火炎放射器
半日休憩したのちにまたまた長比城に向かう。
「という事で行きながらで申し訳ないけど、喜助と佐助。小雪と似たような人だよ」
「黒夜叉隊 望月信雅と申します」
「我こそは天(運営)が与えし名を喜助」
「我は佐助」
こいつら二人は馬鹿か!?
「え!?天が与えし!?」
望月さんもまともに捉えるなよ!?
「望月さん?変な二人だけど腕は確かだからよろしくしてくれます?」
「そ、其方は!!!?」
「え!?私ですか!?」
「美しい・・・其方程美しい女には出会った事がない!」
「なんだ?佐助は彩葉ちゃんがタイプなの?」
「いえ、我は女なら差別しないタイプーー」
スパコンッ!
俺は思わず便所スリッパで佐助を叩いた。
「モラルを考えろよ!?誰でもって最低だぞ!?」
「佐助?同じ種として、さ・い・て・い」
小雪のあの冷めた目・・・少しそそられるが・・。
「まあみんな変な奴らだけど、仲良くしてやってくれ!それとセバスチャンに言って色々飯も持って来たし近い内には出陣前に一人居た中年の人も居ただろう?勘助って奴。あいつが、補給を持ってきてくる事になってるから」
「はっ。またその時に挨拶させてください!」
「了解。それと今後の事を考えると黒夜叉隊の隊長は望月さんね?副隊長は千代女さん!」
「「え!?」」
さすが親子だな。ハモるんかい!
「俺は元敵とか気にしない。と言えば嘘だけどあなた達は信用できる。だからそれに報いてあげないと。そのさっき言った勘助って人が銭管理をすると思うからまた帰れば給金の事話そうか。大橋家は銭を1月に一回払うから」
「そんな我らなんかを・・・」
「望月さん?それに千代女さん?暁様はああいう方。言葉遣いはたまに冷たい事があるけど基本的に面倒見のいい人だからちゃんと仕えるのよ?」
「言われるまでもありません!信濃や甲斐に居た時より遥かに充実した日々。裏の仕事ばかりで肩身の狭い思いは二度とごめんです」
「よろしい!」
それから俺達はあれが食べたいこれが食べたいあんな物欲しいなど、まるで遠足に行くかのような雰囲気で長比城に向かう。佐助と喜助は黒夜叉隊と同じ徒歩だ!
本当にセバスチャンは変わっていっている。俺も頑張ろう。
辺りが暗くなる頃に俺達は到着した。すると長比城には物凄い人が集まっていた。
「小雪?史実通りか?」
「そうですね。森可成、坂井政尚、斎藤利治、柴田勝家、佐久間信盛、蜂屋頼隆、羽柴秀吉、丹羽長秀、簗田広正、中条家忠、佐々成政。史実通りだと」
「おーう!大橋殿!それに奥方殿!」
「こんばんわ。森様」
「簡単な奇襲にてこの城を落としたみたいだな!おめでとう」
ただの言葉だがやけに嬉しい。
「ははは。ありがとうございます。色々武器を使いましたからね。あっ柴田様、こんばんわ!」
「ははは!ワシも野州河原にてお主から貰った槍で散々に敵を屠ったが掻き消されてしまったじゃないか!ははは!」
「いやいや柴田様の武勇に勝るものなんかありませんよ」
この人は相変わらず豪快な人だ。
「おう。着いたか。作戦を伝える。こっちへ来い」
俺はみんなに待機してもらい事前に用意したポーランド軍採用のポンチョテントを小雪に言って出してもらうように伝えた。小雪が1番信用できるから任せていいだろう。冷たい口調だがだんだん黒夜叉隊にも優しく接してるしな。
大広間に各々名のある人が集まり信長が作戦を伝える。それは史実と同じ小谷城隣の山、虎御前山に陣を張り城下を焼き払うとの事。
「姉川にて義弟を迎え撃つ。だが奴を誘き出さねばならぬ」
「こんな装備がありますがいかがでしょう?」
俺は携帯放射器を出す。持って来た物は合計で3つだ。
「おぉ!」「でたぞ!大橋の夢幻の兵器が!」
「これが夢幻兵器か!」
いやいや夢幻兵器とはなんぞ!?初めて聞いたんだが!?
「ふん。おかしな名前よの。此奴らはお主の兵器の名前が分かりにくいから夢幻兵器と呼んでいるだけだ。ワシですら覚えれん。して、それはなんぞ?」
俺は再びみんなと庭に出てボンベを背負い銃を撃つように構えてトリガーを引く。ここも山だから山火事になるといけないから俺は燃える物が何もない迫撃砲で開けた方に撃った。
ブォォォォォーーーーー!!
「とまあ簡単に火が出ます。注意点としては炎が強いため味方に当たらないようにしないといけないのと逃げ遅れた人に気をつける事くらいですかね?この取手を引いても火が弱くなれば燃料がなくなった合図ですので」
「「「「「・・・・・・・」」」」」
「このような物が・・・・」
「これは・・・」
うんうん。驚くよな。
「良い!それは良いぞ!!!小谷城下を灰塵に致すのは3人でできるな?」
「そうですね。多分問題ないかと」
「柴田!森!佐久間!お主らは大橋に使い方を聞いておけ!明日の早朝に虎御前山に向かう」
「「「「「おぉぉぉーーー!」」」」」
あれ?俺は出陣しなくていいの!?
