正体はお見通しなのね
Q1 話に出てくる怪談好きのAは今も生きていますか?どのような状況ですか?
Q2 今回あなたが投稿した話は、友人から聞いたと書かれていますが、もしそうなら、その友人は今、怪奇現象
に困っていませんか?
Q3 できたら、Aがしていた怪談を部分的でいいので教えてください。忘れてしまったなら、それはそれで構わないです。
禍解鬼が返信を送った二日後。
「あ、影鬼。返信が来たのね。あれ、でもこれは返信の返信だから…返信でいいのかわからないのね」
「随分早いな。一週間以上送ってこない人もいるのに」
「ほんとそれなのね。相当困ってたのね…まぁ、今回は質問少なめにしたのね。じゃっ返事読み上げるよー!いいてみよーなのね!」
「こんばんは。わざわざ返信してくださりありがとうございます!質問に答えて行きたいと思います。
Q1
生きているそうです。けど、全く怖い話をしなくなったらしいです。ある時友人がふと気になって尋ねたそうなのですが、「しばらくはいいかなー」って苦笑いされたらしいです。
Q2
実は、話を教えてくれた友人もなんだか怪奇現象が起こって気味が悪いって言ってました!私よりはマシみたいですけど…
Q3
友人に聞いてみたところ、覚えていないと言われました。全く記憶がないそうですが、言われてはじめて気づいたと言っていました。
こんなところですかね。あと、追加情報で、実はAがその怖い話をしたのは、お泊まり会ではなく大人数での飲み会でだったそうです。私は、最近怪奇現象が起こらなくなってきています。あの話を非公開にしてもらったからでしょうか?お話を聞いてくださり、ありがとうございました。もう、大丈夫そうですが、何かわかったことがあったら教えてください。よろしくお願いします」
「ん? なんか解決してっぞ」
「そうなのね。ま、大方私の読み通りだったのね」
「読み?」影は不思議そうに尋ねた。「読みって、どんな?」
「もしかして、まだ真相に気づいてないのね?」禍解鬼は少し馬鹿にしたように笑う。
「なんだよ、勿体ぶらないで教えてよ」
「今回は、人に教えたらダメっていう感じの怪異だったの」
禍解鬼はキッパリと言い切った。
「それも、言いふらせば言いふらすほど怪異は人に悪さするのね。投稿者さんの友人は、まぁ二、三人くらいにしかお話しなかったのね。けれど投稿者さんは不特定多数の人が見られるトコに投稿しちゃったから、大変なことになったのね」
「だから、公開取り消したら…」
「そう、悪さしなくなったのね。だから、もう誰にも話さなければ大丈夫…なんだけど、もうあの話読んじゃった人が結構いるはずなのね。その人たちが、酷い目に遭わないことを祈るのね…」
「…ん? 待てよ、Aはなんなんだ?」
「Aさんは、同じような性質の怪談を話そうとしたに違いないのね。でも、怪談好きのAさんは途中で気がついた。これは、話したら自分に害がある。だからダメだって。でも、遅かった。初めの方しか話してなくてもきっと聞いている人数が多かったのね。その結果、Aさんは気を失ったのね。そして…今回の怪異はそれが元になって生まれた新しいベイビィ怪異だったのね! 怪談話中に何かアクシデントがあったら、人は高確率で人なざるもののせいだと考えるのね。その考えで生まれた、怪異が今回悪さしたのね」
「怪異が、生まれる…?」
「怪異を生むのは人間。殺すのも人間。怪異は、あなたも、私も概念みたいなものでしょう? 実体がなく、怪異を喰らうあなたと、怪談を喰らう私。立派な怪異だよね」
「そうだが…って喋り方が…ま」またしてもその言葉は途中で遮られる。
「だからそれ以上はダメ。まだ、その時ではない。とにかく、今回の怪異は人が潜在的に考えた恐ろしいナニカが本当に怪異になっちゃった!ってだけなのね。特に害は無いから忘れればオッケーなのね」
「ちっ。結局食べ損ねたか」
「まだいけるのね。今からさっきのに返信するから、その電波と一緒に投稿者のもとに行けるでしょう、影。そんなすぐ忘れられるわけないから、今のうちに行ってくるといいのね。ほら」
「そうだな。行ってくる」
影は実体を持たない。壁をすり抜けることなんてお茶の子さいさいだ。普段は禍解鬼の影に潜んでいるが、別にそこにい続ける必要はない。ただ好んでいるだけだ。
影は電子機器が苦手だ。「最近のことはよくわからない」とよく禍解鬼に愚痴ってる。外来語も嫌いらしい。
けれど影は電波に乗ってどこへでもいける、という発見をついこの前した。とても楽に移動できることから、「便利になったなぁ」としきりにぼやいているらしい。
「ほら、行って来いなのね。ちゃんと帰ってこないと、私怒るのね」
「これは、帰りは自力コースかな」「早く行け」「ごめんなさい」
後日、投稿者に困らせた通称「人に話したら怒るベイビィ怪異」(命名:禍解鬼)はスタッフ(影鬼)が美味しくいただきました。