役者は揃った!
宇佐山城に到着した俺達はさっそく軍議を開く事になった。
「まずはこの一大事を知らせてくれた事、礼を言う」
「いえ、森様に絶大な信頼があるからこそでございます」
「早急に陣を構築せねばならぬ!坂本口に陣を張る!各務!何人の味方が居る?」
「はっ。およそ1000名程と・・・」
「1000か・・・対するは3万だったよな?」
「はい。私の調べではそのくらいになるかと」
「この城の防衛に500人!まずは街道を封鎖する!そして、志賀と穴太に伏兵を置く!」
そこからの動きは早かった。敵が来るまで俺の予想は・・・というかリアルタイムで見てるから間違いはないけど約7日後だと思う。
まずは志賀の伏兵役に森隊100名。俺からは佐助と風華ちゃん、彩葉ちゃんを配置。
続いて穴太には森隊100名。俺からは小雪と望月さん、市華ちゃん、みおちゃんを配置。
佐助の方にオイ車を、小雪の方にT1軽戦車を渡した。宇佐山の城も俺が出した【監視塔】【有刺鉄線】【37mmトレンチガン】などで武装させ、信頼できる数人にしか渡せていないが、ニューナンブM60を30人に渡した。
所謂、アサルトライフルは信長に渡したのでもうないが、ハンドガンと呼ばれる銃はまだかなりある。けど皆に渡し、もし敵の手に渡れば大変だから渡す者には慎重にならなければいけない。
パンッ
「大橋様?こ、このような感じでしょうか!?」
「そうです!簡単と思ってもかならず左手も使い両手で撃つように!」
パンッ パンッ パンッ パンッ
銃に慣れてもらうため弾は撃ちきれないくらいあるので練習で撃ってもらっている。
「ワシの隊の為にすまぬな」
「あっ、森様。いえいえ。やれる事を私はしているだけですよ。森様も銃の練習していますか?」
「あぁ。こるとえーえー2000だったか?奇天烈な名前だがこれは素晴らしい!」
森さんに渡したのは【コルトAA2000】という拳銃だ。この銃は、アメリカのコルトファイヤーアームズ社が開発したオートマチックピストルだ。装填数も15発と多く、弾薬の種類も俺が持っているピストルの7割が同じ弾を使える9×19ミリ、パラベラム弾だ。
こうして3日程拳銃を撃つ練習をしているととある軍がこちらにやってきた。
「近江より馳せ参じました!」
「おぉ〜!青地!来たか!」
「可成殿!久しぶりじゃ!」
「おぅ〜!信治様まで・・・」
「一大事と聞いてな?野府から京に共に連れて来ておった2000の兵と共に参った」
この人が織田信治か。俺より少し年下くらいかな?後は青地茂綱か。この人も本来なら討死する人だよな。かなりの猛将だったと記憶がある。
「道中見慣れぬ物があったが?」
「お、そうです!紹介致しましょう。大橋殿?信治様とは初めてであったな?お館様の弟の信治様だ。それと近江国人衆の青地茂綱殿だ!」
「ほう?其方が夢幻兵器の持ち主の大橋暁か?兄者が大層褒めておるぞ?『大橋のおかげで助かっておる』とな?しっかり励もうぞ!」
「いえ、大した者ではありません。織田様の足元にも及びません」
「ははは!そう謙遜するな!道中にみた夢幻兵器は俺は使い方すら分からん!まっ!頼むぞ!」
この日は親睦を深めるつもりで皆で飯を食べた。小雪も皆に紹介して、あの戦車の事なんかも伝えた。一つ思った事は織田信治。
さすが信長の弟というだけあって器の大きな人だ。俺より年下だと思うがかなりの男前だし。
「ほんに、このびーるとやらは美味いのう?できれば戦なんかせずにのんびり大橋の酒を飲んで日がな一日を過ごしたいものだがな?」
「信治様もそう言われなさんな。浅井、朝倉なんか目じゃない!一当てすれば、おいそれとばかりに逃げてしまうだろう?ははは!」
青地さんは見た目通り豪快な人だな。ビビってる感じが微塵もない。
「暁様?少しよろしいですか?」
