、石なんか刺さってもパンクする心配もないものだ、サスペンションは以前着けておいたので、今のところバージョンアップする必要はない。
地下のマヨネーズ工場のゴーレムは作成おわっているが、スミレがいなくなったこの家の守りについて考えたのだ、基本的には魔道具が設置してあるため、そうそう侵入出来るわけないのだが、もしものため、門番としてと、建物周りの警備としてと、果樹園の管理も含めて、12体のゴーレムを作った。
内訳としては、門番が1体、家周りの警備が2体、果樹園が6体、家周りの掃除用が3体だ。
あと、この家自体に新たな疑似精霊を作っておいた。
部屋の掃除と室内の警備は、この精霊の仕事だ。
ただこの作業が終わった頃、すでに日が落ちかけていたので、出発は次の日にすることにした。
翌日、出発するために、今俺達はギルド前に来ていた。
「「それではノートさん、お世話になりました。」」
ナーリヤさんとターリヤさんが、ノートさんにお別れの挨拶をしていた。
「リュウのところが嫌になったら、いつでも帰ってきていいからな。」
ノートさんが、面白がって言っている風に感じるが、その目には、すでに涙で決壊し、ぼろぼろに泣いているのだ。
「ノートさん、言っときますけど、あの屋敷手放したりしませんから、また、遊びにきますよ。それと、以前お話ししておいた、訓練施設は、作りに来ます。」
「おう、ゆっくり待ってるよ。」
「あと、別情報です。」
「なんだ?」
「今度フンドの北側に、フレヴォラントに続く新しい街道が出来上がる予定です。」
「あの、山脈を越えるのか?そりゃ無理だぜ。」
当然、山越えしようものなら、危険極まりないだろう。
「違いますよ、山の麓からフレヴォラント側の山の麓まで穴を開けて通れるようにするものです。出来上がったら、流通の流れが変わりますよ。クローゼが流通に必要な場所になりますから、今から準備しておいてください。トンネル・・・・、大きな坑道みたいなのを作り終わったら、すぐに訓練施設作りに来ます。」
ノートさんは、ポカーンと口を開けていたが、今の話をわかった人は、慌てていた。
「どちらにしても、街道がすぐ整備が終わるわけではないですから、早めに準備したらいいですよ。それじゃあ、いってきます。」
矢継ぎ早に話をしすぎたと、少し反省したが、いつまでも説明のために滞在できないので、出発することにした。
俺の「いってきます。」にやっと反応したノートさんは、
「おう、いつでも帰ってこいや。」
「「「「「「「「「「「「行ってらっしゃい。」」」」」」」」」」」」
沢山の人々から見送られて、俺達は出発した。