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猫と切り身と下剋上 4
結局最後尾となったクロ。
ふらつきながら港に着く頃には、もう全てが終わっていました。
引き返す野良猫たちがため息を吐きながら愚痴をこぼします。
「あーあ、結局今日もジャンボが勝っちまったよ」
「まったく、俺も一度で良いから食ってみたいぜ。シェフの極上の切り身をよー」
ジャンボとは、今まさに漁師の娘から魚の切り身を受け取ったデブ猫です。
この界隈で有名なボス猫なのです。
現在のクロとは程遠い存在なのは言うまでもありません。
とぼとぼ神社へ戻ってきたクロに神様が尋ねます。
「どうだった?」
「…………」
「聞くまでも無いか。じゃあはい。わたしからの参加賞」
煮干しを差し出す神様。
クロはそれを咥えると、縁の下へ消えていきました。




