神様と引き出物
神様は何やら分厚い本のページをめくりながら悩んでいるようです。
「うーん、どれにしようかなあ」
そこへ神様の僕、桜子が訪ねて来ました。
「あら、先生何を読んでるんですか?」
「ああ、これ? カタログギフト。お友達に貰ったの」
「先生、お友達いたんですね」
くすっと笑う桜子。
「桜子ちゃん、それどういう意味かしら?」
「ところで、何にするかもう決めたんですか?」
「それがまだなのよ。こう、いっぱいあると悩んじゃうわよね」
一月後。
神様はまだカタログギフトのページをパラパラめくりながら悩んでいました。
「先生、まだ悩んでたんですか? じゃあ私が選んで良いですか?」
「ダメ! これはわたしが選ぶの! 日常生活で使える物にしようと思ってるんだから」
更に一月後。
ほこり被って放置されたカタログ。
桜子は指を差して尋ねます。
「もうギフトは決めたんですか?」
「あ! 忘れて……じゃなかった。一旦寝かせてるのよ」
「今、忘れてたって言おうとしましたよね。完全に忘れて放置してたやつですよね?」
「うるさいわね。こういうのは衝動的なあれが一番怖いんだから。舞い上がって選んだ結果、結局使わなかった~なんてことになったら残念じゃない」
「じゃあ、私が選んで――」
「ダメ! これはわたしが選ぶの! 一番高そうなやつにするんだから」
その更に一月後。
神様は焦っていました。
「まずいわ! そろそろ決めないと期限が切れちゃう」
神様は両目を瞑りカタログのページをバラバラめくります。
「もう考えたって仕方ないわ。えーい、ままよ。わたしが選ぶものはこれよ!」
目を開いた瞬間、最初に目に入ったページのギフトを選ぶことにした神様。
そして更に一月後。
届いた荷物を開け始める神様。
たまたまその場にいた桜子は見届けることにしました。
「で、結局これにしたんですか」
荷物の箱から出てきたのは……ミシンでした。
「じゃーん、どうよ。わたしのギフト選びのセンスは」
「さすが先生です」
「そうでしょう、そうでしょう。エッヘン!」
「でも、先生ってミシン使うことあるんですか?」
確かに神様が針仕事をしてるところは見た事ありませんね。
「え、そりゃあ……あれよ。あれば使うわよ……たぶん」
何だか歯切れが悪い神様。
「たぶん? 絶対使いませんよね。あーあ、ミシンが可哀そう」
「あーもう、分かったわよ。じゃあこれ桜子ちゃんにあげるわよ」
「本当ですか? やった! ありがとうございます。ちょうどうちのミシンが壊れて困っていたんです」
新品のミシンを抱えて鼻歌交じりに帰っていく桜子。
その後姿を眺めていた神様……あることに気付きました。
「あ! 桜子ちゃんに一杯食わされたわ!」
そう、桜子には他者の運命を自在に操る特殊能力があるのです。




