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22 ヨシとラク、山おじに会う

 気が付くと、いつもの公園みたいな診察室に転がっていた。


 「やあ、おかえり」


 ダイヤとスペードがカエデをのぞきこんでいる。


 「ダイヤ!ノボルが生き返ったの……」


 メイサがスペードに抱きついて泣き始めた。


 「どうしたの、ノボルが生き返って、よかったのじゃないの?」


 スペードはメイサの頭を優しくなでた。


 「うれしいわ、でも、涙が出るの」


 「うふふ、人間て、うれしいのに涙が出るのね、不思議ね」


 スペードが笑った。


 「あ、ここにいたの、メイサ!」


 ヨシとラクが診察室に走りこんできた。


 「メイサ、大変だよ、キングが帰って、ていうんだ」


 「キングだよ、髭だよ」


 「帰って山おじに言わなくちゃ」


 「メイサ、行こう!」


 ヨシとラクは一斉にしゃべる。


 「待って、何を言っているの」


 メイサが困惑する。


 「僕に言ってごらん」


 カエデが優しく話しかける。ヨシとラクは、カエデをちら、と見て、「メイサ!」と言う。


 「おーい、無視ですか」


 カエデは子ども相手にちょっと腹を立てる。同時に、自分は大人げないなあ、とも思った。


 「あ、そうそう」


 ダイヤが思い出したように言う。


 「ヨシとラクも、キングから呼び出されて、現世に帰るみたいよ」


 「メイサ、来て、来て」


 「一緒に行こう」


 ヨシとラクは、遠足にでも行くかのような調子。メイサは、ノボルの今を見てきたばかりで、表情が硬い。


 「ついて行ってあげたいけど、私一人では自信ないわ」


 メイサが言うと、ヨシとラクは、「えー!」と不服をもらす。


 「じゃあ、おれ、戻らないよ。もっとメイサと遊ぶもん」


 ヨシが目をきらきらさせる。


 「でも、おれは山おじに会いたい!」


 ラクが駄々をこねる。


 「え、おれも会いたい!行こう、メイサ」


 やっぱり、ヨシもメイサに甘える。


 メイサは、本気でため息をついた。しゃがんで、ヨシとラクの目線に合わせる。


 「ねえ、カエデもつれて行っていい?」


 ヨシとラクは、ちらり、とカエデを見た。


 「しょうがないなあ、メイサがどうしてもって言うなら、カエデもつれていってやるよ」


 「メイサが言うから」


 二人はまるでメイサをなだめるかのような態度。


 「こら、こら」


 カエデは、笑いながらも「このチビどもめ」と思っている。


 「さ、決まったね」


 ダイヤがうれしそうに言う。


 「行こうか」


 ダイヤが壁に向かって歩き出す。ノボルを連れて行った門があった方向だ。カエデは今、ノボルと別れてきたばかりで、胸が熱くなる。


 「ダイヤ、おれ、アレックスをつれていきたい」


 「あ、いいな、おれも、おれも」


 「なんだ?アレックスをつれていって、どうするの」


 ダイヤがたずねる。


 「どうもしないよ。アレックスをつれていきたいんだ」


 「……そう」


 ダイヤはヨシとラクをじっと見つめた。やがて、ニッと笑う。


 「いいよ、つれていっても」


 「やった!」


 ヨシとラクは飛び上がる。


 「行こう、行こう、山おじ」


 「山おじ!今行くからね!」


 ヨシとラクは、ダイヤの後について、門をくぐる。長い廊下も元気に歩いて、滝の裏にある青銅の門が開いた。


 「さあ、いってらっしゃい」


 ダイヤとスペードが笑顔で手を振る。


 「いってきまーす」


 ラクはアレックスと一緒に門に踏み出すが、ヨシは、メイサの手をギュッと強くにぎった。


 「行くよ、メイサ、アレックス」


 緊張した面持ちで、ヨシはメイサを見上げる。


 「こら、こら、僕もいます」


 カエデが言うと、ヨシは「カエデも」と付け加え、ニヤッと笑った。


 ノボルの時と同様、しばらく歩くと急に足もとの床がなくなり、一同は下に、下に、下に、落ちていく。気が付くと、上に、上に、上に、吸い上げられていく……。


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