一章五話 特殊な性格のお姉さん
おはよう、朝だ。
昨晩、調子に乗って筋トレしすぎたのだろう。体のあちらこちらが痛い。そもそも三歳がする事じゃない気がする。だからと言ってやめる気はないがな。
努力なしにはきっとこの世界は楽しめない。
日がまだ出てないが、もうかなり明るい。
ヤノ村の人たちの朝は早い。まだ日が出てないうちから、みんな活動を始める。老人たちは散歩をして、女性は畑仕事やなど、男性はたちは魔物を狩りに出る。
よくもまぁ、目覚まし時計がないこの世界で皆がみんな起きれるもんだ。俺もそのうちの一人だけども。
さて、俺も目が覚めたし、そろそろ行きますか。
「母さん、おはよう」
「あら、おはよう。早いわね」
母さんはもう起きていた。朝食を作っているのだろう。
頭が下がります。
「こんなに早く起きて何かしたいことでもあるの?」
「昨日も言ったけど、外で運動して来るよ」
「……本気で言ってたのね。母さんもついて行くわ」
……なんとなくそう言うと思ってた。
三歳の子供を一人で外に出すのは、少し不安があるのだろう。
「いいよ。俺一人で大丈夫」
「そういう訳にもいかないでしょ。待ってて、準備してくるから」
「もう森に入ったりしないから、危険なことはしないから大丈夫だよ!行ってきます。ついてきたら怒るからね!」
親に努力を見られるのは恥ずかしい。
それに母さんが思ってる「運動」と、俺のするつもりの「運動」とでは少し違うだろう。止められるのも嫌なので、一人で行きたいのだ。
それに村の人たちは、みんなご近所さんの様なものだ。実際のところ、そんなに危険なことはない。
「あ、こら!……まったく、あの子は」
「行ってきます」
「仕方ないわね……行ってらっしゃい!」
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やらなくちゃいけないと思った事、それはランニングだ。やっぱり体力は何においても必要だと思う。それに目的は体力作りだけじゃない。
「おや、ハルちゃん。朝から走ってどうしたんだい?」
「体力作りです!」
「あらあら、まだ三歳なのに頑張るわねぇ」
近所のおばあさん。
「おう!ハル坊じゃねえか!朝っぱらから何してんだ!」
「体力作りです!」
「まだ小せぇのにえらいな!男はそうでなくちゃな!」
父さんの知り合いのおじさん。
「あら、ハルちゃん。どうしたの?」
「体力作りです!」
「そうなの。体力なら、お姉さん一緒にイイ事して付けない?」
「遠慮しておきます」
特殊な性格のお姉さん。
つまり何が言いたいかというと、ヤノ村の人たちのとの交流をしておこうと思ったのだ。
こんな小さな村では皆、助け合うために仲良くしている。実際に母さんも父さんも、みんなそうしている。なら俺もしておいた方がいいと思ったのだ。
まあ、一番の目的は体力作りだが。
かなり走った。
足が疲れて、まともに走れなくなってきた。距離的には大した事ないが、三歳の体ではこんなものだろう。少しずつ、走れる距離を伸ばしていくつもりだ。
しっかりとストレッチをしてから、トマトの状態を見る。
問題なし。
心地の良い風が吹く。
この世界は本当にきれいだ。地球の様に、環境破壊なんて概念は存在しない。そんなの、気にしないくてもいい様な世界なのだ。
風が気持ちよく、変な匂いもしない。するのは緑の香りと、朝食の香り。とても自然豊かだ。
「うっ……眩しい……」
朝日が出てきた。
陽に当たって、少し残っていた眠気も吹き飛ぶ。太陽の光とはらこんなに気持ちのいいものだっただろうか。
決めた。これから毎日、朝日を浴びることにしよう。
「良い世界だな……」
それにしても、とてもよくそう思う。
日本もいい所だった。治安が良くて、社会が整っていて、色々なものがあって便利だった。
でもこの世界は、それらとは違う良さがある。
少しだが思う。
日本で晴人として生き返るのではなく、この世界のハルトとして生き返って良かったと。
朝日を浴びて元気が出る。
今日は、先生の魔法の授業を受ける日だ。実に楽しみだ。今日のやる気が出る。
太陽の光効果で色々とやる気が出た。さて、今日も気合い入れていきますかね。