表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

女神、武器を買い 魔王、発狂する

「なんか今、すごい強いやつの叫びが聞こえた気が?」

んー?

「まあ…いいか!」


私は今、スタインの町に入って、町の中を探検中だ!

にしてもこの町、結構広いな。お! 武器屋あった! 魔法はもう使えるから、まあ、いいかな?

私は武器屋のドアを開けた。


「オヤジ~! なんかいい武器あるー?」


「あんた、初めてここに来た客だろ? 茶髪の嬢ちゃん?」


なぬ! お姉さんの私を「お嬢ちゃん」だと! こいつぅぅぅ! なんだ! 背か! 胸か! とりあえず一発!

それにしてもいい店だ(店員以外は)。色んな武器がしっかり手入れされていて…お! 刀がある。


「おっちゃん! 刀のカタログってある?」


「なんだ、オヤジからおっちゃんか? もちろんさ! ちょっと前に転生者から伝わった武器だ。カタログ見るか?」


へ~、転生者たまには役に立つじゃない。


「ええ! 見せて!」


するとオヤジが店の奥から使い古されたカタログを持ってきた。

なになに、「真刀霧雨」、「長袖虎徹」、「雷切」ね。お!「妖刀ムラマサ」とかよさそう! えっ、金貨30枚か。


「オヤジ! このムラマサ欲しい!」


刀を使う炎の魔剣士っていいね! いいね!

するとオヤジが、


「すまんな嬢ちゃん。悪いがムラマサは近接用の武器だから、やめておけ…」


ぶっちーーん。

コイツ、コロス。


「あ、そうだ嬢ちゃん、冒険者なんだろ? ランクとジョブを教えてくれ」


ジョブに関してはそのままの意味で、ランクはギルドの格付けみたいなもの。

…もしかしてコイツ、目が悪いのかしら? まあ、こいつは後でボッコボコにして。


「まだギルドに登録してないわ。ジョブは炎の魔剣士! あと、嬢ちゃんじゃなくてサクメよ!」


「ああ、分かった。俺の名前はライジ、よろしく。それで嬢ちゃん、魔剣士ならこれとかどうだ」


よし、コロス、直チニ。

するとライジが店の奥からバカデカい大剣を持ってきた。多分、160cm。


(ちょっくら鑑定スキルでも使って…)


鑑定スキルとは、女神の加護の追加特典的な感じ…って!

そこには、「魔剣レイジ」とかいうのが鑑定結果に出てきた。

あれ? これって…。


(神の間)

「女神よ、この魔剣レイジで魔王を討ち取って見せましょう!」


あったなぁ~こんなの。鑑定によれば複製品らしいけど…それでも初心者が扱っていいやつじゃない。


「ざっと金貨25枚! このくらいだったら俺のスキルで大量に作れるんだ。どうだ! いいだろ!

しっかり炎属性に調節した奴だ。にしても炎属性とは珍しいな! ガッハッハ!!」


確かにレイジなら…でも…。


「おっと…」


するとライジがレイジを落とした。すると…。


ザシュ!!


石レンガの床に深々と突き刺さった…それも、束の部分でやっと止まったというような感じだ。


「いやいやいや! 使えないって! 重すぎるよ!」


「ん? 何言ってんだ? サクメのスキルならいけるだろ?」


(え? なんで私のスキルを知ってるの? ちょっと鑑定させてもらいますか)


すると、スキル覧に「武器スキル鑑定」というのがあった。

たしか、「宮本武蔵」の特性って「怪力」と「剣の極地」だったけ?


「お前さん力持ちなんだろ? とりあえず持ってみろ」


「いやいや、無理だって」と言いつつ持ってみると。


「おおお!! ホントに持てる!」


マジか、このスキルめっちゃすごい!

これなら!


「オヤジ! 訓練場的なのってどこにある?!」


「おう、またオヤジ呼びか…ついてこい!」


オヤジ…いやライジがニッ!と笑った。

しばらく歩いていると表に出た。見た目は個人用の小さな訓練場で、人型の的が一つある感じで、しっかりと手入れされている。


「さぁ、サクメ思いっきりぶつけてみろ!」


「言われなくても!」


私は大剣の峰の部分に手を当て、手をなぞるように動かすと、大剣に火が纏った。


「いくぞ…!《フレイムスラッシュ》!」


そう言って私は思いっきり大剣をその場で的に向かって振ると、大剣から火が噴き出て、火の斬撃が的に向かって進んで、的に当たると…。


「ボッゴオオオォォォォン」


え?

すると、的が比喩とかなしで跡形もなかった。


「ガッハッハ! どうだ! すごいだろ!」


オヤジが子どものようにドヤ顔した。

にしてもすごい…ほとんど本物と変わらない。

よし!


「オヤジ! これ欲しい!」


「マイド! 金貨30枚だ!」


「や、安い! これ不良品じゃないよね?」


「ガッハッハ! よく言われるわ! 俺のスキル《模倣》と《器用》で大量に作れるのでな! ガッハッハ!」


マジか…まあいっか。

そのあとオヤジから魔剣レイジと、レイジ用のベルトを買った。


「よし、じゃあギルドに行って仲間を集めますか!」


ギルドにて

「さてさて、まずは仲間を集めるためにも、異世界お馴染みのギルドカードを作るために来たけど…」


「ガッハッハッハ!」

「マジかよお前!」

「オラ! 酒浴びてろ!!」

「あ?! やったなてめえ!?」


周りを見渡すと、いかにもヤクザとかマフィアって言われたら「なるほど」と言ってしまうような冒険者がいた。


(なるほど、この世界はいかつい感じの冒険者がいっぱい居る感じの世界なのか。

もしかしてこの世界ハード?)


