コマンドル近辺の農村にて 3
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俺達は、1階の食堂に降りてきて食事をしていた
「どうかしら~、食事はいけてる~?、口に合ってる~?」
ビューティーが聞いてきた
「ええ、おいしいですわ。この辺は食料事情が悪いと聞いてますのに、よく準備できましたわね」
マリサが、不思議そうに聞いていた
「そうね~、この村で生産している野菜を分けてもらっただけよ~」
にこやかな笑顔で、ビューティーが答え来てた
「ビューティーさん、この村で宿屋をやってても儲けないでしょう?」
「そうね~、このところ全然来訪者が訪れなくなったからかしら~、よけいに厳しくなってきたわ~」
左手で右手の肘を持ち、右手であごを触りながら答えていた
「失礼を承知でお伺いしますが、さっきの男たちって借金取りですよね?」
「見てたの~!、どんだけ~!」
「ええ、それで借金の額っていくらなんですか?」
「それなんだけど~、もともとは金貨1枚だったのよ~、それでさっき支払ってもらったお金で支払いしようと思ったら~、なんと金貨10枚になっているっていうのよ~、まだ借りて2か月もたっていないっていうのに~、どんだけ~!」
半笑いしながらビューティーは答えてきた
「2か月で10倍、1か月で5倍、それは違法な貸し付けじゃないんですか?」
俺は、不思議でたまらなくなり聞いてみた
「そうなのでありまくります」
追加の料理を持ってきたアシュが、ひょっこりとビューティーの後ろから顔を出してきた
「通常であれば、年利5パーセントくらいが上限のはずでありまくるのですが・・・」
「そうなのよね~、王都で貸し付けを行っている業者だって聞いたから~、借りたんだけど~、何かおかしいのよね~」
いまだに手の位置は変わっていないが、頭は左右にひねっていて、あごのあたりが青くなってきているのがはっきりわかる時間帯となってきていた
「なにか目的は心当たりありませんか?」
「特にこれといったことはないのよね~、まあアシュちゃんがこの宿に来てからちょっと経ってからかしら~」
アシュはちょっと顔が青白くなっていた
「アシュさん、何か心当たりはありますか?」
「あ、あたし、し、しらないし」
おもいっきり頭を左右に振っていた
「そうですか、では、聞き方を変えましょう。アシュさんは、どうしてこの村に?」
「え?なんで?ひ、引っ越したいと思いまくっただけだし、べ、別に、何かから逃げまくっているわけじゃないし、王都から逃げまくっているわけじゃないし」
「もういいですよ、よくわかりました。王都で何か嫌なことがあって逃げてきたんですね。アシュさんは、元々貴族ですか?」
「ば、ばか、違うってば、貴族なんか低くないし」
俺は、頭を抱えたくなった
「は~あ、王族かよ!そりゃ、どうにかしてここを追い出したい訳だよ」
「な、なんで、私が王族だってわかりまくったんですか?私一言も自分が王族なんて言いまくってないと思いまくるんですが?」
本当に何故俺が王族とわかったかもわかっていなかったみたいだ
「アシュちゃん王族だったの~、なんでうちみたいなところに来たの~?」
何か寂しそうな顔をしてビューティーが、アシュに聞いていた
「え、え~とね、最初は何処でもよかったんだけど、オーナー優しいし、色々ミスしまくりしても、追い出すこともないし、何より楽しかったから、本当はすぐにでも追っ手を気にしまくって、出ていくつもりだったの・・・」
アシュの目には、今にもこぼれ落ちそうな涙が溜まっていた
「も、もう、わかっちゃったからここにはいれないよね、次のところを探しまくらないといけないかな・・・」
