千代女の側室ルート!?
「苅安尾城が落ちた・・・ここ長比城も落ちた・・・」
『どうしましょう?そちらに連れて行きましょうか?樋口!助けてくれ!お前はワシを補佐すると言うたであろう!好き勝手させてやると!』
「とりあえず少し待って!こっちも考えて決めるから!ってか織田様に電話渡すの忘れてるから伝えられないけどどうしよう・・・」
『竹中様に言ってはいかがですか?お土産に渡したでしょう?』
「あっ、そうだった!俺は考えるから伝えてくれる?二つの城陥落、応援お願いしますと」
『了解しました!』
「それで・・・この電話で声だけ聞いた感じでは堀秀村さん・・・あなたの殿は随分我が儘なように聞こえるし奇襲とはいえ戦中に女と遊興しているらしかったけどそれでもそんな人に仕えますか?」
「何故・・・いつもなら鎌刃城に居るのに今日に限って殿は苅安尾城に居るのか・・・。殿は!殿は幼い。ワシが舵取りしてやらねば家中が割れる。いつか!いつか・・・」
この人なりに考えがあるのかな?それにたまたま苅安尾城に堀秀村が居ただけで本来は鎌刃城って所に居たんだな。これはラッキーだ。
「もう一度言います。最初の人達は殺してはしまいましたが城中での戦闘では誰も殺していません。眠ってもらっているだけです。あなたも傷の痛みが引いてきているでしょう?」
「・・・・・・・・」
「殺すつもりはありません。浅井の将だとは思いますが浅井は近いうち滅びます。織田が!織田が屠ります。あなたの殿がどのような人かは知らないけど我が儘な性格は直りませんよ」
「・・・・・・・・」
「信じれないかもしれないけど・・・俺達が使ってた武器。鉄砲の前にあなた達は無力だったでしょう。俺はその鉄砲ですら無力になる武器を持っている。この場でとある物を押すだけで絶対にこの世界では防げない武器も持っている。まあ、そんな物使えば俺も危ういけど」
「世界でも防げない武器だと!?」
「暁様?その武器はなんですか!?すず見てみたいです!!」
いやいや今俺の話聞いてただろ!?危ないんだよ!?
「すずちゃん?また今度な?本当に危ないからね!?」
「事ここに至ってお主等に我らは赤子のような扱いなのか・・・。先の連射する鉄砲も初めてだ。霧のような物もお主達の物だろう。空から降ってきた焙烙玉のような物もそうなのであろう・・・」
「そうです。偉そうに言うつもりはありませんがあれでも遠慮したほうですよ。焙烙玉と言われている物は本当はもう少し撃ち込んでから城を制圧する予定でしたが予想より効果があるのが見えたので早目に突入した感じです」
「暗闇の中、随分と良い目をしておるのだな。伊吹山の方から降ってきたように思うたのだがな」
俺は黙ってタブレットを出しオートモードで飛ばしている虫型偵察機の映像を見せた。
「な、な、なんだそれは!?この箱に書かれている絵はここ長比城か!?うん!?動いておる!?何故だ!?」
「この理由を知りたければ降ってください。この城の制圧が目的ではあるけど殺戮が目的ではないので」
「えぇ〜!?つまらない!樋口何某さんは最後の一兵に至るまで鼓舞し戦ってもらわないと!」
いやいやすずちゃんや!?なんて事言ってるんだ!?今しがた殺戮が目的ではないと言ったじゃないか!?お前は殺人鬼か!?
「い、いや・・・このような物まで作れる織田とは最早戦えん!ワシは処刑で構わん。殿と城の者の助命を・・・」
「いや別にあなたの首とか命とか要らないから。ってかこの時代の人死にたがりが多すぎる。戦で死ぬのはしょうがない。時勢だからな。けど切腹とかそんなもの何も生産性がない!余程の馬鹿や頭おかしい奴はしょうがないけど」
「この時代?え!?では咎はないと?」
「咎と言うのは違うけどとりあえず何もなし!いや、織田様の決定で決まるからまだ分からないけど俺は何もしない」
プルルルルルル
「ちょうどいいタイミングだ!はい!もしもし!」
『暁様?竹中様にお伝えしたところちょうど城に上がっていたらしく織田様がすぐにそちらに向かうそうです!ただ少しご立腹だとかで・・・』
「え!?何で怒ってるの!?俺褒められる事はしても怒られる事してないよ!?」
『この電話の事だと・・・私達はこちらの城で待機しておきますので後で判断お願いしますね!暁様・・・頑張って!』
逃げたな!?護衛アンドロイドのくせに・・・おっと・・この言葉は使わない約束だ。小雪は一人の女で俺の妻だ。けど旦那が怒られそうなのに小雪は逃げたな!?許せん!館に帰ればヒーヒー言わせてやるからな!
