ワールド2の4
車を走らせながら考える。
男だった頃の自分なら、あの動きは納得できる。
四歳児の頃から、フルコンタクトが売りの空手教室に通っていた。
もちろん、本人の意思とは関係なく
男は強くて当たり前との母親の意見で否応なく放り込まれた。
今日の出来事で、俺の体には以前の記憶が刻まれている事が分かった。
そして、俺が私になる前の女の子の記憶も無意識下で存在している。
化粧とか‥まあ、その他男にはわかるはずのない色々。
一体、誰がなんのために……
あまり考えないまま、新しい?自分を楽しんでいたが‥‥
これから、どうなっていくのだろう?
また、突然何年か過去か未来に跳んでいくのだろうか?
もし誰かの意思が働いているのなら…
誰??
それとも、もっと大きな力のせいなのか。
そういえば、聖子との出会いも空手のおかげだった。
不良に絡まれる聖子を助けたのが俺。
よほど安物のドラマでもない限り、そんなシーンはあり得ない。
だが、それが現実だった。
そして、偶然の再会………
う、うぅ〜〜〜ん。
そうだ、聖也!
忘れてた。
いてぇ!!
あれ、ぼく??
良かったぁ。
聖也、気がついた?
大丈夫?
う、うん。
あっ、そうか!!
あれ?あいつらは?
なんかね、突然逃げて行った。
どうして?
わからない。
そうだ、千秋何もされなかった?
うん。平気だよ。
私は大丈夫。
それなら良かった。
うん。
あれ!?
千秋、運転できたっけ。
免許は?
運転はできるみたい…
免許は、多分‥ない‥
ええ〜っ!?
だって、お父さんが女の子は免許なんかいらないって。
そうじゃなくて!!
今、千秋、無免許運転だよ。
あっ!そうだ!タイヘン。
!!!!
それにしても千秋、免許も無いのによく運転できたよなぁ。
うん…
必死だったし、オートマだからなんとかなるかと思って。
そういう問題?
ぜ、前世の記憶かなぁ〜♪
いや、それもちょっと……
(チンピラ三人ぶっ飛ばすのに比べたら、運転くらい♪
とは思うけど、ここは聖也のプライドのために‥ねっ♪)