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『神なんて(・・・!!!)』 by紫陽圭

神なんて(・・・!!!)

作者: 紫陽 圭

 めちゃくちゃ久しぶりの創作なので短編です。 

 それをいいことに設定を伏せまくり、序章もどきになってますが、いずれ続きを書く予定。

 また、ご都合主義で突っ走り、一気に書き上げてあります。 

 文体もセリフもくだけてますので、嫌だったら読むのやめてくださいね。

     ********************


「あーーーっっっ!!! ったくもう!!! 戦争なんて冗談じゃないっっっっっ!!!」


 ・・・失礼、少しばかり取り乱した。 思いっきり本音だけど。


「陛下! ご乱心ですか?」


 宰相よ、ノック無しの乱入のうえ、入室第一声が(やはり)ソレか。


「さすが陛下、和解ですね?」

「何が冗談じゃないって?!」


 あぁ、うるさいのが次から次へと・・・。 

 内務大臣よ、嬉しそうだな。 外務大臣はもう戦地から戻ったのか、素晴らしい速さだな。

 他にも各部署トップが、もれなくノック無しで駆け込みながら叫んでいる、ホントうるさい。


「・・・・・・」


 無言で威圧を向けると、(さすがに)上位の者から黙ってこちらを見る。 で、瞠目して沈黙。  

数瞬後、ここは魔(女)王たる私の寝室だと順次気付き、さらに数瞬後にやっと状況を思い出したらしい。 全員が隣の居間に控えていった。 それぞれ実に『らしい』表情で・・・。



 さて、私は魔族の女王の後継者だった。 で、今は在位していて、冒頭のは王位継承後の第一声だったりする。 

 叫んだ声は室内で消え、宰相らが来たのは思念を聞いたから。 

聞かせたかったわけではなく思わず叫んだだけ、なんだけど、魔域全域とおそらく天域の王族と人域の一部の人間には聞こえただろう。

 それだけの広範囲に思念を飛ばせるのは王(以下『女』は省略)だけ、つまり、これで私の継承が告知されたも同然、なんとも微妙な第一声だが、いっそ手間が省けたと開き直ることにした。 


 それにしても、色々面倒なことになるのが簡単に予想できる。

 既に第一陣で宰相達が押し寄せたし、天域と人域もすぐに反応してくるだろう。

 継承ってことは、病床の前女王の逝去であり、私は唯一の家族を亡くしたってことなんだが・・・誰も本気のお悔みなんて言わないし、実は私自身も薄情なほど悲しみは少ない。 

これは、この世界では普通だから気にしないけどね。



「・・・・・・」 

「もしや第2覚醒ですか?」 

「第2覚醒だと?!」


 宰相の沈黙はともかく、内務・外務両大臣よ、私の入室と同時に詰め寄るんじゃない。 

 ざわり。 「まさか?!」「やはり」「これが?」

・・・内容が内容のうえに二人共通なので、周りが一気に騒がしくなる。

今までの私では考えられない叫びに同様しているのがわかる。


「・・・。 とにかく、即時停戦と和解は決定だから」


 一呼吸おいて静かにハッキリ告げると、ピタリと静まった後に全員が私を見て姿勢を正す。 

さすがは上層部の者達、驚き戸惑いながらも状況を理解し始めているのだろう。

私の変化が明らかになり、疑惑が確信に変わっているようだった。


「失礼します。 天域と人域から手紙が届きました」


 室内が静まるのを待っていたかのように執事長が手紙を差し出してくる。 やはり来たか。 思ったより早い。 

 ん? ふと、通信に違和感を感じ取る。 ついさっきまで交戦中だった人域からの通信はともかく、天域のからも期待のような波動を感じるのだが・・・。 


 とりあえず、どちらも和解交渉の打診だったので、『1か月後の今日、正午に南の3叉域で、4人のみで。 領内には出入り不可結界を張る』と伝えると、執事長が下がっていった。



 この世界には、天域・人域・魔域があり、天族・人族・魔族をそれぞれの族長(領内では王と呼ぶ)が治めている。 天術・導術・魔術を操るが異種族の術は使えないし互換性も無い。 

