病院 1
ちょっと複雑。
シリアス…?
って、死んでないからね?
死にかけたみたいだけど。
「因果なこって………」
「まさに九死に一生って感じね。」
私の独り言に、隣で林檎を剥いているみーちゃんが答えた。
「本当に、その身体は如何なってるの?」
「それは私が聞きたいよ……」
本当に不思議だ。
今回ばかりは本当に死んだと思ったけど起きたら生きてた。
骨は何本か折れていたが、その折れた骨が内臓を傷付ける事は無かったらしい。
その上、強打した筈の頭にも何の問題も無かった。何回検査しても結果は陰性。
ありえないだろ、普通は。
その所為で個室から出して貰えない。
退屈だ。
「みーちゃん、林檎まだー?」
「まだ、もう少し。と言うか六、家の人呼んだら?」
「は?嫌だし。いちいち侍女長に来て貰うの悪い。それに、あの人達の手なんか借りたくない。」
「筋金入りねぇ…」
みーちゃんは呆れた様にそう言って、私に林檎を渡してきた。
一口齧る。うん、美味い。
「私のお袋の味はみーちゃんの味だよ。」
「強ち間違ってない事言わないで。」
「いーじゃん、別に。だってあの人がこんな事すると思う?したとしてもそれは侍女長が剥いた奴か、毒入りだね。」
「強ち有り得る事言わないで。」
「実際にそうだったし。」
「経験済み!?」
そりゃそうだろう。
この年にもなって、毒殺を図られた事が無いなんて、よっぽど大事に育ててこられたに違いない。
「いや、普通は無いでしょう、そんなの。」
「え?そうなの?」
「六の家しかないよ。」
そうなのかなぁ…。
「そうよ。…このままだと意味が解らないから、読者の皆さんに説明してあげなさい。」
というわけで、説明しよう!
私の家は、かなり複雑なのである!
つっても、それは百ある内二百は私の所為。
なぜなら私は、私の親と呼ばれる人間と血液型が一致しないのだ。
父親と呼ばれる人間の血液型はA型。母親と呼ばれる人間の血液型はAB型。
対する私の血液型はO型。
全然一致しない。
私は本来有り得ない子供なのだ。
もしかしたら、私は妾の子供かも知れないな。
如何でもいいけど。
まぁ、そんなわけなので、私はかなり忌避されて育った。
地下室に押し込められた。
日常的に蹴ったり殴ったり落としたり折ったりされた。
今、あの家を出た私にとってはもう、如何でもいい事なんだけど。