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女神、異世界ものに出会い転生する


「では、魔王討伐してきます! この女神から賜ったスキルで!」

「お願いいたします、勇者ヒカリよ!」


すると、勇者の周りに魔法陣が現れ、彼を光で包み込んだ。次の瞬間、勇者は現界へと送られた。


ここから、勇者の伝説が始まるのだ!


…そう言っていたのが5年前で、そして今は…。


私は、さっき頭上から落ちてきた勇者の死体を呆然と見下ろした。ハァ…。どうやら、ふざけてエンシェントドラゴンに舐めてかかったらしい。


「やっぱり、こうなるよね~」


私は創造の女神、サクメ。

趣味は小説を読む、書く、ゲーム、アニメ、ネットサーフィンなどなど。

そしてここは『神の間』と呼ばれる場所。本当に何もない。マ・ジ・で、何もないのだ。


ピコン!


「おっ!、新着来てる!」


この、私の椅子しかない世界で唯一存在する物。それは先日、転生してきた高校生が置いていった**『スマホ』**というアイテムだ。宇宙世界の地球、その中の日本という場所の情報を知ることができる、今や私の暇つぶしのためのおもちゃと化している。


「あー、だらけるのって最高。この空間は時間の流れがないし、話してくれる奴はどこかへ消えちゃったし…。まあ、暇だしネットサーフィンでも…ん?」


(なんだこれ?異世界転生もの?)


スマホの画面には、漫画サイトのジャンルランキングに**『異世界転生』**という文字が上位に食い込んでいた。


どれ、いっちょ新しいジャンルでも覗いてみますか!


5年後

「お!『転ネコ』(転生したらネコだった件)の3期やってる!」


あの時から、私は異世界転生ものにハマった。めちゃくちゃハマった!

寝ては異世界飯の味を想像し、架空の異世界飯を想像して食べ、異世界漫画を読み漁り、異世界アニメを鑑賞する。まるで主人公が転生する前の生活を、今度は私がしているような毎日だ。


(それにしても、最近暇だなぁ)


本当に暇である…。まあ、別にいいか。最近日本人いないし。てか、チートスキルとかの使い方は、なぜか日本人が得意なんだよなぁ。


「あぁあ!暇だ!どこかでダンジョンでボスとか龍とかいないかなぁ」


この『神の間』では、私の創造できる体積に制限があるため、ダンジョンなど作れないのだ。


「もういっそ、私が勇者になって世界を救ったり、おいしいもの食べたり、ハーレムとか作ったりしたいなぁ」


…ん?


「今…私…なんて言ったの…?」


しっかり覚えている。

何を言ったか、はっきり覚えている…。

そうだ…そうだ、そうだ!!


「転生しよう! 現界…いや、異世界に! そうと決まれば転生だ! 空間能力**『ワープ』**! 行き先はいつものように、始まりの町…スタイン!」


すると私の体が眩い光に包まれた!

ヤバい! 興奮が! 体の震えが! 止まらない!


(これから異世界に行くんだ!)


そして私は、現れた魔法陣に吸い込まれていく。


「うおおおおおおおおぉぉぉ!!!!すごい!これがワープしている時の映像かぁ…!」


ワープホールの先に、まばゆい光が見えた。


「お!来た来た来た!転生だああぁ!!!!」


次の瞬間、強烈な光が私の目を襲った。


「ん…んん、眩しっ」


私は目をこすり、ゆっくりと目を開ける。背伸びをして、大きく息を吸い込んだ。


「うわああああああああぁぁ!!ここが…」


スウ…


「異世界に!来たぞおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」


そこには、広がる青い空! どこまでも続く緑の芝生! 遠くには連なる山々!! そして、温かく降り注ぐ太陽の光!!!


「ウッウウウゥ…」


涙が…涙が止まらない…! ダメだ…情緒が…!


5分後

「ふぅ…いけないいけない。さあ! まずはスタインのギルドに行きますか!」


私はスタインの町に向かって歩き出した。

さて、歩きながら今後のことを色々と決めておくか。

まずは名前を決めなきゃ!

そうだなぁ、なんかいい名前とかないかな?


私はアイテムボックスからスマホを取り出した。

アイテムボックスとは、私が適当に付けた名前で、『ドクドククエスト』から着想を得て作ったスキルだ。


「えぇ…と、とりあえずサクメ、サクメっと…」


なるほど、日本ではコノハナサクヤヒメという女神がいるらしい…。よし!


「私の名前はコノハ サクメ! うん!カッコイイ! あと、旅の目標とスキルかな!」


まあ、とりあえず目標は魔王討伐かな? あと、私、女神だから、力を制限するためのスキルが必要だ。

この世界では私は一つだけチートスキルを使おうと思う。だって私、この世界だとチートクリエイターだから。


ウーン、一つってなると迷うなぁ…。よし、剣士とかカッコイイから適当に、**佐々木小次郎《最強の正統派侍》か宮本武蔵《最強の狂侍》かな?

あ、でも痛いのは嫌だから魔法使いもいいな。魔法ならスキルだと、特定の属性を強くするやつなんだよね。

あ! だったら魔剣士とかいいな。

なら宮本武蔵(最強の狂侍)真・爆炎の魔法使い(蒼赤双の爆炎魔法)かな?


うん!かっこいい! じゃあスキルは決まったから、女神の力で!


女神の祝福(プレゼント)!!」


すると、自分の体が光に包まれると同時に力が漲ってきた。同時に手には小袋が。

やっぱ、お金ないと色々困るしね。とりあえず金貨50枚かな。

私は、小袋をアイテムボックスに入れた。さてと、あとは…。


「《封印》!」


すると、私の体は黒く光った。

これで私の女神としての力、権能、そして創造の力が封印された。正直、体はこれといって変わった感じはない。


「あとは、封印の制約を決めておくか」


とりあえず、生死が関わったら封印を15分間だけ解除する感じでいいか。


「これで、決めることは全部かな。さて、そろそろ町が見えてきたし、優雅にランチでもしましょうか!」


こうして私、創造の女神サクメは名を変え、力を封印して冒険者になった。

この先、何があるかわからない。

恋愛するかもしれないし、壮絶な戦争に巻き込まれるかもしれないし、大金持ちになるかもしれない。

でも、今は全力でこの異世界を楽しみたいと思う。


???

「ハァ…!ハァ…!ハァ…!魔王様!」


ドン!


「魔王様!」


「なんだ?! どうした?」


「転生者です! 転生者が来ました!」


「どういうことだ、エリス? 何があった? 転生者ごとき、いつもどおりスタインにいる幹部にやらせればいいだろう」


「それが…魔王様のスタインに施した結界魔術が、その転生者によって破壊されました!」


「誠か!?」


すると、魔王と呼ばれている男が頭に手を当てた。


「マジかぁ~…。すまん、ちょっと自室にこもらせてくれ」


「わかりました。何かあったらお知らせください」


「ありがとう」


ふぅ…。

近くに誰もいない…よな?


「終わったああああああああああああああああああ!!!!!!!!!! ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァ!!!!!!!!!!

なんだよもおおおおおおおおおお!!!!!!!! あの結界、寿命何年縮めたと思ってんだよ!!!!!!!! ウワアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」


その時、魔王城全体に魔王の情けない叫びが響いたとか、響いてないとか…。


To be continuation?



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