またもや殿(しんがり)
「ははは!壮観!壮観!炎は良いの!全てを無に帰すかの如く・・・ふははは・・ははは!はーっはっは!!」
信長はどうしたんだ!?黒歴史か!?
「お館様。万事抜かりなく」
「うむ。ようやった!思いの外、抵抗が見えぬ!今の内に一手を講じる。明日、姉川の南にある横山城を攻める!梁田!中条!佐々!大橋!殿を任せる!ワシは竜ヶ鼻に向かう!」
また殿かよ・・・。
「大橋殿?殿を任されるは期待の表れ。励むのだぞ!」
森さんからの激励か。確かに重要だもんな。
その日の夜に俺と小雪は信長の陣に呼ばれた。
「腹が減った!なんぞ作れ!」
俺はあんたの料理人かよ!?さて何を作ろうか・・・夜飯だからな。個人的にピザが食いたいんだけど・・・。うん!出そう!
俺はイベントリーからピザを3枚出した。
このピザはゲーム内では体力気力を大幅回復する食べ物だが稀にシークレットパラメータ魅力が上がる事がある隠れた良食料だ。
「お待たせしました。ピザになります」
「ふん。中々早いではないか。誰ぞある!箸を持てぃ!」
「織田様!これは手で食べる物でございます!こうやって食べます・・・ってか美味ッ!このピザめっちゃ美味いんだけど!?」
「お主自身をも唸らすぴざか・・・ワシが食ろうてやろう・・・なっんじゃこれは!?黄色いのが伸びよるぞ!?おい!堀!貴様も食ってみろ!」
「はっ。ありがとうございます。うん!これはまたなんとも美味いですな!!」
「お館様!俺にも!俺にもお願いします!」
「犬!貴様はなしじゃ!そこで見ておれ!」
いや前田さん酷い・・・。一切れくらいやれよ!?
「前田様?私のでよければーー」
「チッ。大橋の嫁から貰うなんぞ1000年早いわ!食え!」
「お館様!ありがとうございます!う〜ん!!美味い!非常に美味でございます!!」
せこいぞ信長・・・。一切れ普通に食わせてやってもいいだろう!?何で一口分しかちぎってやらないんだ・・・。
「小雪?コーヒーくらいなら出してもいいかな?」
「私がご用意しましょうか?」
「悪い。お願いできる?」
食後にはコーヒー。ここは戦場だけど別世界みたいだ。松明があり、少し明るいくらいの場所。まあもっと明るい光源もあるけど敵に場所を教えてるみたいだから出さないけだ。
「うむ。美味かった。このくらいで堪えてやろう」
いやいやあんただけで2枚も食ってるぞ!?この辺で堪えてやろうってどの口が言ってんだよ!?
「織田様こちらもどうぞ。コーヒーという飲み物です。織田様が好きな甘めのコーヒーになります」
「うむ。コーヒーか。しかも甘いとな?」
わざと甘いを強調したな。中々小雪も策士よのう?
「美味い!これじゃ!ワシが淹れる茶より美味いではないか!」
「ははは!茶とコーヒーは違いますからね?織田様の茶は茶でかなり美味しかったですよ!」
「いや小雪のコーヒーには負ける!堀!お前も飲ませてもらえ!」
「お館様!駄犬より働く俺にも飲ませてください!」
「ダメじゃ!貴様は姉川の水でも飲んでおれ!」
酷すぎる・・・何で前田さんと佐々さんに当たりが強いんだ!?
「ふん。ワシはお館様よりぴざとやらを貰った。あれは美味かったのう?佐々くぅん?」
「チッ!貴様はーー」
「お前らは喧嘩か?」
「「いっいえ!凄く仲良しです!」
「ふん。ならば良し」
漫才を見さされているのか!?
「お館様・・・この甘いのは・・・」
「うむ。砂糖じゃな。この二人は砂糖をあまり貴重としておらん」
それに比べ堀さんの冷静さよ。同じ堀姓の堀秀村も見習えよ!?
「どこぞ産地を知っておるのか?それともこれも例のやつか?」
「いや純粋な蓄えです。砂糖はかなりあります」
ゲームで砂糖は重要だった。誰かを懐柔したり内応させたりと使い道が多く俺はメインアカウント、サブアカウント含めて他のプレイヤーも、てん菜は誰でも育ててる物だと思う。
「それではなくなるだけではないか?」
「てん菜という植物から抽出できますよ」
スパコンッ
「いってぇ!」
「貴様は声が大きい!その様な重要な事は早く言え!」
クソ信長が!いつか俺もあんたの頭叩くくらい大きくなってやるよ!!
