表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/14

ミンチ

 自分の身体がぐちゃぐちゃになる。そんな怖いゲームがある。そして今私の心はそんなゲームのシナリオみたいな状態。


 何をしても心が動かず、何に怯えているかも分からず、常に身体が緊張して冷や汗が出る。人が人に見えなくなる。肉の塊に見えるならならまだしも、身体一つ一つのパーツがツルツルとしたプラスチックのようにしか見えない。食欲もわかず、匂いに敏感になっているのかどんな人の体臭も気持ち悪くて吐き気がした。


 どこに行っても元気が出ない。たちどまっても、ひたすら歩いても、ひたすら足に鞭打って走っても。景色や天候が変わっても。私は目が使えるはずなのに何も見えず、何も感じなかった。ただ胸の奥にドロドロとした酸が溜まっていって内部を溶かしているかのようだった。


 死ねたらどれだけいいだろう。そんなこと考えてもろくな事はないとしっているのに、体をバラバラのグチュグチュにしたくて仕方ない。ミンチにする器械に腕を嬉々としてぶち込み、耐えられそうにない痛みに笑顔でよだれを垂らしながらその光景を見てみたい。


 耳も上手く使えないから、上手く人の言っていることが聞き取れない。きっと大事なことを言っているんだろう。でももう私には届かない。そこまで滅入っている。誰ももう助けられないところに来ている。


 もう耐えられない耐えられない。私は長らくじっくりと研いだ包丁と、長らく乱暴に使った錆びた包丁をキッチンから取り出して、その二丁の包丁に熱い視線を注いでいた。


 やがて私はウイスキーを取り出し、炭酸水で割って椅子に座りながら飲む。ずっとじっとしながら、いつしか私は眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