ユキの(不運な)お話【或る日突然或る場所へ逝く事?になりました。】
おはこんにちこんばんわ~。
俺の名前は高村 有希。〇〇高校の二年生だ。
いや、高2だったんだ。夏の終わりのあの日までは・・・。
・・・・・きいてくれるか?
俺の不幸と幸せと汗と涙の入り混じった奮闘劇の始まりの話を。
それはいつもよりも暑い、夏の終わりの日の夕暮れ時。
俺は友達と遊んだ帰りで、ふらふらとその辺を寄り道しながら家路についていた。
いつもなら入らないような道も通ってみたりもしたっけ。
そして一本の路地に入ったのだ。
それは何の変哲もないただの道だった。
でも、俺は妙にその道を歩いて帰りたくなった。
・・・それが間違いの始まりだった。
道に入って中ほどまで来た時だった。
突然何かが光り気が付くと、一面真っ白な神殿のような建物が目の前に存在していた。
周りを見渡すと先ほどまでとは明らかに違う場所に自分はいる。
「・・・ここは・・・どこ?」
「は~い♪いらっしゃ~い!!(グイッ)それでは不運な人間クン、神々の箱庭へ一名様御案内~!!!」
急な展開に茫然としていると、突然現れたクセのある緑色の髪と浅黒い肌をした某ルー○ファ○トリ―3の釣り娘似な、元気いっぱい美少女天使に俺はいきなり引き摺って行かれた。・・・・って、
「ちょ、待て。待て待て待て待てぃっ!?」
「待てと言われても待たない!!これも私の仕事だしね♪」
「いやいやいや、♪って何、♪って!?
それより俺、なんでか知らないが起きたらココにいたんだけど。そんで早く元居た所に返して欲しいんだけどぉ!!」
「アハハハハッ!問答無用!帰してって言われても帰さない~♪というか私じゃ帰せない~♪今から会う神様方に片っ端からお願いしてみたらいいんじゃない?
という訳で・・・Let’s Go~~~!」
「イヤだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
「アッハハハハハハハハハハハハハハハ♪」
――その後結局、緑髪の少女天使に俺は厭々ながらも引き摺って行かれた。
仕方なく俺は少女の云った通りに会う神、会う神にお願いをした。否、正確にはしようとした、という方が正しい。皆様、忙しいとか理由をつけて、話すら聞いてくれなかったのだ。そうして行った先々であの神なら・・・というようなやり取りを先ほどの天使と何度もし、結果今まで、色んな所をたらい回しに。だが全戦全敗。そして俺は最後の頼みの綱、否、神がいる部屋にたどり着いた。――
「こちらの部屋にいらっしゃるのが神の中で最も慈悲深い御方だよ♪」
大きな扉に威圧感を感じる。
「ここなら話くらい聞いてくれるのかよ」
期待しつつ、今までの神の対応に捻くれてしまったが扉に手を掛ける。
ガチャ
思った以上に簡単に開き、部屋の中に足を踏み入れた。
「いらっしゃい!!ようこそ、私の仕事ルームへ!」
幼児が天使のような笑顔を浮かべて(神だけど)佇んでいた。
可愛いっ!・・・駄目だ、駄目だ。てか、この神ならいけるんじゃね?