「織田様?岐阜の家の者が今、色々私達の知識を使い挑戦しております。少し経てば必ずや成果をお見せできます」
「うむ。いや大橋すまぬ。興奮してしまった。許せ」
ぜってぇ〜許さねーよ!!果物も収穫前の酸っぱいのとか苦いの食わせてやる!!
プンスカ怒りながらテントに戻る。
「あの人は短気すぎだよ。そう思わない?」
「(クスッ)なら暁様が天下を取りますか?私達が本能寺を起こしますか?今から内乱起こしますか?」
「分かってて聞いてくるなよ!愚痴だよ!愚痴!俺は天下を取るゲームをしてたが天下には興味ないんだよ!名参謀が好きなんだよ!」
「分かってますよ!暁様が作る数々の芸術品やモニュメントを売ったり飾ったり私は好きでしたよ!」
「まあ売れなかったけどな。如月が10円で一つだけ買ってくれたけど」
「業務的な対応されるより良いと思いますよ!明日から頑張りましょう!」
次の日横山城を攻めるとの事で信長本隊から順に虎御前山を降り俺達は最後尾になる。
「梁田と申す。お館様から大橋殿の判断を仰げと」
「同じく中条。大橋殿の判断をと」
「俺は鉄砲隊500と弓兵30を預かっておる。どうする?」
「佐々様だけ兵が居る感じですか?」
「そうだ。それと俺の事は呼び捨てで良い。他人行儀は嫌いだ。その代わり俺も呼び捨てにさせてもらいたい」
「分かりました。かまいませんよ。せめて敬称だいけは俺は付けさせてもらいます。佐々さんは呼び捨てでいいですよ。まずは佐々さんの鉄砲隊を100人梁田さんに。同じく鉄砲隊100人を中条さんに与えてください」
「分けるのは良いが殿の意味はないと思うぞ?浅井の兵は見当たらん!」
「佐々様?」
「奥方か。どうされた?」
「油断大敵。いつどこで何が起こるのか分からないのが戦場。今のお言葉を織田様が聞けば叱責されますよ」
「いやこれはすまん。以後気をつけよう」
俺はまず鉄砲隊を挟むように配置する。その場所は下がりながら戦うため姉川の土手に隠れ敵を迎えるようにした。
「小雪?本当に浅井の兵が見えないけど来ると思う?」
「さすがに城下を燃やされ何もしない城主はいないかと・・・。もしここで悪戯に兵を損耗したくなく耐えているのであれば浅井長政はかなりのキレ者です。13段構えの11段までと言うのも頷けます」
「う〜ん。とりあえず本隊は降ったから俺達も降りよう」
俺は虫型偵察機を小谷城の方にオートモードで飛ばし、タブレット片手に山を降りる。これで兵が出て来れば分かるだろう。まあこのままここからオイ車で攻め込んでもいいけど。本物の戦を見てみたいってのもあるしな。
「そ、そ、その箱はなんだ!?何か小谷城が見えておる!」
「動いているみたいだぞ!?」
「・・・・・・」
いや佐々さんは何も言わんのかい!?何か言ってくれよ!?
「これですか?これは俺の技ですよ!詳しくは織田様へ!」
説明が面倒だから信長さんに丸投げだ!多分信長さんもまだ知らないと思うけど。あれ?見せた事あったかな?まぁいいや。
「それは・・・好きな場所を見れるのか?」
「え?あぁそうですよ。佐々さんは気になります?」
「好いた女子を見たい。今度貸してくれるか?」
いやいや変態か!?この人はストーカーか!?貸せるわけないだろ!!
「「佐々殿ッッッ!!!!」」
「ふっ。冗談だ」
いやいやぜってぇ〜冗談じゃなかったろ!?中条と梁田に言われたから言い直しただけだろ!?クールな顔して何考えてんだ!?疾風より変態だぞ!?
その後画面を確認しながら山を降ったが本当に追撃がなかった。その事により小雪の中で浅井の警戒レベルを上げると俺に伝えられた。黒夜叉隊のみんなは静かにしているがどことなくつまらなさそうにしている。
俺が何か秘密任務でも言うのかと思っていたのか? その後俺達も横山城 竜ヶ鼻に到着した。時を同じくして、初めて出会う大物。徳川家康にも出会う。




