神様がゾッとした日 1
ちょっと趣向を変えて、ホラー回です。
夜遅くフクロウが鳴いた頃、妙な音で神様は目が覚めました。
「もう! ちょっと何なの? 今何時だと思って――!?」
ご神木で若い女性が首を吊っています。
「うわああああ!!」
腰を抜かす神様。
異変に気付いた神様の使い魔であるドローンが勢いよく飛んできて首吊りロープを引きちぎります。
ドサッ!!
女性は落下します。……ですが意識がありません。
女性の胸から青白い火の玉がヒューっと抜け出ていきます。
そう、女性の魂です。
更に夜空から黒い人型の影がゆらゆらと舞い降ります。
「まずい! 死神が彼女の魂を刈り取りに来た!」
死神は女性の魂に手を伸ばします。
「させるかー!!」
神様は間一髪、虫取り網で魂を確保!
しかし虫取り網越しに魂を掴む死神。
神様は虫取り網の柄を強く引っ張ります。
それに対抗するように死神は網部分を強く引っ張り返します。
「離しなさいよー!!」
顔を真っ赤にして力む神様。
首を横に振って抵抗する死神。
まさに拮抗した綱引き状態です。……いや、ここは網引き状態と言った方が良いでしょうか。
「何つまらないこと言ってんのよ! いい? わたしはかつてここで一回も自殺者なんて出したこと無いの! それがわたしのモットーなの! っていうかそこの死神! あんた何年目よ!」
死神は片手だけを離して三本指をピンと立てます。
「はあ! 何? 三年生!? あんた新人じゃない!? わたしはね、もうかれこれ軽く一億万年くらいはこの業界でやらせてもらってんの! 分かる? あんたみたいなピヨピヨなヒヨコちゃんとは格が違うの! だから……ここはわたしの顔に免じて身を引きなさいよ!」
死神は相変わらず首を横に振ります。
「えーい、この分からず屋め! 仕方ない……使い魔ちゃん! あれ持ってきて!!」
一部始終を見守っていた使い魔はコクコクと頷くようなしぐさをし、お社に入っていきます。
と、思ったら透かさず菓子折りをぶら下げて戻って来ました。
近頃お土産グランプリで金賞を受賞した『三日月まんじゅう』です。
死神はそれを受け取ると、あっさり引き下がるのでした。