「小雪どうした?皆さんすいません。少し外します」
「早く戻ってこぬと、びーるとやらを飲み干してしまうぞ?ははは!」
少し離れた場所に呼ばれたので何かあったのかと考える。
「敵の兵が膨らんでおります。それも史実よりもです」
「え!?マジで!?どこの人達?」
「まず、私の考えが入っておりますので違うかもしれませんが長比城の戦や古橋での戦の事が本願寺の耳に入ったかと。ここが迂闊で申し訳なかったですが越前の一向宗を呼び寄せていたみたいです」
「越前!?越前って朝倉の所領だろう!?そこの一向宗を!?」
「はい」
「数は!?そもそも何で越前の一向宗を・・・顕如か!?」
「恐らく私達の活躍を知り、兵及び門徒が足りないと思っているようです。そして史実では2年後くらいに武田の西上作戦が始まりますが既に武田も不穏な動きが。甲斐に虫型カメラを飛ばしたところ、武田本体は動いていませんが信濃に居る秋山信友が見えません」
「顕如の嫁と信玄の嫁が姉妹だからな。迂闊だった。それで何人くらい増えている?」
「全軍で恐らく5万〜6万は居るかと・・・」
「はっ!?5万から6万人!?」
さすがにそんな人数が攻めてくるとは分からず大声をあげてしまう。すると森さん達が俺達の方にやってきた。
「聞くつもりはなかったが・・・敵が増えたのか?」
「すいません・・・纏めて言おうと思いましたがあまりに自分も驚きまして・・・」
「夢幻兵器の持ち主がそんな驚いてどうするのだ?事ここに至って敵が増えようが構わん!どうせ一向宗の奴らだろう?」
「え!?青地様は何故それを!?」
「ワシは近江から参ったからのう。朝倉の兵達に足軽とは毛色が違う者が多数居るように見えての。予想だ。朝倉も一向宗には手を焼いているのだろう。ちょうど本願寺から激が飛び越前から朝倉が連れて来たのだろう」
「ということは・・・朝倉から見れば仮に朝倉が負けても一向宗が減るだけでむしろ今後、一揆の心配がなくなると?」
「そうであろうな。漁夫の利ではないが狙っておろうな」
朝倉・・・美味いところだけ持っていくのか!?許さんぞ!!!
「殿方様?よろしいですか?」
「奥方殿か。どうされた?」
「武田の秋山信友の気配もあります。ご注意を」
「なに!?秋山だと!?信濃から出張って来るのか!?」
「武田晴信の妻と本願寺顕如の妻は姉妹。武田は西を目指すはずです。本願寺が蜂起し、浅井、朝倉、武田、そして旧六角の豪族達が囲い込むように作戦を立てていると私は考えております。武田から見れば小手調べ。弱味を見せればこの囲いが成功してしまいます。よって、ここは我らの腕の見せ所。完膚なきまでに浅井、朝倉、旧六角を叩き潰すのです!」
いやこんな偉い人が居る中でよく小雪はそんな事言えるな!?
「そうだな。ここでウダウダ言っても敵は減らぬ。そのように囲いこまれるのは織田家の死活問題だ!やれるだけの事はやるぞ!なんとしてもここは死守!お館様の京までの道のりは閉ざしてはならぬ!」
「「「オーーーーッッ!!」」」
なんか皆の士気が上がった気はするけど・・・さすがに大丈夫か!?6万人だろう!?それまで弾持つのか!?無駄撃ちはできないな。
そして更にそこから3日間だけだが、練度を少しでも上げる為信治さんの軍と青地さんの軍も加わり演習を短期集中でし、とうとう浅井、朝倉の旗印が見える程までに敵が揃って来た。
「各務!我らは坂本口にて敵を食い止める。もう目と鼻の先だ。この宇佐山城はお主に任すぞ」
「殿ッッッ!某も坂本口にーー」
「ならぬッッ!!!この城を守るのが1番重要なのだ!」
俺達が森さんを守るから史実のように各務さんの活躍はそこまでないかもしれない。けど、皆一気に顔が変わったな。
「・・・・なんとしても死守致します。殿に御武運を」
「よし!では行くぞ!」
「「「「「オォォォォーーーーー!!!」」」」」