「聞こえたと思いますが今から私の殿がこちらに来るそうです。まだ数刻は掛かるでしょうが」
「相分かった。すまぬが織田殿が来る前に着替えたいのだが構わないか?」
「いいですよ。どうぞ」
「・・・・・・・」
「うん?どうしました?どうぞ?」
「見張りは付けぬのか?ワシが城に火を点けるとは思わぬのか?」
チッ!俺とした事がゲームと同じで戦いが終わったから安心してたぜ!
とここで何故か俺が黒川さんに手で制される。
「暁様は其方を既に信用しておられる!その期待を裏切るような事があれば・・・ワシは他の果てまで貴様を追い詰め一族郎党全てに至るまで根斬りぞ」
「変わった御仁だ。ワシはそんな男ではない。無駄な抵抗は無駄な死を作るだけだ。すぐに戻る」
いや黒川の主人は俺だぞ!?俺が何で制されるんだ!?今の言葉かっこいいな!?俺が言いたかったんだが!?
「暁様のお言葉を代弁致しました。出過ぎました」
そうだそうだ!出過ぎだよ!!黒川さんは館に帰ればティラミス抜きだ!
「俺が今の言葉言いたかったかも?まあいいけど。黒川さんありがとう」
「いえいえ」
「さて・・・城の眠ってる人達は暫く起きないから起きてる人に掃除してもらって飯でも食べる?城の下女や下男の人も居るだろう?」
「そうですね!すずは先日セバスチャン様に作っていただいた肉まんが食べたいです!」
「あぁ〜!すず卑怯だ!私はあんまんの方が好きです!」
へぇ〜。寡黙なみおちゃんが珍しく主張するのか。けど残念だ。俺はあんまんが嫌いだ!
「私は食べれればなんでも」
さすが年の功。千代女さんは分かってらっしゃる!ってかよく見れば千代女さんって中々整った顔してるんだな?未来に行っても上の上じゃないかな?
「あのう・・・私変な事言いましたか!?」
「え!?いやいや、ごめん!千代女さんは綺麗だなと思い俺が元々居た世界でも可愛い人に入るなと思ってただけだよ」
「え!?私が!?可愛い!?・・・・・」
「ははは!側室に迎えられますか?信雅には某から伝えておきますぞ!?」
いやいやこれ以上嫁増やせば夜が大変だから!一回だけならお願いしたいけど!?いやゲスな考えだな。けどこんなに可愛いければ貰い手が多いだろうな。
「俺は既に嫁が二人居るから難しいけど、これだけ可愛いければ貰い手多いでしょう?俺より良い男からも言われると思うよ」
「ふははは!千代女!残念だったな!暁様は社交辞令みたいだ!お前を貰う奴は中々居ないな!もう婚期も過ぎる頃だろう!?」
「黒川さん?私は武田巫女の時はどんな任務もこなして来ました。色々な相手とも相対してきました。これ程に侮辱されるとは・・」
あっ・・・キレた・・知らねーぞ!?俺のせいじゃないぞ!?
「そ、その冗談だ!冗談だからセバスチャン様から鍛えて貰った刀を抜くな!な!?旦那ならいつか現れるから!」
「私を貰ってくれる奇特な殿方なんか居るわけないでしょう!!二代目千代女として、御髪も伸ばさず綺麗な着物もない!諸国を周りお天道様を浴びて浅黒くなった肌・・・私はいずれ尼僧になるからかまいません!」
「え!?全然可愛い事満たしてると思うんだけど!?別に髪の毛もボブみたいで可愛いし健康的な肌で良いと思うんだけど?」
俺は思わず千代女さんの感想を口に出してしまっていた。元々は侵入者だったのに。それは関係ないか。
「え!?それはお戯れですか!?」
「いやいや本当だけど?健康的な肌、髪なんかも似合ってるし服なんか買ったり作ればどうとでもなるしそれに・・・俺の事最初は狙われたかもしれないけどさっき守ってくれたじゃん?」
「え!?あの・・・・その・・・・」
「あぁ〜!千代女様が赤くなってるぅ〜!!」
「す、すず!これは違うの!!からかわないで!」
「随分と降伏したとはいえ、敵陣で和んでおるな?」
現れた樋口さんは正装だろうが物凄く似合うダンディーなおじさんになっていた。