「・・・うんうん。そっか、大変だったね~。でも、それはできないよ」
笑顔と共に残酷な一言を放った。
「なんでだよ!結局あんたも一緒かよ!役立たず!もう神なんて信じない!!」
軽蔑の視線を送り扉の方へ向き直った。
「私にもしてはならぬ事があるのです。もうそれは叶えてはならない願い。
どうか分かってください」
子供じみた言葉遣いから変わった。
「ティナさん・・・」
顔を歪めてオレの目を見つめる神を前に身動きが取れなくなるような錯覚を覚える。
その時―――――
「ミラ~、ってさっきの小僧じゃねぇか。さっさと何処か行ってしまえ。さもなくば、この場で存在を消してやる!!」
「サレお兄様~」
そのやって来た男神に輝かしいほどの笑顔を浮かべて抱きつく。
「おお、妹よ」
先ほどまでの怒気が消えてほのぼのとした空気が広がる。
一瞬オレとミラと呼ばれた女神との視線が絡まり、女神はそのまま扉のほうに視線を向けた。
ハッ
オレのこと逃がそうとしてくれているのか・・。
ありがとう。ミラさん。
・・・・・で、俺は逃げた。
少し逃げた後、あのシスコン兄貴の声がして、振り返ると正気に戻ったのかどうかは知らないが、あのシスコン野郎が妹を結果的に泣かしたらしい俺を始末しようと追いかけてきていた。
俺は必死に逃げた。
それはもう、これ以上ないくらい必死に逃げた。
だって怖いんだもん。
俺はただ話をしていただけなのに・・・、
すごい形相で追いかけてくるんだもん。
だから一生懸命逃げた。
・・・逃げて逃げて逃げて、その後やっと撒いたかなぁと思うところまで差し掛かって、その後・・・
「ハァ、ハァ、ハァっ、ここまで来ればっ、大丈夫だろ。っハァハァ。」
そこは青々と茂った森の中の巨木の根本。そこに有希は、ドタッと座り込んだ。
少し先には開けた場所があり、遠くには湖と大きな滝があるようで、轟々と水が落ちる音が離れているここまで聞こえてくる。
暫くして・・・、
「あら、あらあらあら・・・こんなところで何をしていらっさるのかしら」
げっ、見つかっちまった!!
―――其処にいたのは、東方のゆかりんに似た感じの、紫の髪をした美女だった。―――
「あらあら、しゃべれないの?随分お疲れのようね。・・・あ、わかった。ティナの兄のサレから逃げてきたのでしょう?フフ、そうでしょう。」
「・・・どうしてわかった?」
「うふふ、やっぱりね。あの子、ティナ命だから・・・。で、何で逃げてきたのよ?お姉さんに話してみなさい。」
優しい声で言われて、俺はなんとなく・・・なんとなく・・・話してみることにした。
・・・話すだけなら別にいいよね。
それにこの神(ひと?)なら・・・という気持ちもあった。
後になってこれが最大の間違いだったと思い悩むとも知らないで・・・
「わかり、ました。・・・えと、実はですね・・・」
-*-*-*-*-*-*-*-*-
数分後、美女と俺は大樹の根元の木陰に座り、顔を突き合わせていた。
「・・・ふーん、なるほどね。」
顎に手を当てて微笑む美女・・・。とってもきれいです。
「じゃあ、転生してみない?て・ん・せ・い。・・・どうせもう体は死んでいるのだし・・・」
「えっ、うそっ」
「本当よ。急に光ったと感じたのは、死ぬ時の何かの要因のせいね。
それにあなたが死んでゴチャゴチャと色々している間にむこうじゃもう3年位経っているわ。
此処と向こうじゃ時間の流れが違うのよ。残念ね。
(・・・うふふふふふ。つけてきて正解だったわ。これであの子が作った新世界を試す為の新しい実験体が手に入る。うふふ。この子にとっては不運な事だけど、そんなの関係ないわ。あの子のためですもの。この子には付き合ってもらいますわよ。うふふ。あの子は喜んでくれるかしら。新しい実験体(物語)が手に入るんだもの。喜んでくれるわよね。そうと決まれば絶対逃がしてなるものですか!!うふふふふふふふふふ。(黒笑))」
この女性、じつは最初から一部始終を見ていて、自分のお気に入りのとある友人のとある実験に使えると思い偶然を装って声をかける機会を窺がっていたのである。・・・哀れ。
「・・・・・・・・・・マジかよ。」
茫然としながら言う少女。
今更だけど、一人称「俺」って言っているけれど、この子少女だから。
「マジ、マジ、大マジよ。だからさっさと転生しなさい。ハイ、決定―。
ほら、わかったらさっさと転生なさい!ええ。さぁさぁ!さぁさぁ!!」
「ちょ、待ってくれよ!普通なんかくれるんじゃねぇのかよ。こういう場合さぁ!」
「いいえ、あげないわ。チートなんて面倒くさい上に貴女には勿体ない。それにすでに色々と
日常的なものを持っているじゃないの。」
「(日常的なものってなんだ!?)」
「だからあげない。生きていくにはソレで充分!じゃあ・・・」
「待って待って。それじゃあチートはいいとして、理由は何?貴女が俺を転生させてくれる理由は?
