#0 prologue
アルス神話と呼ばれる神話がある。
その昔、何かのきっかけで創造主アルはこの世に生まれ、世界を創った。
12人の創造神と共に、空を創り、大地を創り、海を創った。大地には草木が息づき、海には多くの生き物が生きた。そうして、神の大地アフェル・アルスは其処にあった。
そんな恵まれた大地に住む我々人間もまた、生の神と死の神によって創られたものである。
魂は輪廻し、一定の時間を生きて消える。我らは、器となる体と、人格たる精神、そして原動力たる魂からなる。体は滅べど、魂は滅びず。そう信じ、逝く人をまた良き転生をと願い見送る。しかし、悲しいのは無論である。
現世は天界、神界、人界、魔界に分かれ、それぞれの間は特殊な力を用いねば行き来出来ない。天界には神とその徒、神界には精霊、人界には人間、魔界には邪神や悪魔が生きているという。自分は人間以外は見たことがない。
人も何も、この世の生ある者は皆、何かしらの力を持っている。犬猫などの畜生は無いと聞くが、自分も影の力を持っている。
影・炎・草・光・闇・水・地・風・心。基本的にはこの九つであるが、我らが主はこの光に加え、特殊な力がある。
それらは神より授けられし力であるという者もいるが、真偽は定かで無い。また、守護者と呼ばれる由来もまた、今となっては謎である。
親から子へ遺伝されるが、基本は父の持つ一方のみ。だが稀に母から受け継いだり、その両方を受け継いだりする。
さて、色々と語ったが、これはただの前置きである。
時は神暦36992年、ところは大陸アフェル・アルスの西、レンダリア地方、セシリア王国。
自分などが語るのは恐れ多いものである。しかしそれでも語ろう。
後に英雄王として謳われる23代国王、アルファイリア・テフィリス・セシルの生き様を。