神様と不思議なおじさん 5
大会が行われた日の夕方、おじさんが再び神社へ訪れました。
「ドローンの大会で優勝しました。なんとなくお礼が言いたくて、気づいたらここに来ていました」
おじさんは優勝トロフィーを神棚に向かって掲げます。
ところでおじさんは好きな女性に告白できたのでしょうか。少し気になります。
「今回のことで自分の才能に気づけたというか、なんだか自信が湧きました。本当は優勝の瞬間に告白をしようと思っていたんですが、残念ながら彼女は用事があったそうで大会を見に来てはくれませんでした」
神様はおじさんをじっと見つめますが、とうとうおじさんは帰ろうと振り返ります。
すると鳥居を潜ってやってくるとても綺麗な女性の姿。
「あら、こんな所でどうしたんですか?」
女性は近寄ってきます。
「こ、小町さん!? 小町さんこそ……どうしてここに!?」
この小町さんという女性がおじさんの思い人だということは一目瞭然でした。
「私はおばあちゃんに頼まれてよくここにおはぎをお供えに来ているんです。あなたは?」
「じ、自分は最近この場所が好きで。なんとなく来てしまったりなんかして……」
「そうなんですか? 実は私もなんです。良いですよねここ、あちこちボロボロだけどなんだか落ち着くっていうか……」
「ボロボロは余計よ!」
神様、ここは口を挟まず見守りましょう。
そして二人の時間はゆっくり流れていきます。
しかしあまりの沈黙にしびれを切らす神様。
「もう、しょうがないなあ。ほら、今がチャンスでしょ!」
神様はおじさんの背中を押します。
よろけながら女性の前に一歩飛び出すおじさん。そして――。
「こ、ここ、小町さん!!」
とうとう、おじさんは決心します。
「どうしたんですか? なんだか声が震えてますけど……」
「自分は、あなたのことが好きです! お付き合いをして下さい!!」
おじさんは大声で告げると、直角にお辞儀をして右手を女性に突き出します。
女性はおじさんの急な告白に戸惑っている様子でしたが、目に涙をため込むと笑顔でおじさんの手を握ります。
「はい。よろしく……、お願いします」
どうやら「縁結びの神様」なんていう話もあながち間違っていないようです。