「ねえ、どんだけ~、わ・た・し、そんなにひどい風に見える~?、出ていけって言うと思う~?、なんとかしてあげるわよ、このビューティーを信じなさいよ~」
「で、ても、お金どうしようもないでしょ、このまま私がいたら、お金なんとかなっても、何かしらの問題が起こりまくると思いまくるから」
何故か俺達はいないものとして会話が進んでいるような気がしているのだが・・・
「ちょっといいですか?」
俺が、小さく手を上げて2人の会話に割って入った
「なによ~、何かあるの~?」
「いくつか質問してもいいですか?」
「なに、何かいい考えでもあるの~?」
「まあ、そんなところです。まずビューティーさん、この村から出ていくことになってもいいですか?」
「そんなこと~、別に問題ないわよ~」
「次にアシュさん、ビューティーさんと一緒なら何処でもいいですか?」
「どこでも、ついていきまくるよ!」
俺の目を真っ直ぐに見て答えてきた
「わかりました、ではまずお金の件は俺が立て替えましょう。それと、支払いが終わったらすぐにこの村を出てもらいます。しかも誰からも気付かれないように」
「なんで~、私達何もしてないわよ~、何も返せるものもないわよ~、はっ、もしかしてこの体が目当てね~、どんだけ~!」
「そんな冗談はさておき、俺の予想だと、もうすぐ取り立てに来ると思うのですが」
この時、紅に取り立てに来ていたチンピラの後を探らせていたのだ、この会話をしていた最中に俺が気が付くようにサインを送ってきていたのだ
((どん、どん、どん))
「おい、金返しやがれ、出てこないんだったらこっちから行くぞ」
チンピラは、あきらかに焦った感じで、捲し立てていた
((ば~ん))
ドアを、蹴り倒した見たいで、こちらがわに倒れて来た
「おい、金返せ、返せないだろ、おい、今から奴隷になってもらうぞ」
チンピラ達は、奴隷の首輪をビューティーに着けようと迫ってきていた
「お金なら払いますよ」
俺が告げると
「何だ~、お前なんかに払えるのか~?ああ~ん!」
本当に何処の世界にでもチンピラはいるものだと思ったしだいだ
「ええ、払えますよ、いくらですか?」
「金貨20枚だ!」
「ちょっと~、さっきまでは、金貨10枚だったじゃないの~、なんでそんなに上がってるの~」
「だから、さっき言っただろ、どんどん増えるって。やっぱり無理だろ」
「いえ、払えますよ。金貨20ですね!」
「え、いや、金貨30だ」
「金貨30ですね、大丈夫ですよ」
「な、なに、いや違った。金貨100枚だ」
「どんだけ~!」
「ビューティーさん、大丈夫です。金貨100枚でいいですね。もうこれで間違いないって金額を言ってください!」
「金貨500枚だ!えへへへ、ぜ、絶対に払えないだろ」
「わかりました、では白銀貨5枚でいいですね、ではこれで、その代わり、次に何かしてきたら、わかっているよな!お前たちも、お前たちの後ろ楯の奴等にも言っとけ、『白き獣使い』が黙っていないとな」
俺は、少し笑いながら言い放った
「な、なんだと、し、『白き獣使い』だと、でたらめ言ってんじゃねーぞ」
すでに、おどおどしている
「でたらめかどうか、このウィードを見たらわかるんじゃないのか?まあ、いいや、お前らに選べる選択肢は3つだ、まず、金貨1枚だけ持って帰るか、その白銀貨を持って帰って、俺の気配に一生怯えて暮らすか、この場で死ぬかだ」
「俺達を殺せばお前が犯罪奴隷に落ちるんだぞ、えへへへ」
「それは、お前達が犯罪を行っていない前提だろ、俺はすでに詐欺にあっているからな、すでにお前達は、犯罪者だから俺が犯罪者になることはないな」
「な、え?」
「最初の選択肢以外ならば、どっちにしても死ぬこと前提だがな」
((ばたばたばた))
男達は、金貨1枚を握りしめて走り去っていった
俺達はその姿を見ながら、この後のことを考えるのであった