動画配信者VS歴代最強のしもべ 4
桜子は落ち着いた様子で湯飲みを啜ると、それを床に置きます。
「先生、なんか思ったよりも元気そうで安心しました。では私はこれで……」
「ちょ、待って待って! なぜ帰ろうとする? まだ解決してないじゃない。それにせめて事情くらいは聞いてよー」
神様は桜子の足にしがみ付きます。
桜子は神様を優しく抱きかかえると、布団へ戻します。
「事情ならもう察していますよ。悪質〇ーチューバーのことでしょう?」
「そこは動画配信者って言おうね。あなたが来てから会話がモザイクだらけになってるからね」
「驚きましたよ。境内中BB弾だらけだし……鳥居にはガムがくっ付いてるし……お社の外壁はラクガキもひどいしで……あれだったら私の方が絵のセンスは上ですよ」
「否定するとこそこ? ラクガキそのものを否定しなさいよ!」
「ところで先生にしてはこうも一方的にやられるなんて珍しいですね」
「だってしょうがないじゃない……。いまのわたしって本調子じゃないし。それにあの男、まさに今が絶好調! って感じ? 調子に乗りに乗りまくっているせいで全く歯が立たないのよ」
神様だって決してただ指を咥えて見ていた訳ではありません。
時には石をぶつけようとしたり、足を引っかけようとしたり、様々な方法で追い出そうと努めました。
しかし、その全てを躱されてしまうのです。
この世で最も強いのはいつだって調子に乗っている人間なのです。
全ての運がこの男の見方をし、全てのシナリオが彼の思い通りに進んでいく……。
まさに神様はそんなビッグウェーブの犠牲になろうとしているのです。




