退かぬ!媚びぬ!省みぬ!!
9月7日、史実より幾分早い日にちに両軍睨み合いとなった。旗印は浅井家三つ盛り亀甲花角、朝倉家三つ盛り木瓜、六角家隅立て四つ目。
俺は今日の為に戦闘服を着ている。絶対ではないが弓矢を逸らす効果がある【風の護符】が付与されている戦闘服だ。甲冑は【武神の加護】が付与されている物だ。
武神の加護は主に斬撃、銃撃など一定の威力まで弾いてしまう物だ。ゲームではゲージがあったから分かっていたが今はそんな物見えないから分からないが、課金額1万円も掛けて当たった甲冑だ。
背中には何故かまたもや島津家家紋、丸に十字が金糸で刺繍されているが島津家に間違われたらどうしようか。なんなら関ヶ原で意味の分からない前進撤退をする家の人達だからな。謝って許してくれるだろうか。
「大橋殿?敵方、口上の使者が参ったようじゃ」
「全て森様にお任せ致します。大橋隊全て準備万端でございます」
「うむ。存分にな」
すると敵側から3人の騎乗武将がこちらにやって来た。
「織田家、森殿とお見受け致す。早々に退かれよ」
「いかにもワシは森可成だ。其方は腑抜けの朝倉家の三下か?」
「ブッ・・・・」
思わず笑ってしまった。リアルに三下とか使うんだ?
「そ、その方!無礼であるぞ!こちらは戦の流儀に沿ってーー」
「森様?すいません。任せると言ったのに・・・」
「いや構わん」
「えっと?誰さんでしたかね?朝倉・・・」
「前波景当だ!失礼な奴だ!いかにも織田に相応しい礼儀の知らないーー」
パンッ
「なんだって?もう戦なんだろう?こんなに陣構えして退くわけないだろう?次は外さない。前波何某さん?いや名前なんかどうでもいいや。早く自分の陣に戻りここを抜いてみろ。6万も味方が居るんだろ?」
「な、な、何をした!?今ワシを撃とうとーー」
「それが答えか?攻めの三左こと、森可成殿?」
「あぁ。この大橋殿は少々血の気が多いでな?よく覚えておけ。ワシよりやる奴ぞ。赤尾清綱殿?」
この人が浅井三将の一人、赤尾清綱か。まあ関係ないけど。それにしてもこの人は冷静だな。危険だな。
「ふん。では後程・・・あなた様を失くすのは惜しいですな?」
「そっくりその言葉をお返ししよう」
そう言うと3人は帰って行った。後一人が誰か分からなかったけど。
「大橋殿?準備は大丈夫か?」
「はい。問題ありません。敵が攻めて来ると同時に装甲車を出し足が止まった者には容赦ない一撃を」
「うむ。頼むぞ」
それから俺は佐助や小雪にも電話で状況を聞いた。
「佐助?そっちは問題ないか?」
『軽く石投げをされているが問題なし!我の威光にて敵を釘付けにーー』
「あ、うん。口上終わったからそろそろそちらにも本格的に敵が流れると思うからよろしくな?風華ちゃんを上手く使え。レミントンM700にて指揮官を優先的に狙撃!」
『アイアイサー!我が左手の糧になっ』
プーップーッ
なんかあいつの言葉を聞くと毒される気がしたから俺は途中で電話を切った。
「もしもし小雪?問題ないか?」
『はい。問題ありません。威嚇射撃を行いましたが一定の距離を取っております』
「今、口上が終わったからそろそろ始まると思う。秋山がどこに居るか分からないけど秋山は殺さないように!武田の目を奪ってるわけだから恐らく偵察くらいだと思う」
『恐らく一揆の中に混じっているかと思われます。了解致しました。もし見つけても武田には攻撃しないように。ですが攻撃された場合は反撃しますがよろしいですね?』
「あぁ。その場合は構わない。だが極力殺さないように」
『畏まりました。御武運を。危なくなればすぐにそちらに向かいます』
「はは!大丈夫だよ!じゃあまた夜にな!」
よし。伏兵の意味は最早関係なくなったけど・・・・殺るか。
「すずちゃん?敵が進軍してくれば装甲車を出すから、すずちゃんは装甲車の中からレミントンで敵指揮官らしき人を狙撃してくれる?俺は機関砲で制圧射撃を行う」
「了解です!」
「皆の者ッッッ!!!!!!」
おっ!?森さんの激が始まったか!?
「敵は恐れ多くもこの地を突破しようと押し寄せて来ておる!織田家、此処に在り!と示そうぞ!!!この地は織田家の物だ!!!」
「「「「「オーーーーッッ!!!!」」」」」
「1番隊!大橋ッッッ!!!!突撃ッッッッッ!!!!!」
えっ!?突撃すんの!?って、1番が俺!?あぁ〜!!!作戦台無しじゃん!?
「黒夜叉隊ッ!!!突撃ッッ!!!!」
さすが攻めの三左と言われているだけあるか・・・。まさかここで突撃するとはさすがの俺でも思わなかったぜ。
俺はすぐに装甲車を出し坂本の町北川を装甲車で走り回った。機関銃は黒川さん。千代女さんは観測装置にて、すずちゃんの補佐。俺は運転しながら左手でトレンチガンを放つ。
ドンッ ドドドンッッ ドンッ!
「な、なんじゃ!?あの異形の物は!?」
「こっちに向かって来るぞ!?」
「な、何か分からぬが狼狽えるな!石投げ!鉄砲隊!準備できた者よりあれを撃てッ!!!!」
パンッ パパパパパパンッ!!!
「隊長!当たりました!!!」
「よぉ〜し!よくやった!全員命中したな!?運が良かった。さすがにこれだけ当たれば・・・・」
「何!?無傷だと!?」
「て、て、敵のあの異形の物の長槍らしき物がこちらに向きます!!!」
「い、いかん!!皆の者!退け!退けー!」
ズドンッ!!!!
〜装甲車車内〜
「かなり敵が居るよな?黒川さん?いけそうです?」
「はっ!問題なしです!いつでも行けます!」
「暁様?敵の鉄砲隊がこちらを向いてます!」
「ははは!退かぬ!媚びぬ!省みぬ!!!課金額3万円の装甲車に逃走はないのだ!!」
「おっ!?暁様がやる気だぞ!おい!すず!?ワシもやるぞ!」
「いいから、黒川様は早く中に入って!!!流れ弾が当たるかもしれませんよ!?」
カンッ カンッ カカカカカカンッ!!
「ほーらっ!!!!装甲車を倒したけりゃRPGでも撃ってこいッ!!!よし!俺達も反撃だ!偏差射撃は難しいから止まってるから黒川さん!すずちゃん!撃って!千代女さんはすずちゃんに距離を言って、指揮官を狙うように!!」
「「了解しました!!」」
「皆の者!矢盾急げ!!」
ズドンッ!!
「「「「殿ッッッ!?!?」」」」
バッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッ
「うっうわぁ〜!」「グハッ」「伏せろッ!!グフッ」
バッバッバッバッバッバッバッバッバッバッ
「あ、あれはなんなのだ!?前方は何故倒れておるのだ!?」
「分かりません!あの異形な物には石投げも鉄砲も効かず進軍が止まりません」
「何を馬鹿な事言っておる!?我らが進軍している側ぞ!?」
「で、ですが前波様!?現に我ら後退しております!」
「・・・・・・・・」
チッ。まずは一当てと思っておったが抜かったわ。まさか初日に一向宗を出すとは・・・・。くそ!大橋めが!ワシを馬鹿にした事今に見てろ!!
「おい!農民共を出せ!」




