4話 お泊まり会?
「今日、うち泊まって行って」
五月雨先輩の口から出たのは衝撃的な一言だった。
なんで僕を家に留めようとしてくるのだろう。
きっと聞き間違えだろう。と思った。
「せ、先輩、なんて言いました、?」
「だ、だから!具合悪くて寂しいから朝まで一緒にいよって!」
本当のやつだ。聞き間違えなんかじゃ無かった。
「い、いや、ぼ、僕、他人の家でお泊まりしたことないですよ」
「わたしも、男の子家に泊めようとしたことないよ」
五月雨先輩は顔色は悪かったけど、どこか優しい笑顔を向けた。
「わ、わかりました」
「ありがとう」
「先輩、何か、食べたいものとか何かありますか?」
五月雨先輩は小さな声で言った。
「したい、、」
うまく聞き取れない。
「はい?なんて言いました?」
思わず僕はそう聞いた。五月雨先輩はまた同じような小さな声で言った。
「したい」
今度ははっきり聞こえた。いやまて。なにごとだ。
僕の中で、理性を働かせるので精一杯になった。
「UNO、したい」
五月雨光莉ははっきりと言った。
なんだUNOかと、僕は一安心した。が、安心せずにいる場所が一箇所あった。
「坂本くん、UNOのカード取ってきて、」
今は座った状態から立ち上がれない。
「す、すみません、ちょっと待ってください」
落ち着け。部長で変な想像をするな。五月雨先輩はそーゆーことはしたり言わない。
とりあえず、治ってきたしUNOをとってこよう。
「えっと、この棚の中であってますか?」
「うん、そーだよ」
ちゃんと整理はされているが、少しものが多くて探し出すのに苦戦する。
物をどかして、なんとか見つけ出した。
「せ、先輩、これって、、」
僕はとある物を見つけてしまった。
「ん、なにー?」
「こ、これって、」
見つけたオモチャを持ち上げてしまった。
「あ、!み、見なかったことにして、」
五月雨先輩は、顔を赤らめて、頼んだ。
これは完全なプライベートだから、しまっておこう。
僕はそっと元の場所に戻した。
その後五月雨先輩が寝るまで、ずっと遊んでいた。
その間は、あれのことで頭がいっぱいだった。
翌朝、先輩は元気に目覚めた。
熱も平熱で、完全に治っている。
「おはようございます。五月雨先輩」
「おはよ!」
五月雨先輩は何事もなかったように、はっきりと挨拶をした。
「ちょいお手洗い行ってくるわ」
「わかりました。準備して待ってますね」
今日は土曜日だが、吹奏楽部の活動があるため、朝からいつも通りの時間で、学校に行かなければならない。
とりあえず自分の支度をしよう。
ど、どうしよう!これってお泊まりだよね?!
しかも朝から坂本くんと一緒に学校行けるの!
しかもわたしの家のお風呂入ってるからか、一緒の匂いがするのもマジでやばいんだけど!!
あ、でも、昨日見られてるんだったー!
どうしよう、恥ずか死にたい、、
五月雨光莉も、坂本颯人も、似たようなことを思っていたが、絶対に口にはしなかった。
朝7時40分、2人は同時に家に出た。
学校に向かっている途中、鈴木先輩と若月先輩もいた。
2人にはなんで一緒に学校に行っているのか聞かれたが、先輩は照れるように隠した。流石に泊まったなんて言えない。
学校について、楽器の準備をして、顧問の先生が来るのを待った。
その間も、昨晩のことが頭に出てしょうがない。
そんなことを考えていたら、顧問の田中先生がやってきた。
「今日から、コンクールに向けて本格的に練習していく」