まあ、どちらにせよギルドカードは作っておきますか。

私は、すっごいにっこにこの受付嬢のお姉さんに話しかけた。


「すいません、冒険者ギルドに登録したいんですけど…お願いしてもいいでしょうか?」


「はい! 冒険者ギルドの登録ですね! では銀貨5枚をいただきますね! ではこちらに!」


私は、トレーに銀貨5枚をしっかり入れた。


「では、ご説明をさせていただきます! まず冒険者ギルドには二種類あります! まず戦士ギルドは近接武器を得意とする方が入るギルドで、主な特典は近接武器が安くなります! 魔法使いギルドは魔法を扱える人が入るギルドで、魔導書が安くなります!」


それからは以下の通りだ。

・ランクはG~S

・死亡、ケガに対してギルドは保証しない

・ランク差1までなら受けられる

・緊急クエストは絶対受けること

などだ。うん、小説のギルドと変わんないね。


「それでは、どちらにいたしますか!」


「そーだなぁ…」


私は近接もできるし、魔法もできるから…よし!


「どちらともお願いします!」


「わかりました! では、まず戦士ギルドの手続きをさせていただきます!」


お姉さんは机の下から古めかしいカードを出した。


「それではこちらのカードに名前と血を垂らしてください!」


え?


「どうかいたしましたか?」


「あの…血って絶対に垂らさなきゃだめですか?」


マジか、この世界ってギルドカードに血を垂らさなきゃいけない世界か?!

するとお姉さんは「うふふふ…!」と笑った。


「なに言ってるんですか? 冒険者なら血を流すくらい日常茶飯事ですよ!」


確かにそうだ。小説とかでもよく「冒険者がよく死ぬのなんて当たり前」的なこと言ってた!

…でもさ、考えてみてほしい…。自分で自分を傷つけるなんて容易に出来ると思う?

もし大切な人を守るとかで傷つくならわかる。でも!


コト…


すると、目の前にお姉さんが鋭いナイフを笑顔で置いた。

この笑顔怖い!


しゃあない、やるか…。

私はナイフをつかんで、自分の指にナイフを近づけ…。


「あわ、あわわわ…」


近づけ…。


「あばばっばばばばばばばば」


ちか…。


「あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば」


やっぱ怖い!

めっちゃ怖い!

これ…宇宙世界の日本人の子供が泣き出すのも分かる…。

だって…だって!

長い間痛みなんて感じたことないんだよ?!

感じたことないんだよ?!


やるしか…やるしかないのか…!

ううぅ…異世界に来て初めて後悔した…。


「なんだぁ~? 嬢ちゃん、もしかして怖いのかw」


すると、後ろの酔っ払いが話しかけてきた。

とりあえず後で、さっきのやつ至近距離からぶつける!


「そんなんじゃ、冒険者無理なんじゃないのかぁ~? 背中の武器は立派なのによぉ~?」


カチン。


「やったるわよ! おらぁ!」


私は勢いよく指をいい感じに切った…あれ?


「そんな痛くない?」


なんでだ? まあいいか。

すると、後ろのカス(酔っ払い)どもが「「おぉ~!」」と言っているのが聞こえた。

するとさっきの酔っ払いが、「やればできんじゃねえか!」と言ってきた。

よし、後でフルボッコにしてやろう。


「よく頑張りましたね! ではこの装置に手を置いてください! うふふ…」


ううぅ…くそ! イラつく…。

私は、お姉さんが出したメカっぽい石に半ばイラつきながら手を置くと…。


ぶうぅぅぅん!!!!とすごい音がした。


これ完全に炎えん…ダメだ…。なぜかこの世界が消される気がする…。

すると、周りから事件でも起こったんか? という感じの声が聞こえた。

周りを見ると、化け物でも見る目で私のことを見た。


これってもしかして!

異世界転生あるあるの、鑑定したらチートなことがわかっちゃうやつじゃない? そうじゃない?!


「サクメさん…あなたもしかして転生者ですか?」


すると、お姉さんが震えた声で言ってきた。


???

「まだだ…まだ特訓しなきゃ…光の魔法も闇の魔法も…もっと剣も鍛えなきゃ…もう…誰も死なせないために…! 絵本の勇者を超える約束を叶えるために…!!」


脳裏に大好きな友達と遊んだり、母親のおとぎ話を聞いたり、絵本に載ってた勇者を超えるって友達に言って笑われたり、父親と魚釣りをしたり、剣の特訓したりした思い出と共に、平和だった村がドラゴンに燃やされた記憶が蘇る。


「…もっと鍛えなきゃ…転生者を…魔族を…魔王を倒す…誰も悲しませないために…!」


魔王城にて

「もうダメだ……終わった……もうどこかでのんびり過ごしたい……魔王なんてなりたくなかったのに…!

俺、転生者なのに…なぜ…なぜ魔王になったんだ…転〇ラかよ…いや、原作は本人の意思だったけどさぁ…

うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


ナレーター)こうして世界に魔王の情けない絶叫が響き渡った。


To be continuation?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