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戦国時代に迷子!?  作者: デンデンムシMK-2
如月編
189/189

真白の勘違い

 「さぁさぁ!まずは一献・・・」


 「あ、いえ。お酒は好きではないのですので」


 「そう言わずに、まぁ!」


 私は一杯だけお酒を飲む事にした。


 そして、出て来たご飯は豪華な・・・なんて事はなく、かなり質素なご飯だ。たくあん、味噌汁、籾殻のついた米。


 そして黙食していると河合さんが口を開いた。


 「其方は見慣れぬ武士と見える。そして女子おなごじゃな?」


 「えぇまぁ・・・え!?口が・・・」


 「ふぉふぉふぉ。まぁ安心しろ。死ぬるような毒は盛っておらん。だが少々聞きたいことがある。まぁ毒のおかけで其方の思考は鈍くなる。横に居る大男の護衛も直に動けなくなるだろう」


 私としたことが見た目だけでこの人を判断してしまった!まさか毒を盛られるなんて・・・口が痺れるし頭がボーっとする・・・彦太郎は・・・


 「グヌ・・・某としたことが・・・美幸様・・・一生の不覚・・・」


 「ふぉふぉふぉ!容易い。いくら武が立つ男であろうが根性だけで毒はどうにもならぬ。おい!お前!すぐに一乗谷へ走れ!織田の先行隊が海から来たとな」


 「え!?織田ですか!?」


 「馬鹿もんッ!!どう見ても織田だろうが!あの奇天烈な船から来たのも分からぬのか!はよう行け!」


 この人・・・私が海から来たと知ってる・・けど彦太郎?あなた毒とか効かないはずだけど・・・


 『美幸様、早くこれを舐めてください!某の霊力と汗を込めた丸薬です』


 『汗と霊力・・・汗・・汗・・。いやだよ・・・』


 『なっ!?そんな事言わず、何の毒か分からない今、これしか薬が・・・』


 河合さんが部下の人とやりとりしてる時にコソッと飴玉みたいなものを彦太郎が渡してくれた。イヤイヤながら私はそれを舐めた。


 味は塩飴のような味だ。だが、するとどうだろう?すぐに頭が冴えて口の痺れもなくなった。


 彦太郎が毒に罹ったような演技をするという事はなにか探ろうとしているのかな?いや・・・私があまり損害を出したくないと言ったからかかな?


 私達を捕らえたと本拠に言い、朝倉が杣山城まで出張って来たところを・・・一網打尽にかな?


 ならここは私も毒に罹ったままの振りを・・・。


 「口が・・・痺れる・・・」


 「麻を燻した物を混ぜた毒だ。致死性はない。お前達には聞きたいことがある。もしかすれば人質交換ともなるやもしれんしな。まぁ聞いた事のない名だからな。聞く事がなければ処刑だ」


 大麻とは違うかもしれないけどこれが麻薬になるのか・・・。確かに少数になら使えるかもしれない。この人顔に似合わずやる事が合理的だ。


 バチンッ


 「答えよッ!!!織田は何人で攻めてくる!?言えッ!!何人だ!!」


 「痛ッ・・・・」


 「こら!やめんか!乱暴に扱ってどうする!?我等は織田のような乱暴者とは違う!いや、家臣が相すまぬ。後でかならず手当て致す。まずは答えてはくれぬか?」


 これも多分罠。飴と鞭かしら。まぁ本当に痛かったのは痛かったけど。あの若い人は後で絶対に許さない。


 「100名未満・・・ただそれだけです」


 「「「「は!?」」」」


 「本当です。私達の部隊だけです」


 「チッ。舐められたものだ。たかが100名如きに抜かれる越前ではないぞ!必ず本隊が来るはず・・・貴様この期に及んで嘘を申しているのか!?」


 「いや、本当です」


 「チッ。こちらはこちらで物見を出す。おい!こいつらを牢に入れておけ!あ、いや、罪人の牢ではなく蟄居用の部屋にしておけ」


 「はっ!」




 「ぐぬぬぬ・・・某とした事がぁぁぁ・・・・」


 「彦太郎?もういいよ。しかも演技下手すぎなんだけど!」


 「ぐぬ・・・あ、いや。失礼」


 「それにしても彦太郎もよくあんなところで演技なんて思いついたね?なにか考えがあったの?」


 「いや、わざわざ一乗谷へ行かずともここで静かに朝倉何某を討ち取れれば話が早いと思いましてね?美幸様は大丈夫でしょうか?」


 「私は大丈夫だよ。それにしても河合って人は食わせ者ね。朝倉に忠義は貫くつもりだろうけど、私達を捕らえたとはいえ、手厚くするって事は朝倉が負けても殺されないようにするためかしら?」


 「どうでしょうな。言葉の抑揚やら行動に殺意は感じられませんが・・・」


 「まぁこんなところ突破しようと思えば簡単だけどどうしよっか?」


 「美幸様にお任せ致します」


 「よし!それじゃあーー」




 「ったくよぉ〜!それにしても美幸っちもおせーな!」


 「真白様!殺りますか!?」


 「ばっきゃろぉ〜!誰が殺ると言った!?あん!?ボラか!?ボラが言ったのか!?」


 「え!?俺ですか!?何も言ってません!こいつ!ゴンズイがーー」


 「うるさい!ボラ!腕立て100回!今すぐだ!」


 「クッ・・・はい!よろこんで!!」


 「ボラは放っておいていい!おい!後少し待ってなにも音沙汰なしならあーしが行く!あーしの次官は艶だ!なにもないとは思うがなにかあれば隠岐の戦士、明の阿保共は艶の言う事を聞け!分かったな!?」


 「「「「はっ!!」」」」


 彦太郎が居てなにかされたわけではないよな?あーしが確認する。これで美幸っちに何かあってみろ!ここの人間は皆殺しだ!赤子からなにまで嬲り殺しだ。

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