↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

美しい人シリーズ

美しいひと

作者: こうじゃん
掲載日:2017/01/20

フラロルの王には、宿願があった。


王は、小さな頃から、美しいものが大好きだった。

そして、美しいものを手元において、ながめるのが好きだった。


それは、美しい宝石だったり、美しい花だったり、美しい鳥の羽だったり、

美しい細工箱だったりした。



あるとき、ふと、思った。世界で一番美しいひとがみたいと。



国中におふれを出し、美しい者を召し出した。


国中から、美しい男女が集められたが、王を満足させる者はいなかった。



それぞれ美しいのだが、あるものは、瞳はうつくしいが、髪はいまひとつだったり、


唇は愛らしいが、鼻の形がもうひとつだったり、


顔立ちは良いのだが、肌があれていたり、体型が今ひとつだったり、


優雅さがかけていたり、王を満足させる完璧な者は、一人もいなかった。



王は、美しい者がいなければ、作ればよいのだとおもった。


花の品種改良のように、掛け合わせよと。


後宮に美しい男女を住まわせ、衣食をあたえ囲った。

あとは、勝手に番った。


美しい子が次々生まれたが、そうでないものもいた。

それぞれに、きちんとした教育と礼儀作法を教えた。


美しくない者は、城のメイドや下働きに、

美しい者は、他国の貢ぎ物に、特別に美しい者は、王の庶子として、政略結婚の駒にした。


ひとは、見目麗しいものに弱い。

かの者達は、フラロル国の外交に大いに役に立った。



幾年の月日が流れ、たくさんの美しい子供が生まれたが、王を満足させる者はいなかった。

王も、晩年といわれる年になった。


「貴方を満足させるものは、この世にはいないのじゃないかしら? もうお諦めなさったら?」

と、王妃はいった。


王は、王の責務として、王にふさわしい王妃を娶っていた。

外交的にも、戦略的にも、人柄的にもふさわしい人物だった。


王と同じで凡庸な容姿だったが、穏やかで賢い人物だった。

恋愛で始まった結婚ではなかったが、穏やかで温かい愛情が育った。


王という者のならいとして、王の人生もなだらかなものではなかった。


貴族の策略、暗殺未遂、他国の謀略、天災、いろいろな危機があった。


それを一つ一つ、王妃と乗り越えてきた。

凡庸な容姿の王妃であったが、はしばみ色の瞳は美しかった。


困難に巡り会うたび、


「貴方ならできるわ! さあ、二人で、目にもの見せてあげましょう。」


はしばみ色の瞳をきらりと輝かせた。


王妃の勇敢な横顔を見るたびに、


『 うつくしいひと 』というのは、このひとのことかもしれないと、王は思うのだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。