 そんな世界で魔族と人族は戦争をしていたわけだが、思念を文書として伝える上に通信塔は唯一の絶対非破壊施設なので必ず通信は可能、で先程の連絡が成立する。 

まぁ、攻めてた側の魔族が、冒頭の私の第一声で急遽攻撃を中止して総指揮官たる外務大臣が帰城したので障害は無くなってたんだけどね。


 この世界の王の魔力は半端無い。 常に、最高位の術師10人分以上。 他の王族でも最高位の2人分なのだから、王の決定は絶対といえる。

 そして、前王の逝去と同時に継承者が魔力を覚醒させるのが『第1覚醒』。

これは個人で魔力の波動が異なるので高位の術師はすぐに感じ取る。

 ごく稀に起こるのが『第2覚醒』で、魔力覚醒と同時に継承者の思考や性格(!)までもがほぼ確実に変わる。 つまり、大きすぎるほどの変化がもたらされる。 

世界の危機に起こると言われてきたが、つい最近まで記録という概念さえ無かったこの世界では調査も出来ない。 

当事者となった私には予想がついているどころか、近々確信できそうな予感まであったりして・・・。



 さて、あれから1か月。 ここは南の3叉域。 居るのは4人、天族長・人族長・魔族長(私)と人族1人。

 え? 領内の混乱? 主戦派の外務大臣はもちろん戦地の魔族も全員、理論と魔力(威圧)で従わせてあるので問題は無い。 当然、領民へは周知済みだし・・・。

 戦地からは撤退させたし魔域全域に張った出入り不可結界で誰も邪魔は出来ない。 これは、天族・人族も同様の対応をしているのがわかる。 理解力が優れてる。


 で、4人、顔を合わせた途端に沈黙。 お互い完全に初対面、だが何というか・・・。

 おもむろに、自己紹介で天族長が『第2覚醒は50年前』と付け加えれば、人族長と勇者の後継は同じで10年前と明かし、気づいてるだろうけど私は1か月前だと伝える。 

揃って微妙な表情を見合わせ、一気に空気が緩んだ。


「で、アレ(第2覚醒)って、やっぱりアレ?」

「まさかとは思ったが、その『まさか』か」

「こんなこと有るんだな」

「それぞれの話、詳しく聞きたいなぁ」

「3域同時なんて聞いたこと無いが・・・」

「それだけマジでヤバかったってことか」

「被害も悪影響も大きかったからね」

「ウチの母がトドメか」


 私の質問に天族長・人族長・勇者が反応。 たった一言で、認識が共通なのがアッサリ判明。 

話を進めやすくて助かる。


「で、和解で良いんだよね?」

「「「もちろん」」」

「ついでに不可侵条約と通商条約も?」

「「「やはり、だな」」」


 この質問で、方針もこれまたアッサリ決定。 詳細を詰めて後日条約締結となった。



 第2覚醒は前世の記憶の復活で間違いなかったらしい。 

しかも、ここに居る4人は現代日本在住だったことまで判明、『平和が一番!』で意見一致、条約の擦り合わせは『安全なココで、今回同様に』で決定。


 実はこの世界、天域・人域・魔域は同じ地上に有るから戦争も起こり得るわけで・・・。 

でも『交叉域』と呼ばれる各境界は広大で魔力の絶対的な不成立・干渉不可区域。

そして、空を飛べるのは鳥と虫のみだし、いわゆるファンタジー生物は存在しない。 つまり、お互いに争う気が無ければ安全・安心。

 さらに、この『3叉域』は、その名の通り3つの領域の交叉区域だから、集まるのに不公平は無いし、領域に結界を張る負担も少なくて済む。 

離れるほど負担は増えるし、他領域に入ると発動しない術も有るし威力も制御も調整が難しくなるからね。



 無事に話し合いが終了し、今は仲良く昼食中。 

食事はそれぞれが持参。 独自の産物が多いから、交換し合って試食と情報交換。

この世界での素材や料理と、それらを使って前世での料理が作れないか等、交流と同時に通商のネタも話してたり・・・。 前世の時空が同じだから話が早い。


 当然、転生の話も出る。 前世での生活について誰も話さないしツッコまないのはお互いに黙殺。 ただ、人族長と勇者の後継は親友だったらしいし、今までも2人1組での転生だったようだ。 で、あとは今世の苦労話と愚痴。


 どうやっても発動しない術(飛行術とか)が有ることはマシなほうで、(前世視点では)非常識極まりないこの世界の在り方とか、その他色々、今世での先輩達の話にうんざりし、これからの課題にげんなりし・・・。 

 何者かの意図を感じずにはいられない有り得ないアレコレに、今後の苦労が予想されて心の中で叫んだ私は悪くないはず。


「神なんて知るかっっっ!!! バカヤロー!!!」


     ********** 完 **********

設定を活かすとファンタジー要素が増えるんですが、未設定部分も多いし長編の気力が無いので現状ここまでですが、気力が出次第、続き書きます。 消化不良分は『短編だから』で諦めてくださいね。 あしからず。

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