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通常生活。  作者:
4/17

学校 3

ちょっとだけ、バイオレンス。

学級会が終わった休み時間。

私は机に突っ伏していた。

私達以外は全員外に遊びに行っている。元気だなぁ……。

「何があったの?」

遊びに来たゆーちゃんが不思議そうに言う。

「…さーちゃん。」

「おう。」

「……説明してあげて。」

「解った。さっきの時間、クラス会議やっただろ?」

「うん。」

「で、議題は『自分に出来る事』。六はその議題に真っ向から喧嘩売る様な意見言ったんだわ。」

「成程。それでバッシングを受けまくったのか。」

「……………」

黙るさーちゃん。

「え?何、どうしたの?」

怪訝そうな声を上げるゆーちゃん。

少し顔を上げて見てみると、さーちゃんとみーちゃんが苦虫を五十匹ぐらい噛み潰した様な顔をしていた。

「…バッシングだったらなぁ……」

「まだバッシングの方が良かったわね、あれは。」

二人の言う通り。

まだバッシングの方が、乗り切る手があったのだ。

だけど、あの大演説(擬き)を終えた後、私に浴びせられたのはバッシングでも野次でもなく――。

拍手だった。

惜しみない、心からの拍手。

はっきり言うと、叫び出したい気分だった。

叫んで逃げ出したかった。

こんな事になるぐらいなら、まだクラスの全員(+α)に誕生日を祝われて優等生扱いされていた方がマシだ!

私はもし出来れば誰にも関わりたくないのに!

誰の人生も狂わせたくないのに!

こんな事になるなんて、聞いてないよ!

…まぁ、誰も教えてくれないけど。

そもそもこれは、完全に自業自得だ。

墓穴を掘っただけに過ぎない。

此処から穴を埋めるのも嵌まるのも自分次第と言える。

なら、私にも充分に打つ手がある。

ふふふ、この九重六定の自分嫌いをナメるなよ。

神様だろうが何だろうが、私は堂々と蹴散らしてやる。

私の様な存在を許した事を後悔でもしてやがれ。

私は席を立って、窓に近付く。

この教室があるのは最上階の四階。

…仕方ない。たまには身体を張るか。

痛みがあるのが大変だけど、まぁ、私の身体だ。大丈夫だろう。

もし死んでも別に何の問題も無いんだしね。

…っと、その前にしなきゃいけない事があったんだった。

「……さーちゃん、ゆーちゃん、みーちゃん。後始末と隠蔽とその他諸々宜しくお願い。」

「「「了解。」」」

私はその答を聞くと同時に、開いた窓から飛び降りた。

重力に従って落ちる身体。

スカートが靡く。

大人達の唖然とした顔。

子供達の混乱と恐怖が混じった顔。

三人の少し悲しそうな顔。

空は無駄に青い。

ああ、綺麗だ。

私が居なければ、もっと綺麗なんだろうね。

一瞬。

後悔した。

こんなんでも正面に生きてたら変わったの…?

でも、その後悔は直ぐに衝撃で掻き消される。

「ぐはっ……!」

衝撃。

頭を強打。

もしかしたら骨も折れたかな?

あ、視界がぼやけてきた。

何処からか女の子の悲鳴が聞こえる。

ああもう、静かにしてよ。

今すっごく安らかなんだからさぁ。

誰かの声が聞こえてきた。

死んじゃうの?

死なないよ。まぁでも、これで死んでも別に良いかな。

生きたくないの?

別に。え、何?生きなきゃいけないの?

まだしなきゃいけない事もしてないのに?

しなきゃいけない事?

「…それって、何なの………?」

私は、遠くで鳴り響く救急車のサイレンを聞きながら、ゆっくりと意識を手放していった。

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