女神と転魔殺しと決着と最強の魔王幹部
私は、指先に魔力を込めた。
指先の魔力の塊は熱と光を放出した。
「…おいおい、マジかよ!」
この人は、手加減すると絶対に避ける。
…でも殺すわけもいかな…
次の瞬間、目の前に一本の剣が飛んできた。
「あぶなっ!」
私は、必死に体と首をねじって避ける。
「そっちがその気なら、火力勝負と行こうか…!」
すると、アスターは剣を鞘に納め、目を閉じて呪文を唱え始めた。
なんて言ってるかは、聞こえない。
でも、さっききの‘‘カオス‘‘以上にヤバい何かがくる…!
…なら‘‘殺す気‘‘でやらなきゃよね?
私は、溜めていた魔力を別の技に使った。
「オーバーフレイム‘‘ライズ‘‘…」
空間に熱風が広がる。
次の瞬間、とんでもない範囲が燃えた。
「…何をしているんだ?」
当然と言ってもいいようにアスターの声がした。
アスター周辺の炎が消えるとそこには、上着を犠牲にして火から身を守ったであろうアスターがいた。
彼の言っていることは当然だ。
今まさに死ぬかもしれない一騎打ちの時に唯一のアドバンテージのチャージしていた魔法を別の魔法に使ったのだから。
でも、こういう一騎打ちって興奮するよね!
なら!スキル‘‘宮本武蔵‘‘のもう一つの能力‘‘武士‘‘を使うしかない!
この能力はまさしく!一騎打ちにとんでもなく強くなる!以上!!
さて、私がこんなバカな真似をしたのは‘‘これ‘‘の為にしたのだ。
『スキルレベルアップ!
スキルの熟練度がアップしました!』
「よし!来た!」
なんでこうなったのかというと、さっきの技は、アスターにではなく、近くのモンスター達に向かって放ったもの。
魔法は使う人や種族によって一回分の魔法の使用魔力は決まっている。
私のこの体の使用魔力は、一応上の中くらいにしてあるけど、さっきのままだと正直、使用魔力で勝てる気がしない、なら!熟練度を上げて、魔力のコストを下げれば万事解決!
私は、指に大量の魔力を注いだ。明らかにさっきのよりも熱量と光の眩しさが違う。
「…! いいね!いいね!面白くなってきた!」
と、アスター目を見開いては、狂気的な、でも、親近感が湧く表情で言った。
空間が異常な魔力に包まれる。
魔力による収束で空間に突風が生まれる
…一瞬、互いの間の突風が一気に強くなったと思うと空間が静まり返った、次の瞬間互いに動き出した。
「ザ・ノヴァ」
「ザ・カオス」
「「‘‘ライズ‘‘!!!」」
白い閃光と何とも言えない色…キメラ色?の閃光が超速度で衝突した刹那。
空間を真っ白な光とキメラ色の光が周囲を照らし
音にならない轟音が周囲に響いた。
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「…? なんか何処かでめっちゃデカい戦闘が起こってる?」
なんとも言えない朝…昼だったか…そのくらいに何故か体がピクピクする?
「なんだこれ?」
なんとも言えない感覚に新鮮味を覚えると
ぴぴぴぴ!
魔王城支給の‘‘魔ホン‘‘が鳴った。
相手は、‘‘エリス‘‘か…
俺は、着信相手を確認して即刻、着拒した。
ぴぴぴぴ!
案の定、また電話が鳴った。
「…めんどくさい女だ。」
ぴ!
「もしもし?なんか用?」
すると、魔ホンの奥からエリスの声がした。
「トロタスア?なんで電話に出なかったのですか?」
「そりゃめんどくさいから。」
「「はぁ」」
「私の能力知った上で言ってますか?」
「ハイハイ、すみましぇん」
「全く…要件を持ってきました。」
「結論から言ってくれ。」
彼女は深刻そうに一息吸って言った。
「転生者です。」
「へーそうか、そんな深刻そうじゃないな、それだけか?」
「はい、しかし事態は深刻です。」
一瞬で空気がピリついついた。
「…魔王様の結界が崩壊しました。」
「ッ! おいマジかよ!」
魔王様の結界は詳細は知らないが、魔王様の寿命を縮めて張った結界は、転生者に限定し転生者を弱体化させる効果があった。
俺たち、魔王幹部の仕事の一つ‘‘転生者‘‘の殺害。
魔王様を討つ可能性のある女神からの使い‘‘転生者‘‘を殺害する任務である。
本来、とても大変な仕事で、魔王様が即位される前は転生者に崩落寸前だったが、魔王様のおかげでとても楽に討伐ができていたが…
「…魔王様は今、いつもどうりメンタルブレイクイングです。しかし、今のあなただと勝てないかもしれない事から魔王様の命令は偵察とある一定の実力を測って来る事です。」
「まぁ、あの人メンタル弱いよな…
分かった、2日後に連絡する。」
すると、電話先から「フフッ…」っと上機嫌な声が聞こえた。
「まぁ、期待してます、‘‘四天王最強‘‘」
「…柄にでもないことを…やってくる。」
俺は魔ホンの電源を切った。