30 最終話 あれから
「キング様、めぼしい者はいたでしょうか」
「ふふふ、カエデはますます、美味くなりそうだね。メイサを見つけて結婚もしたし」
「え、結婚したんですか」
「子どもも五人いるよ。カエデとメイサの魂の光り輝いていることと言ったら」
「さすがですね。一度、現世に戻って再びここに戻ってくる者は、そういませんからね」
「ダイヤ、行ったりきたりしたら、自分のもとの寿命が短くなることは、説明したよね?」
「しましたよ。それでもカエデはセマシを守るために、現世とすきま区を行き来しましたよ。うふふ」
「ヨシとラクも、もっと美味くなるだろう。もうすぐ母親が釈放されるんだよね?」
「そうですね。また、すきま区に来るかもしれませんね」
「さあね。山おじがどんどん食べさせているから、普通の中学生には見えないくらいデカくなってるよ。いつでも柔道でオリンピックに出れるだろう」
「それは頼もしい」
「磨き上げられた魂を食べるのが、待ち遠しいねえ」
「キング様、また新しい魂がやってきましたよ」
「うん、どんどん鍛えてくれ。鍛えれば鍛えるほど、美味くなるからね。頼んだよ、ダイヤ」
「はい、おまかせください、キング様」
ダイヤが診察室に行くと、クローバーが笑いながら治療していた。
「楽しそうね」
「はい、これほど無茶苦茶になりながら、まだ生きている魂もめずらしいですから」
「やりがいがあるわね、クローバー」
「まかせてください、ダイヤ」
「ダイヤ、牛に踏まれたようです。診てください!」
スペードが人間を肩に担いで診察室に入ってきた。
「了解、そこに寝かせて」
公園の真ん中にベッドがあるような診察室で、美しい悪魔たちが人間の魂を今日も治療している。
美味しい魂を食べるために。
了
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
楽しんでいただけましたら、ブックマーク★★★★★をよろしくお願いします。




