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戦国時代に迷子!?  作者: デンデンムシMK-2
新たなる時代の幕開け
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空気の変わる本陣

 5月3日 午前6時30分・・・辺りは明るくなり始めた頃に南東の浜松城方面から小規模ながら軍勢が走ってくるのが見えた。一瞬敵かと思ったが浜松が抜かれたり落城すれば1番に気付く。それはあっという間の出来事だ。


 「さ、先触れにございます!!美濃より織田信長様御本人が後詰めとして参った次第でございます!!」


 「「「「「は!?」」」」」


 オレ、小雪、家康さん、六角さん、酒井さんは一様に同じ言葉を吐いた。


 「大橋ッッ!!!貴様大橋か!?大丈夫か!?」


 「お、織田様!?どうされましたか!?京は大丈夫なのですか!?」


 「信長殿・・・・」


 「ふん。知れた事よ。将軍の軍は恐るるに足らず。権六に任せておる!委細問題ない。それよりワシは貴様が捕らわれたと聞いたが・・・」


 「ち、父上ッッ!!?」


 「うむ。奇妙・・・いや相すまぬ。信忠も顔付きが変わった。先触れで聞いていよう。ワシは後詰めで参ったのみ。引き続きこの戦場はタヌキと信忠に任す!して、大橋、手短に申せ」


 信長さんが来てから明らかに現場の空気が変わった。とても後詰めと呼べるほどの兵の人は居ない。せいぜい100人くらいだろう。だが何でだろうか・・・。別にこの100名を使おうが使わまいが負けるつもりはないけど安心感が半端ない。


 その後、かなり端折りながらここ数日の出来事を言った。そして、俺が捕らわれた事を知ったのは信治さんが電話で伝えたからだそうな。


 「ほう?なら影武者は討ったのだな?」


 「はい。間違いなく。本物の上杉謙信は・・・あれは危険な男です」


 「作戦はどうなっている?」


 「本日に雌雄を決そうと思っております。私が攻撃ヘリにて上杉軍を一掃し、他は全軍武田に投入します」


 「貴様だけでは不安だ。ワシが貴様の与力となってやろう。それと謙信坊を見てやろう。誰に楯突いたか。誰に許可を得て我が臣に縄目の恥辱を与えたか後悔させねばなるまい」


 この言葉がどれ程嬉しい事か。柴田勝家、丹羽長秀、滝川一益、羽柴秀吉、明智光秀、森可成と他にもいっぱい人は居るがみんなこの織田信長という男に惚れているのだろう。俺もその1人だ。


 どうしてもこの人の世界が見たい。働くのは俺達下っ端だが織田信長が作る世界を見たい。絶対に武田上杉は今日で落とす!


 「河尻!お主等、黒母衣衆は上杉の雑兵を釘付けにせよ。利家!お主等、赤母衣衆は徳川軍に紛れ戦いやすいようにしてやれ」


 「信長殿・・・・」


 「礼は構わん。三河武士のしぶとさはワシがよう分かっておる。ここは家康、お主の地ぞ。見事討ち果たしてこい!」


 側近中の側近の赤母衣衆を家康さんの軍に組み込むとは信頼の証だな。こんな事滅多にないだろう。悪く言えば徳川軍が信頼できず利家さんや佐々さん達に武田を討てと言ってるようにも思うが。


 「お館様・・・・」


 「佐久間か。お主は好きにしてよい。貴様程頼りのない者はおらぬ」


 「・・・・・・」


 あーあ。可哀想に。あの上杉にやられたのはしょうがないと分かるけど、あの退き方が問題だよな。あれが小島弥太郎ではなく直江や柿崎なんかが攻めてたらぽっこり穴が空いていただろう。ってかそういえば柿崎も討ったんだよな。忘れてたわ。


 多分是が非でも佐久間隊は出るだろう。挽回するにはそれしかないし、なんなら信長さんの御機嫌斜めでは済まないかもしれない。これでも少しだが戦場を共にした人だしな。助け舟を出すか。


 「黒川さんこっちへ」


 「はっ!」


 「黒川さんは平手さんの軍から30名選抜して佐久間隊を率いてください。佐久間様?問題ありませんね?」


 さすがの佐久間さんもこの助け舟の意味を分からんわけではないだろう!?


 「うむ。織田軍の一番槍はワシに・・・」


 よし。分かってくれたか。配下の配下に組み込まれるのは屈辱だろう。けどここは我慢して誰か名のある人の首級でも取ればチャラになるだろう。


 「チッ。大橋は甘いな。好きにせい」


 信長さんも意味は分かるはずだが、譜代からの臣を蔑ろにするのは良くない。まあ史実でもこの人は確か放逐されたはずだよな。


 オレは静かに小雪の方へ向いて頷く。小雪も俺の意図を分かってくれるはずだ。武田は名が通った人物が多い。その点だけが救いだな。佐久間さんは小雪におんぶに抱っこになるだろう。



 軍がぶつかるタイミングは各々に任すと言い、俺と信長さん、そして何故かいつの間にか現れた信治さんは最上型巡洋艦に乗って、アパッチのコックピットで待機中だ。


 「ほう?これがでじたるすこーぷという物か。どれどれ・・・」


 「ここをこうやって押すと・・・」


 「高台ではないから分からないが見やすいな」


 「主に夜に真価を発揮します。これを装備した信治さんに助けてもらいました」


 「信治も信治よのう?そのまま討ち果たしてしまえば終いだったものを」


 「兄者?侮ってはいけない。確かに下っ端の雑兵は他愛ないが足軽頭以上は皆が皆、石盾を装備している。突進力はないが暁が出した銃でも中々に突破できない。それに戦車に関しては完璧に要塞としてしまったから動かせぬのだ」


 「ワシなら・・・ワシ自らを餌とし、戦車の間合いまで敵を誘き寄せるがな」


 確かに信長さんの言う通りだ。いやだが別にあの場所からでも撃てない事はないんだけどね。被害を考えて発射許可出してないだけなんだけどね。この事は黙っておこう。


 そうこう話していると、鳥型カメラで映している映像からここに来てやっと信忠君が軍配旗を持ち大きく振りかぶった。


 「チッ。信忠め。ほんの数日見ぬ間に一端になりやがって!」


 我が息子の勇姿・・・嬉しいだろうな。


 さて・・・時間差でアパッチの登場だ。餌となるは上杉軍だ!

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