コマンドル近辺の農村にて 4
チンピラを追い払った俺は、すぐにビューティーとアシュに
「村の全家庭に、チンピラの武装集団がこの村に向かっているから、すぐにこの宿に集まるように伝えてくれ」
「なんでですか?家に籠りまくっていれば安全じゃないですか?」
アシュが不思議と思っているんだろう、俺の顔を覗き込むように見てきた
「まあ、この集落の家が石でできていれば安全かもしれないが、この村はすべての家が木でできているだろう、明らかに強いとわかっている奴がいる場合、アシュさんだったらどうする?」
「そうですね、出来るだけ近寄らないですね」
「まあ、半分正解かな。近寄らなくても攻撃しないといけない、でも家の中にこもられていたらどうしたら攻撃できるか、それの答えが燃やすことだ」
「遠くから火の矢を放ちまくれば、攻撃できまくるってわけですね」
「まあ、そういうことだな。そういうことで、急いでこの宿に全員集めてほしいんだ。」
「アシュちゃん、行くわよ~」
すでに、ビューティーが扉があったところから飛び出していた
「オーナー、待ってください」
アシュも慌てて追いかけていた
「それじゃあ、俺達も始めますか、マリサとキャサリンはすぐに転移の魔法陣の設置を進めてくれ、出来るだけ多くな。それと嵐、ダークミストはどのくらいの範囲に使用できる?」
「そうだね、持って半径10メートルって言ったところかな。」
「それじゃあ、村の入り口辺りに設置できるか?」
「うん、任せてよ」
嵐は、すぐに飛び出していった
「シルフと、レイは村人の誘導だ」
「「はい」」
「ミミは風の鎚を準備して、風の壁を嵐が戻ってきたら村の入り口手前に展開しろ。次にルーリルはウィードと一緒に風の壁を越えてきたやつに攻撃しろ、生死は問わない」
「はいだ」
「・・・・・やる」
「ガウ」
ミミ達もすぐに向かった
「やっほー、リュウ君ただいま」
「嵐早かったな」
「うん、スキルだからね設置はお手の物だよ。だけどね、20分くらいしか持たないと思うんだ」
「十分だ」
「それと報告が1件あるよ」
「なんだ?」
「門番の役割していた村人の人が、殺されていたからね」
「わかった、それは予想通りだから仕方ない」
「すべての人を助けるのは無理だ。出来るだけの人は助けたいと思うから、みんな頑張ってくれ」
「わかっているよ、リュウ君」
外を見ると多くの村人がこの宿の前に集まってきていた、といってもせいぜい120~130名程度だ
俺は、村人に向かって
「皆さん、ビューティーさんから大体の話は聞いているとは思いますが、この村が襲われる可能性が高いというか、すでに門番をしていた青年は殺されています」
後ろのほうから泣き声が聞こえたが、今はそれを気にしている余裕はこの村人たちにはないのだ
「今から、皆さんを安全な場所に移動してもらいます。順番にこの宿の中に入ってください、ごったがえすと、余計に時間がかかりますから、こちらの指示に従ってください。では、10人ずつ進んでください。もし順番を無視しようとした方は、容赦なく外に吹き飛ばしますので注意してください」
村人は、家族で固まって動き出した。俺が先に脅しをかけたので、割り込む人や、文句を言う人もいなかった
「マリサ、第1陣と一緒にフンドへ向かってリーリアさんに伝えてくれ、この村人の保護をしてくれってな」
俺は、それだけ伝えるとすぐに村の入り口付近めがけて走り出した
そこにいた、ルーリルとウィードとミミはダークミストを超えてきたチンピラをすでに何人かは倒していたが、すでにダークミストの効力が薄れてきていて、向こう側が見えてきていた
すると、霧の上に火のついた矢が見え始めたが、風の壁によってはじかれていた
効果がないことを悟ったチンピラは、一斉に攻撃を仕掛けてきた
チンピラと言っても元冒険者だったり、魔法使いや、亜人なども混じっているため戦力としては決して低いわけではないと思うし、こんな森の中で、500人くらいはいると思われる
そこで俺は、ゴブリンキングと、ゴールデンキングベアーを召喚した
チンピラたちは、その2体を見ると少し後ずさったが、過ぎに特攻始めた
「たった数体の魔物を使役しているくらいで、ビビッてどうする、野郎ども一気に叩き潰せ」
「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」」」」」」」
人数に物を言わせれば勝てると考えているようだ
「ゴブリンキング、ゴールデンキングベアー魔物を召喚しろ」
俺が2体に命令した
ゴブリンキングの前には、ゴブリン、ゴブリンナイト、ボブゴブリン、ゴブリンメイジなどなどかなりの数が召喚された
ゴールデンキングベアーの前にも、ジャイアントベアー、アイアンベアー、レッドベアーなどなどこちらも負けじとかなりの数を召喚した
すでに数の利もこちらに上がっており、すでに戦意を喪失しているチンピラもいるのである
そんなことは召喚された魔物にとっては関係なく、目の前にいる敵として認識されておらず。蹂躙して回っていた
すでに風の壁も解けていたせいもあって、後方のチンピラから放たれた、火の矢が建物に燃え移り始めていた
ただ、すでに村人のほとんどは移動が終了しており、無人の家を燃やしているのであった
今回襲撃してきたチンピラの中に、取り立てに来ていた男は確認できなかった。既にほかのところに逃げているのだろう、後でこの村の確認だけ来るかもしれないが、そんなことは放っておいていいだろう。
魔物によりチンピラのすべてが、戦闘不能になった後に宿に戻ると、ビューティーとアシュも一緒に待っていた
「どうしたんだ?危険だから早く移動しないと」
「いや~、他のみんなからもね~、早く移動するように言われたんだけどね~、助けてもらっているのに~、置いていくのも悪いな~って思うのよ~」
「そんなの気にしなくていいですから、早く移動しますよ」
俺は、アシュの背中を押しながら転移の魔法陣に飛び込んだ
ちなみに、この転移の魔法陣は移動後に宿と一緒に爆発するようにタイマーをセットしておいたので、悪用されることはないのであった