つか、その前に転生なんかしたくねェよ!俺は帰りたいんだっ!」
「帰るのは無理。そして貴女じゃなくて私の名前はヴィオラよ。
貴方を転生させる理由?そんなもの私のきまぐれよ。」
女性、否、ヴィオラは、どこからか取り出した扇子をいじりながら、情け容赦なく言い切った。
「ハァッ!?ふざけんなっ!!つか、逝くとしたら逝くのは何処だよ!?」
「貴方が逝くのは、私の友人が気まぐれに創った剣と魔法のファンタジー世界よ。高村 有希サン」
「え、なんで俺の名前知って・・・・つか、気まぐれに創ったって無茶苦茶だなぁぁっっ!!!
つーか、死亡率高いじゃねぇかっ!!元の世界に戻せーーーーーーーーーーー!!」
「イ・ヤ・よ!あなたに拒否権はないわ。ああっ、もうっ!!そうこうしてる内に友人とお茶会をする約束の時間がせまってきてしまったじゃないの!!!・・・つまり、もうあまり時間がありませんの。要するにもうあなたは邪魔なんですわ。だからさっさと逝きなさい。ええ。オープン・ザ・ホール」
「おおっと、うっわ!危ねぇな。突然足下に大穴開くなよ!」
突然、有希の足元に底の見えないほど真っ黒い大穴がが開き、有希を飲み込もうとするが、それを彼女は間一髪、跳び避けた。
「(ちっ、避けやがって)うるさいですわ。だからさっさと・・・」
「落ちなさいっ!!」 (ドカッッ!!)
「うっ、うわ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~・・・・・」
ヴィオラはまたまた何処からか出した日傘を振り回し、有希を大穴へと突き落とした。
異世界へと通ずる大穴へ。
「御機嫌よう~」
―――――*――――――*――――――*―――――
「ふぅ、良い仕事しましたわ。」
『ヴィオラ~!』
「あら、ノア!!いらっしゃい!早速だけれどお茶会しましょうか。」
『しましょ~しましょ~う。今日のお菓子は“流水”という名の和菓子だよ~♪』
「うふふ。じゃあ、お着物来て、お抹茶点てましょうね。」
『やった~♪お抹茶だ~♪あれ美味しいんだよね。特にヴィオラのは。だから好き~!!』
「ふふっ、褒めても特に何も出ませんことよ♪・・・では、いつものところに行きましょう?」
『うんっっ!!』 パタパタパタパタッ
ノアとヴィオラは連れだって去って行き、其処には誰もいなくなった・・・・・。
え?大穴はどうしたかって?やだな~、しっかり閉めましたよ。
通りすがりのヴィオラの部下が・・・・・・・・・・・
アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハ・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・はぁ~~~~~~~~~~~・・・。
――――*―――――――*――――――*―――――
所変わって、ヴィオラの友人(人?)、ノアが気まぐれに創ったという世界にあるハルモニア王国。
王国歴984年、王国の或る町で一人の女児が生まれた。その女の子は・・・
「ばぶばぶ、ばっぶ~~~!!。(くっそ~。俺はちゃんと一回避けたのにあいつら思い切り突き落としやがって、憶えてろよ~~~~~~!!)」
・・・有希だった。
有希はこの国でも幸い?極々平凡な家庭で女に生まれてユキ・シルフェニアと名付けられ、父一人母一人兄一人に娘という家族構成の家に無事産まれましたとさ。
―――――*―――――――*―――――――*―――――――
終・・・り?
あ~、楽しかった。誰か読んでくれるかなぁ。わくわく。
ユキの転生した世界でのお話は、気が向いたら書くかもしれません。
あくまで・・・気が向いたら・・・。