クローゼでやること
久々にクローゼに戻って、ギルドに向かったのだが、
「おうおうおう、リュウやっと帰ってきやがったか、ちょっと見ない間に、国王かよ。か~っ、お前すげ~よ。」
ノートさんが、俺に気が付くなり、近づいてきて俺の肩を叩きながらそう言った。
「もう、ギルドマスター、国王なんですから、その口の聞き方はないでしょう。お帰りなさい。リュウ様。」
「ただいまです、ターリヤさん。」
そう、ノートさんに注意していたのは、ターリヤさんだ。
((ドタドタドタ))
((バン))
「ハア、ハア、ハア」
後ろを振り返ると、俺に飛び込んでくる女性の姿が・・・
俺はそのまま抱きしめた。
「お帰りなさい。リュウさん。」
そこには、笑顔で涙を流しているナーリヤさんがいた。
「はい、ただいまです。」
「おいおい、あっち~な。どこだかわかってるのか?」
ノートさんは、居たたまれなくなったのか、ちょっと悪態をついていた。
その一言に、ハッとしたのがナーリヤさんだった。
急に俺から離れて、反対を向いてしまった。
俺は、ノートさんをちょっと睨み付けてしまったが、その視線をさせるように、天井を見上げて口笛を吹いていた。
そこで口を開いたのが、ノートさんなのだが
「国王様になったのに、こんな片田舎に今日はどうした?」
「今日は、お願いがあって来ました。」
「お願い?」
「ええ、ナーリヤさんとターリヤさんに俺の国に来てほしいんですが。」
「2人をか?でもな、2人に抜けられると、このギルドがな・・・」
「すぐにとは言いません。後任が準備出来たらでいいんです。必要な経費もこちらで準備しますから。」
俺は必死に頼み込んだ。
「そうは言ってもな・・・」
ノートさんは、腕を組んで悩んでいた。
「おい、いい加減にしとけよなギルドマスター。」
「わかってた話じゃないか。」
「いつ迎えにくるんだ、あいつ。って言ってただろう。」
など、周りの冒険者達から野次がとんでいた。
((バン))
後ろを振り返ると、そこにはゴビットさんがいて、見馴れない少女を3人連れていた。
「ギルドマスターも人が悪い。リュウ様ギルドマスターは、いつ迎えに来てもいいように、この3人を後任になるように、育てていたんですよ。」
ゴビットさんが、にこやかに俺に告げてきたが、そこでギルドにいる人全員がカウンターに注目した。
カウンターには、涙を流しているターリヤさんがいたからだ。
ターリヤさんは、基本いつも冷静で、情に流されなく、感情をあまり面に出さない人だったからだ。
そのターリヤさんが涙を流しているのだ、その状況をターリヤさんの人柄をよく理解しようとしていなかった人からすれば、あり得ない状況だろうから、ターリヤさんを注視しているのだ。
「マ"、マ"ズダー、い"づのまに~、○※△■×。」
泣き崩れて、もう途中から何を言っているかさえ、わからない状態になっているのだ。
しばらくして、落ち着いたターリヤさん
「取り乱してしまいました。もう、大丈夫です。」
「おう、滅多に見れないものが見れたから、あれが1番嬉しかったぜ。」
ノートさんが、ものすごい笑顔でターリヤさんを見ているのだが、落ち着いたターリヤさんは、顔色1つ変えることなく冷ややかな目で、ノートさんを見ていた。
俺は、そんなターリヤさんを見て、今必死で恥ずかしいのを我慢しているんだろうな~と思いながら見ていた。
「で、リュウよ、わかった通りこの2人連れてっていいぜ、ちゃんと後任は準備しといたからよ。」
俺は、この人、ノートさんには、敵わないなと思いながら
「ありがとうございます。それじゃ、2人ともいつでも出発出来る準備しといて、ちょっと家の方でやることがあるから。」
「「わかりました。」」
俺達は、ギルドを後にして家に戻った。
家に戻り俺がやることは、2つだ。
1つ目は、マヨネーズのオートメーション化。