次の日、早朝に目が覚めた。昨夜の夜飯はセバスチャンが作ってくれたニンニクたっぷりのチャーハンだ!みんな息が臭いだろうと思う。俺も臭いだろう。ってか、周りがガヤガヤしているな。
俺は小雪と同じテントで寝たから横に居るわけだが・・・。
「暁様おはようございます!」
こえーよ!!横にはなってるけど何で目開けてるんだよ!?寝なくてもいいと言ってもせめて寝たふりしてくれよ!?
「おはよう。何か周りが煩いね」
「織田様ももう起きていられるのでしょう」
そう言いテントから出ると色々な人が俺達の隊とテントを見ていた。
「そういう事ね」
「私も今分かりました。珍しいのですね。昨夜は夜で目立たなかったですが今は明るく見えますからね」
「大橋様で宜しかったでしょうか?」
「はい。俺が大橋です。おはようございます」
「え?あっ、おはようございます。その野営設備と申しますか・・・なんと呼ばれる物でしょうか?」
「これ?これはポンチョテントと言います。そんなに珍しい物ではないですよ?あなたはどちらの隊で?」
「某、柴田家 支配内 中村文荷斎と申します。我が殿が珍しく他人を褒めるのでどのような方かとご挨拶にと思いまして」
「ははは。岐阜に戻り俺の家に来てくれれば相当数お渡ししますよ」
俺は何人か居る人達に同様の事を言われ、森可成家臣の人達にも欲しいと言われ岐阜で渡す事にした。
その後簡単な朝飯を作る。約束のティラミスなんかはまだ作れないからせめてもの罪滅ぼしだ。
まずはこれまた昔の野営用装備のガチャで当たった焚き火台と着火剤を用意する。そしてライターだ。何故こんな意味のない物があったのかと言うとゲームでは火起こしは重要な修行場なのだ。
火を点ける時タイミング良くボタンが出るからそれを押すのだがジャストインパクトで押すと一定確率で【鏡花水月】という技が覚えられるのだ。この鏡花水月は達人(廃課金者)の戦いで極限で緊張した戦いになるとたまに相手の攻撃が遅く見える技だ。
この技が何故、鏡花水月かは分からない。俺?俺は勿論4時間のプレイの末修得している。あれは凄まじい戦いでハゲそうだった。ひたすら火起こし、火起こし、火起こし・・・・。二度としたくない。
燃料の木は、そこらへんにあるから良しとして・・・
材料は卵焼きと米だ。目玉焼きでもいいが俺の好みだ。卵だが、意外にもニワトリは普通に稲葉山、現在の金華山(岐阜城南の山)に居るみたいでセバスチャンがかなりのニワトリを捕まえて牧場の端に囲いを作り育てている。まあこれも大杉さんの仕事になるだろう。
さて焼こうか!
「暁様?米は私がやります」
「小雪助かるよ!ありがとう!」
とりあえず人数分でいいからな。
ジューーーーーーーー
素晴らしい音だ!この音だけで飯が食えるな!館から持って来た腕に卵を入れ掻き混ぜ焼く。味付けは醤油だ!そして気持ち程度だが一人一本のウィンナーだ。
「暁様?我ら兄弟も食べてみたいっす!」
「え?アンドロイドだから・・・いや悪い。分かった。作ってやるよ」
喜助と佐助が食べてみたいと言うから二人分さらに多く作り、米は小雪が飯盒が溶けるんじゃないかと思う超強火で速攻で炊いてくれ20分程で出来上がった。皿は野営用のみんなバラバラの大きさの皿だ。
「本当はベーコンなんかも焼きたいけどそれはまた今度!はい!みなさんお待たせ!卵焼きウィンナーご飯です!」
「これはこれは!美味そうだ!戦中とは思えん飯ですな!」
「すずも早く食べたい!」「私も!」「某もだ!」
「黒夜叉隊!!!暁様の方へ!手を合わせて!」
「「「「「いただきます!!」」」」」
小学生の給食か!?って挨拶だったんだが!?覚えたのか!?
「セバスチャン様から言われ、作ってくれた方、肉、野菜など全ての食材に感謝して食べるとの意味と聞き皆が言うようにしています」
「そうだったんだ。良い心掛けだ。どうぞ!お代わりはないけど勘弁してください」
「ハフッハフッハフッ!美味い!卵がこれ程までに美味いのか!」
「醤油と大変合います!」
「すずもそう思います!館で醤油を知り、今は虜になっています!」
良い感想だ。作った甲斐があったな。俺も食べよう。
すると、視線を感じる・・・。作っている時も視線は感じていたが知らないふりをしていた。
「あの異形の者が食っているのは」「噂の大橋家の者か」
「あれはなんだ!?」「美味そうな匂いしかしないぞ!?」
「ワシらの飯と交換してくれないだろうか・・・」
ひそひそ声だと思うが聞こえてるよ!!
すると一人の禍々しい紫色っぽいオーラを放つ人が走ってきた。うん。信長さんね。何か言われるのだろうか・・・。




