2話 お花見コンサート
「あんたがソロ演奏したからダメ金だった、、あんたじゃなければ、」
ここで目が覚めた。
嫌な夢で起きちゃったな。
吹奏楽部に入ってから約二週間たった。
この学校のやり方にも慣れてきて安心する。
そして、二週間でわかったことがある。
僕は五月雨先輩のことが好きだということだ。
「来週は、お花見コンサートがあるぞ。そこでは経験者の1年生にも出てもらう。」
田中先生はいつもと同じように淡々と説明した。
今までこんなに緊張した演奏会はなかったかもしれない。
ここで五月雨先輩にいいところを見せることができれば自分のことを異性としてみてもらえるかもしれない。
そんなことを考えて、先生の話なんて上の空だった。
「坂本くーん!」
「五月雨先輩、お疲れ様です」
今日も綺麗だ、五月雨先輩は。
「お花見コンサートの前に自由時間が1時間あるから、一緒にお花見しない??」
五月雨先輩は輝いた笑顔で僕にそう言った。
「ぼ、僕がですか?!?!女子の先輩達じゃないんですか?」
五月雨先輩がこんな陰キャに花見を誘うわけがない、そう思っていた。それと同時に、一緒にお花見したいと思っていた。
「私とじゃ、嫌だ?」
上目遣いは反則級すぎる。とても可愛い。181cmまで背が伸びて本当に良かったと心の底から思った。
「ぜひご一緒させてください」
僕の顔は桜の花びらよりもピンク色に染まっていたと思う。
「おけ!決まりね!じゃあ帰ったらまたメールするね!」
坂本くんってやっぱりいい子だな。私はそう思った。
お花見コンサート当日、朝6時30分というとてつもないほど早い時間に集合した。
お花見を楽しんでいるカップルがいっぱいだ。
とりあえず楽器の運搬だけしてこよう。
そして自由時間になった
「坂本く〜ん!こっちこっち!」
やはり制服や衣装の五月雨先輩も可愛いが、私服もかわいい。
「今日お弁当作ってきたから一緒に食べよ!」
え。僕の頭はぐるぐると回転し、わけがわかなくなったのを、春風が吹き飛ばした。
「僕もお弁当、作ってきたんだけど、」
最低だ。料理が好きでこういう時までお弁当作ってきてしまった。
「なら一緒に二つ食べよ!」
「賛成です」
女の子と二人で食事なんてこと、陰キャの僕にあっていいのか?
「はい!私の作ったのはー、タピオカ弁当!!まじ映えてね?!」
初めて聞いたが見た目も味も想像でき、その想像通りだった。
「坂本くんのお弁当もみして!」
「僕の弁当のクオリティ低いですけど、」
「いいよ!食べたい!」
僕は弁当を出した。
「こんな感じです」
「すご!!美味しそう!!」
まじで美味しそう
なんでこのクオリティで謙遜してるの?ってくらいやばい!
「ありがとうございます」
五月雨先輩はとても可愛い笑顔を見せた。
「坂本くんって普段から料理するの?」
「一応してます。普段の弁当も僕が作っています」
この言葉を言うのが少し恥ずかしかった。
「すご!いただきます!」
食べてもらえた、!
どうだろう、
「めちゃうまだよ!!」
「本当ですか!お口にあってよかったです。」
自由時間の楽しかったことを忘れさせるように、演奏が始まった。
楽しかったと思っていたら、拍と合わなくなってしまう。一旦忘れて集中しよう。
五月雨先輩のサックスソロが始まった。
とても大きな音で、はっきりとしている音だった。
演奏も上手で顔も可愛く、こんな僕にも話しかけてくれる五月雨先輩を僕はさらに好きになった。
わたし、坂本くんのこと意識しちゃってるかも、!