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Open your eyes  作者: 中嶋太一
9/11

竜脚機・パイルガン・ラプトル (3)

男はヘラヘラとした顔で正義を見ながら語り出した。

 

 「まずそいつは見ての

 通り人間じゃない。

 機械生命体ってやつだ。

 

 人間が造った。

 

 成長はするし飯も食う。

 

 無論、

 

 傷みもある。

 

 感情もな。

 

 生き物だから、

 1度死ねばそれで終わりだ。

 ロボットみてえに、直したら元通りにはならいない。


 因みに性別はみんな女だ、

 

 皆胸がデカくて、いい尻で、


男ウケする顔で、髪の毛と眉毛とまつ毛は生えても体のけは生えない。

下の毛も生えない。

 

 専用のリモコンがあれば、

 どんなに嫌でも、痛くてもその場で動け無くすることも出来るし。

 

 決められた動きを無理やりさせる事だってできるんだぜ?

  

 レイプしようが、

 

 服を脱がされようが、

 身動き一つ取れないようにできる。

 

 何なら余興の一つに大衆の前で服を脱がす事をさせる事も出来るし、

 

 オナニー見せてくれたりだってしてくれるぜ?

 

 

 

 

 

 

 なあ分かったろ、

 

 そいつは歩く性処理道具だよ。

 

 いわゆるダッチワイフってやつだ。

 

 未成年の売春婦が増えまくったから、合法的に作られたのさ。

 人権なんてもちろんねえし、気持ち悪い男には大ウケで、女的にも自分たちがやらなくて良いし、

 

 そいつらには味方なんていなかったし、反抗もしねえから好き放題されてたんだぜ?

 

 生産工場の人間が、ルーザーのファントムに全員ぶち殺されてそいつらは

 やっと解放されたのさ。

 

 まあ殆どうつ病になって自殺したらしいがな。ひょっとしたらそいつが最後の1人かもしれん。

 

 健気だよな?

 

 クソみてえな理由で作られて、

 クソみてえ扱いされてよ、


 それでも、

 

 クソみてえな自分の産みの親達のために戦うなんてなあ。

 世の中理不尽過ぎて涙がでるよ。

 


 

 

 

 

 いや違うな、

 

 

 人間だけが悪い。

 

 世の中が悪いんじゃない。

 

 1部の人間がわるいんじゃない。

 

 大衆が一人残らずクズの集だからこういう事が起きるのさ。

 ファントムが生まれたのだって

自分の事しか考えない人間ばかりだからさ。

 人間自信が誰も信用出来ねえから不満も漏らせずに溜め込んでああなる。

 

 ファントムの数の増え方、

 折れ線グラフで見たことあるか?

 

 笑いがでるぜ?

 

 弧を描いて

 増えていってるんだからな。(笑)

 

 今のとこ香川に集中しているが、

 そのうち外国にも現れるだろうよ。

 

 分かるか?

 

 人間の天下はもう終だって地球様が言ってるのさ。

 散々好き勝手やってきたツケを払えってな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 人間に生きる価値なんて無い。

 

 

 

 

 

 元人間の俺が言ってるんだから

 間違いないね。」

 

そして男は一呼吸おき飛鳥の髪を掴み鬼の形相で睨めつけながら言い放つ。

 

 「てめえはファントムだろ?

らしくねえ事すんな。とっととゴミ共を殺せ。カニバリズムが来て負けたんなら甘んじて受け入れろ。

 

 勝ってギアかジェミニかテイマーになれたんなら、今まで以上に殺せ。

 

 人間のはらわたと

 肉片で街中を飾り付けてやれ。

 

 今ここで誓わねえのなら、

 

 お前も、

 

 人間なんかに味方するそこの女も、

 

 今ここで殺す。

 

 ほら、

 

 今すぐはいと言え。」

  

 飛鳥はやっとこの人の形をした化け物の正体を知り、今は怒りよりも恐怖を感じていた。

 正義はついに力尽きたか、ピクリとも動かない。そして、心のどこかで自分よりも幸せそうな正義を妬んでいた自分の小ささに呆れ、この化け物の意見に、一切の反論が出きず、正しいと思ってしまっている自分の意志の弱さを呪った。

 

 もちろん飛鳥に人間は殺せない。

 

 だがこの化け物を

 迎え撃つ力も、

 

 正義を

 守り抜く力も

 

 飛鳥は持ち合わせていない。

 

 (こいつには...、 勝てない。

 

 

 正義さんも...、 守れない。

 

 見殺しにするしか...、出来ない。)

 

 飛鳥は下を向き、

 諦めようとしていた。

 

 「ツッ!

