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通常生活。  作者:
13/17

九重邸 6

ばいおれんす

「「「六!!」」」

ぶっ飛んできた壁を避け、飛んできた方を見ると――お決まりの展開だが――さーちゃんとみーちゃんとゆーちゃんが立っていた。

詳しく描写すると、さーちゃんは金属パイプ、みーちゃんはスタンガン、ゆーちゃんはサバイバルナイフを持って立っていた。

…いや、おかしくね?

何で金属パイプとスタンガンとナイフで壁を破壊出来んの?

「お嬢様、気にしてはいけません。作者でも生きているのです。」

「そうだぞ、六。例え塵同然の作者だって、二酸化炭素を排出してるんだ。」

「そうそう、心臓だって動いてる筈だし。」

「家に引き篭もってこんな物語書いてるぐらいだしね。」

作者の扱いが酷い。

というか、さーちゃんにとって生きてるってのは二酸化炭素を排出してるって事なのね……。

じゃあ色々生きてんじゃん。

「で、一つ言っていいか?」

「どうぞ、さーちゃん。」

「お前、その服装どした?」

「あ……」

すっかり忘れてた。俺今完全にフリル地獄のろりっ娘みたいな格好なんだった。

なんだろう、この三人に見られたっていうだけなのに、死にたくなってきた。

「…ゆーちゃん。」

「何?」

「そのナイフ貸して。」

「いーよ。」

ゆーちゃんがサバイバルナイフを渡してくる。それを受け取り、私はさくっと手首を切った。

「って、おい!六!お前何やってんの!?」

「そうだよ!ナイフ汚れちゃったじゃんか!」

「いや、突っ込むとこ其処?!!」

三者三様の驚き。

「あー、大丈夫だよ。手首だから死なないし。それに絨毯が汚れたって、どうせこの人達の書斎だし。」

「「「そういう問題じゃないっ!!」」」

トリオで突っ込まれた。

新ジャンル、トリオ突っ込み。

…ただ煩いだけじゃん。

取り敢えず、ちょっと舐めてみよう。

「……うぇ、鉄の味。」

「そりゃそうだろうよ。」

「でも、ほうれん草みたいで美味し。」

「「「「可笑しいよ!!」」」」

今度は侍女長を含めた四人に突っ込まれた。

と言うか、侍女長って突っ込み出来るんだね。

新発見。いやー、他人の知られざる一面を見るって面白いねぇ。

「お嬢様、取り敢えず止血を。」

「あー、だいじょぶだいじょぶ。ほっといたら治るって。傷も深くないし。」

「いけませんっ!」

珍しく侍女長が声を荒げた。

その場の全員(私、みーちゃん、ゆーちゃん、さーちゃん、男、女)が驚く。

「お嬢様は、如何して軽々とそんな事をするんですか。……ちゃんと、生きて下さい。嫌いだからという理由だけで捨てないで下さい。途中で放棄しないで下さい。そんなの駄目です。お嬢様は――ご主人様はそれを背負って生きなければならないんです。倒れる事は許されません。」

「侍女長……」

「解って下さい。それとも、あの時言った事は嘘だったんですか?」

侍女長は睨み付ける様に私の目を見る。

「……嘘じゃない。」

そう、嘘じゃない。私は侍女長の前では一度も嘘を吐いていないのだから。

あの時言った事を思い返す。

『ちゃんと、生きる。』

『この命ある限り、私は自分の罪を背負い罰を受けよう。私は貴様の罪を背負い罰を受けよう。私は全ての罪を背負い罰を受けよう。』

『だから、この私の足元に跪け。』

……我ながら、痛い事を言ったなぁ。

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