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猫と切り身と下剋上 1
日の出と共に、一匹の黒猫が姿を現します。
ふらふらとした足取りで、満身創痍の酷い有様です。
「また負けちゃったの?」
煮干しを差し出す神様。
「…………」
黒猫は黙ったまま煮干しを咥えて縁の下へ消えていきます。
遡ること数日前――。
神様が早朝ランニングから帰ってくると、賽銭箱の目の前に段ボール箱がありました。
「何これ?」
開けてみると、中には一枚のメモ書きと……それから一匹の黒い仔猫がいました。(因みにオスです)
「可愛がってやってください? はあ……こういの迷惑なんだけど」
ため息を吐きます。
ペットを捨てることは犯罪です。
当然、神様だって捨てた者を許せないと思っていますが、捨てられた方に罪はありません。
神様はしばらく面倒を見ることにしました。