 

 想像以上のへたれだな!!

 

 いいぜ!!

 

 望み通り、二人仲良く

 あの世に逝けや。」

 

 男は飛鳥の頭をかち割りに左腕を大きく振りかぶる。

 

 

 

 飛鳥はその時走馬灯の様なものを

 みていた。

 

 父と母と兄、3人で忙しなく朝食を取る。

 

 父が首を釣って死んでいた。

 

母が部屋に一人っきりで死んでいた。

 

 化け物に乗っ取られた兄を救い出し

死ぬまでその体を抱きしめ続けた。

 

 『一人残らずクズの集だから。

 

 人間に生きる価値なんて無い。』

 

 (........は?)

 

 

 怪人の体の飛鳥の目が紅に光る。

 そして、男の左の大振りを右腕で弾き、そのまま男の胸ぐらに掴みかかる。

 

 「な!!?」

 

 「...、飛鳥君?」

 

 そして自分の右頬の横で手のひらを強く握りしめ、男の顎に拳をめり込ませる、男の体は回転しながら宙を舞い、地面に体を叩きつけた。

 

 「いっっっっってえぇなクソガキ!!!」

 

 「イッッッツ!!あぁぁぁぁ!!

クソが!!!!!」

 

 反撃にでた飛鳥は、逆に力の差を思い知った。

 

 男を殴った飛鳥の右の拳は砕け、

 赤い血が滴る。

 

 だが、

 「人間に生きる価値がないだァ!?アホでガキみたい妄言言わないで下さいよ!!! クソが!!

 

 一瞬でもあんたが正しいかもなんて思った自分にイライラする!!!

 

あんたの言ってる事は絶対に間違いだ!父さんも母さんも!兄ちゃんも、

生きてる価値がなかったなんて絶対にない!!! あんたの妄言なんて認めてたまるか!! もう二度とあんたに人は殺させない!!!  正義さんも殺させない!!!絶対に!! 絶対だ!!」

 

 男は立ち上がりいつものヘラヘラした顔で話し出した。

 

 「意味不明な事言いやがって、

 情緒不安定かよ、また随分調子こいてるじゃねぇか? てめえみたいなルーザーの雑魚が俺に勝てるとでもおもってんのかよ。」

 

「僕なんかじゃ勝てないとおもいます。でもただじゃやられない、あんたも一緒に道ずれだ!!」

 

 「...、へぇ。ただの無知かと思えば、特典として馬鹿がついてやがった。イライラする。てめえにはクソえげつない死に方をくれてやるよ。

 楽に死ねると思うなよ!!!」

 

 飛鳥は爪を立て真っ直ぐ男に向かって走り出した。男は微動だにせず仁王立ちで顎を突き出し、歪な笑い顔でむかえうつ。飛鳥は砕けた右の拳で男の顔面を思いっきり殴っりかかった。

 だが難なくかわされ、男左腕の刃が

飛鳥の右肩を捕らえ、右腕を持って行った。「さっきのお返しだ」

男は右の拳を飛鳥の胸に叩きつけた。


 その拳は難なく飛鳥の胸を貫いた。

 

 その瞬間飛鳥の瞳の赤い光はまるで使いふるした電球の様に弱々しく消えていき力なくその場に膝をつき仰向けに倒れた。その体はどんどん溶けていった。


「一応同族だからな、情けをかけといてやるよ。

お前が人間に戻った後にはらわたえぐり出してそこのガラクタになっちまった女に巻き付けといてやるよ。ほら早く出てこい。」

 

溶けていく体はついに真っ黒なただのヘドロになった。


………………………………………………………………………………………………


「へぇ〜、弱いけど根性あるじゃん。よし!決めた。一緒に連れていくならお前がいい。」

 

ビルの上で一部始終を見ていた金髪の青年がいる、

(みこと)だ。


みことは目当ての物が見つかった子供のように無邪気笑い、黒いヘドロの中に謎のカードを投げ入れた。


「名前は、パイルガンラプトルっていうんだ。


きっと気に入るぜ?」

  


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