ななくさ
「春の七草、言える?」
「春の、って食えるほう?」
「そうそう、1月7日にお粥とか雑煮に使うやつ。」
「言える言える。うら覚えだけど。」
「う『ろ』覚え、な。ま、いいや、言ってみ。」
「ユリ、サクラ、き……きょ……巨峰? 靴べら、ホトハラさん? 合ってる?」
「ん、まあまあ。あと2つ。」
「えと、ウズラ、うずしお!」
「それらを使った七草粥がこちらになります。」
「渦巻いてるっ! お椀の中、ユリとサクラがぐるんぐるんしてる! かたっ! 靴べら硬っ! なになになに、このぐにゅってやつ。巨峰? 巨峰か? あ、何か肉入ってる。オレ、肉なんて言ったっけ? ああ、ウズラか。……いや、この小さいタマゴがウズラだよな。え、この肉なに?」
「ホトハラさん。」
「ホトハラさーんっ!」