あのホームレスに七億を…… 1
木の陰から何かをじっと見つめる神様。
「うわ、まだいるよ……」
なんだか気が沈んでいます。
「どうしたんですか?」
妹のヒイラギが尋ねると。
「ほら、あれ……」
神様が指を差した向こうで、みすぼらしい姿の中年男性が一人寂しく段ボールや新聞紙にくるまって寝ています。
時折起きたかと思えば写真を取り出しニヤニヤしたり泣き出したり……。正直ちょっと……いや、だいぶ気持ちが悪い雰囲気を漂わせています。
「ああ、そういえばここ最近ずっといますね。何なんです? あの人……」
「うーん……いわゆるホームレスさん? 彼の過去を見通してみたんだけど、ちょっと前に不幸な事故で妻子を亡くしてしまったみたいなの。それをきっかけにあれよあれよという間に人生という崖を転がり落ちて……で今」
「わお! 姉様そんなことが分かるなんてまるで神様みたい!」
「みたいじゃなくて、神なの! わたしは!」
「何とかしてあげられないんですか?」
「そりゃあ、わたしだって何とかしてあげたいとは思っているわよ。あんな重たい空気を背負った人にこのままずっと居座られるとこっちだって落ち着かないし……。せっかく宝くじで七億円が当たる未来が見えているっていうのに……もう生きる気力そのものが無いって感じ? どうしたら良いものか……」
「え……姉様、今なんて?」
「だから、本人に気力そのものが無いから助けてあげたくてもキッカケが掴めないのよ」
「いえ、そうじゃなくてその一つ前のセリフ」
「せっかく宝くじで七億円が当たる未来が見え――」
「それ!! もう姉様ったらー、そういう事はもっと早く言って下さいよ」
ヒイラギは一瞬でセーラー服へとお着替えしました。
「何? その格好。っていうか着替え早っ! お着替えの過程が全然見えなかった」
「ヒイラギは現在家出中の寂しがりやなJC」
「それパパ活じゃないの! やめなさいよ! あなた一応神の端くれでしょうが!!」




