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通常生活。  作者:
16/17

自宅 2

「……く………り……り…く……りく………」

誰かの声がする。それと、いい匂い。

あ、そう言えばお腹空いてたんだった。

「り……六!」

耳元で聞き慣れた声がした。っつーよりも叫ばれた。

そんな事されたらびっくりして意識が一気に覚醒し、目が覚めて起き上がった。

「んにゅ……?此処は誰?私は何処?」

「はいはい、お決まりの使い古されたネタはやめようねー?それに所々間違ってるよん。」

私がお決まりの使い古されて所々間違ってるネタをすると、声の主であるゆーちゃんが笑った。

「おはよ、六。」

「…おはよう、ゆーちゃん。見事に不法侵入決めてくれちゃってどうもありがとう。」

「なーんかさ、六が泣いてる気がしたんだよねー。」

「………勘違いしないでよね!べ、別に、泣いてたわけじゃないんだからっ!」

「六。」

「何!?」

「涙痕、付いてる。」

「あ。」

しまった。そういや顔拭いてなかった。

「六ってさ、時々抜けてるとこあるよねー。」

ゆーちゃんは面白そうに笑う。

「ま、暫らく寝ときなよ?熱あるんだし。」

「え?熱?」

熱って何の事だろうか。気化熱の事だろうか。

「違う違う。体温だよ。た、い、お、ん。身体の温度。」

「あぁ、そっちか。って、私熱あんの?!」

「今更!?」

「うん、今更!!」

「あはははははははは」

「はははははははははははh…」

笑っている途中で私は真後ろにぶっ倒れた。

「はれぇ…?めがまわってまふよぉ…?なんれぇ……?」

天井がぐるぐる回ってる。行った事無いけど、遊園地のコーヒーカップってこんなんだろうか。

「ちょっ、六!大丈夫?!」

ゆーちゃんが私の顔を覗き込んでいるのが、まだ辛うじて解る。

つか、これが大丈夫に見えるってどんだけ節穴なの?

うわーい、見事節穴認定されましたー。いえーい。

「あー…、ちょっと落ち着いてきた。」

「ほんとに大丈夫?」

「大丈夫だと思いたい。」

「希望的観測?!」

「取り敢えず、其処の棚の中から風邪薬出して。」

「これー?」

ゆーちゃんが棚の中から黄色い錠剤が入った小瓶を取り出す。

「それ。」

「これ、市販薬だよね?病院行かなくて大丈夫?」

「この状態じゃ出られないよ。色んな意味で。」

「ああ、そうだったね(笑)」

笑うんじゃねえよ。

それに、もう病院は懲り懲りだ。絶対病室に閉じ込められて実験台にされる。

「いや、それはないっしょ。」

「…………」

知らぬが仏っつー事なのかな?

「まーともかく、ちゃんと休みなよ?食料とかは持って来てあげるから。」

「う~ん…、私的には責任を取らせたいんだけどねぇ……」

「?誰に?」

そりゃ、あの変態兄に決まってるじゃないですかぁ。

「兄?って、あの妹系エロゲを攻略しまくる悪魔の事?」

「何で知ってんの…。と言うかさらっと人の心を読まないで。」

全く、油断も隙もあったもんじゃない。

でも、まぁこの娘の場合最初っからこうだったし、仕方無いと言えば仕方無い。

「あ、そうだ。忘れてたけど、お粥食べる?」

「超絶今更だね、ゆーちゃん。」

侍女長もびっくりだわ。

でもまぁ、たまにこんな日があっても悪くない、かな。

……いかん。私のキャラが崩れ始めてる。

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