ゴビットさんは、ここに自由に入れるのだが、流石に作成をさせるわけにはいかないのだ。
まだ、在庫はかなりの数あるのだが、スネアーズの特産品になっているから、今後どのくらい必要になってくるかわからないからだ。
ゴビットさんに迷惑をかける訳にはいかないので、オートメーション化をしようと考えたのだ。
まずは、卵の自動割り機だ。無限カバンをセッティングしておいて、自動的に洗浄して、卵黄と卵白まで別に分けてくれる機能もつけた。
次にマヨネーズを作る機械だ。
これは、タブレットで調べたらすぐに出てきたから、参考にして作ったが、これにも卵以外に必要な3種類は、無限カバンをつけておいた。
出来上がったマヨネーズを、錬金術を付加して造り上げたビン作成機を作り上げ、マヨネーズを自動で瓶詰めするようにした。
あとは、ゴーレムを作り上げて、無限カバンと同じ機能を持たせた保管庫に運ばせるように作り上げた。
これで、1つ目は終了だ。まあ、数ヶ月毎に材料の追加に来ないといけないが、そこは妖弧族にでも頼んでおけば、問題ないだろう。
もう1つは、スミレだ。
紅に全く問題は発生していないからだ、今まで待たせてきたから、頑張って体を作ってあげたいと思っているのだ。
そこで、まずはキャサリンに前回と同じく体を作ってもらうのだが、スミレ本人に希望を聞いたところで、
「貴方の好きにしてくれたらいいわ。」
って答えてきて、本人の希望がわからないのだ。
とりあえず、以前の髪の色が薄紫で、目の色が青だったってことだけは、聞き出すことができたのだが。
もう、ここはキャサリンに一任するしかないと、髪の色と目の色だけは指定した。
後は、キャサリンの考えに任せるだけだ。
そして、出来上がった体は、身長160センチほどで、やせ形だけど、胸はキャサリンいわく大体Eカップ、パリコレに出てきそうな、体つきをイメージしたそうだ。
ただ、身長はおさえめにしたらしい。
キャサリンは、スキルの途中キャンセルをしたために、魔力がほぼ枯渇状態にまた陥ってしまったので、キャサリンをベッドに連れていき、寝かせておいた。
キャサリンが作ってくれた体に、スミレの魂を移さないといけないので、その体をゲストルームに移動させた。
スミレは、元々このゲストルームでこの家に封じられてしまったのだから、魂の大元はここにあるのだ。
俺が新しい体の上で、直径8センチの大きさの魔石を左手に持っている。
右手を床につけて、全属性の魔力でスミレの魂を包み込んだ。
その魂と魔石を1つに合わせた。
魔石は凄まじい光を放ち、その光と共に新しい肉体へと入っていった。
しばらくして、その体がピクッと反応したのを見て、
「スミレ、気がついたか?」
スミレの体は、ゆっくりと目を開けていった。
「やった~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ぁ」
スミレの大きな声が響いた。
「ありがとう、え~と、なんて呼ぼうか?」
スミレは、今まで呼び方が一定していたわけではなかったので、
「好きに呼んでくれ。」
「う~ん、じゃあね、リュウ」
いきなり呼び捨てだったが、スミレの方が年上だから呼び捨てでもいいのかなっと、自分の中で納得してしまった。
「それじゃこれからよろしくな、スミレ。」
俺に抱きついているスミレにそう伝えた。
のだが、俺はこの時1つ忘れていたようだ。
今のスミレは、全裸なのだ。
そのスミレが、俺に抱きついている。
キャサリンは、スミレの体を知っているが、他の彼女達はまだ知らないのだ。
そんな知らない女が、全裸で俺に抱きついて、なおかつ呼び捨てにしている光景。
当然ながら、他のみんなに見つかったものだから、説明する前に、何故か正座させられて、延々と説教されたのだ。
しかも、これはキャサリンが起きてくるまで続けられたのだ。
ようやく、スミレに肉体を作り出しました。
今後とも、よろしくお願いします。