表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
通常生活。  作者:
9/17

九重邸 2

変態兄VS超腹黒妹

「はい、お嬢様。もういいですよー。」

「ん、ありがと侍女長。」

「では、外へ。」

「はいはい。」

侍女長に手を取られ、牢を出る。

「ん~ん、あー、シャバの空気は美味いー。」

「お嬢様、そんな言葉遣いはいけません。」

「解ってる。」

それにしても。

「何なの?この服。」

私はフリルがたんまりと付いたスカートを引っ張る。

フリル地獄なのはスカートだけじゃない。

ブラウスも靴下も最終的にリボンまでもフリルで飾られている。

「完全に、妄想の中での妹像って奴ね。」

「そうですね。」

「いや、侍女長。否定しなさいよ。一応仕えてるんでしょ?」

「いえいえ、私のご主人様はお嬢様だけですよ。それに、此処では自由にさせて貰ってますし。」

「……何したの?」

「何も。ただ、またボイコットすると言っただけです。」

侍女長や。

それは俗世間では脅しと言うんだよ。

それに侍女長がボイコットしたら、他の侍女も板前も執事も庭師も仕事しなくなるじゃないか。

私は別だが、この家の人間は使用人が居ないと何も出来ないのだから。

恐ろしいわ、侍女長。

「で、私はこれから変態なおにいさまに会いに行かなくちゃいけない訳ね?」

侍女長が重々しくも頷く。

「はぁ…、これからの展開が見えちゃっててかなり嫌なんだけど。」

「その時は助太刀致しますから。」

「そういう問題じゃない…」

本当に嫌だ。

まったく、またこの家のくそ長いというか長ったらしい廊下を歩く事になるなんて、思いもしなかったわ。

「そういえば、其処にあの人たちは居るの?」

「居ないと思います。奥様と旦那様は書斎に監禁されていますから。」

「ふぅん、あっそ。」

如何でもいいや。

むしろそっちの方が楽。

「さて、その変態兄は何処に居るの?」

「ええっと、食堂だったと思います。」

「思うって…」

あんたそれでも侍女長か。

とかなんとかやってるうちに、食堂に着いた。

侍女長がノックする。

「お連れしました。」

すると中から

『入れ。』

と短く返ってきた。

「お嬢様、どうぞ。」

侍女長が扉を開けてくれた。

仕方ない。侍女長に教わった礼儀作法を見せてやろう。

私は一歩中に入る。その場でスカートの裾を摘み上げ、

「お初に御目文字仕ります。九重六定です。」

と言って、お辞儀をする。

この時、相手が声を掛けるまで相手を見ない事がポイントなんだとか。

「よく来たね、六定。」

声を掛けられたので、顔を上げて相手を見る。

ふん。なかなか可愛い顔してやがる。

「僕が君の兄、九重椎名だ。」

知ってるよ。

だが、あくまでも外面は良く振舞っておこう。

「始めまして、お兄様。」

にっこりと笑う。使い慣れた愛想笑いだ。

「六定、そんな所に居ないで、もっとこっちに来るんだ。」

命令してんじゃねぇよ、このクソが。

でも、仕方ないから従う。

私が目の前に来ると、椎名は私の頬に触れた。

「六定、君は美しい。」

頬から首筋へと手を移動させる。

はっきり言おう。気持ち悪ぃんだよ!

吐くぞボケ!不快でしかないわ!!

「いい目をしている。」

はい、死んでる目ですよ?

「それに、綺麗な髪だ。」

今度は私の髪に触れてきた。

決めた。

家帰ったら絶対髪洗う。十回洗う。シャンプー無くなるまで洗う。

あ、ひとつ注釈。

私の髪は白髪です。生まれた時から白髪です。多分それの所為もあって育児放棄したんだろーなー。

昔から白髪は鬼子として邪険に扱われるからねぇ。

ま、そんな昔話は如何でもいいや。

今はこいつを如何ぶっ殺すか考えなくちゃ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